強みと不安材料が同居 打ち合い必至の獅子と鷹…CSファイナルS展望【パ】

西武・秋山翔吾とソフトバンク・柳田悠岐【写真:荒川祐史】

意外? 本塁打数は鷹、盗塁数は西武が上

 パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)は、ファーストステージで2位ソフトバンクが2勝1敗で粘る日本ハムを振り切り、宿敵・西武とのファイナルステージに駒を進めた。日本シリーズへの切符を手にするのはどちらか、データから紐解いてみよう。

〇レギュラーシーズンのチーム成績
打撃
   西武 ソフトバンク
打率 .273 .266
得点 792 685
安打 1351 1290
本塁打 196 202
犠打 58 102
四球 566 408
三振 1103 999
盗塁 132 80
出塁率 .352 .326

投手
   西武 ソフトバンク
防御 4.24 3.90
勝利 88 82
敗戦 53 60
セーブ 33 44
HP 111 121
完投 7 6
完封 9 19
投球回 1277回1/3 1277回1/3
被安打 1230 1132
被本塁打 148 163
奪三振 959 1087
失点 653 579

 はっきりと打の西武、投のソフトバンクという傾向。三振を恐れず思い切ってフルスイングするため、相手投手も長打を恐れて四球も多い西武に対し、犠打をからめ、つなぐソフトバンクは三振数も100個以上西武より少ない。ただ、盗塁数は西武、本塁打数はソフトバンクの方が多く、西武は機動力も使えるし、ソフトバンクは日本ハムに5本塁打を浴びせたCSファーストステージ第3戦のように、“空中戦”に持ち込まれても打ち返せる長打力も持っている。

〇西武VSソフトバンクのチーム成績(25試合西武13勝12敗)

   西武 ソフトバンク
打率 .248 .265
得点 133 131
安打 207 224
本塁打 36 44
四死球 119 95
三振 202 158
盗塁 13 10
防御率 4,82 5,38

 投手力は、ソフトバンクがリーグ4位、西武はリーグ最下位。ソフトバンクは完投試合6に対して完封勝ちが19試合もあり、加治屋、嘉弥真、森らブルペン陣が、守護神・サファテ不在の中頑張ったことが数字からも見てとれる。

 直接対戦の数字を見ると、防御率は西武の方が数字がよく、安打数、本塁打はソフトバンクの方が多い。どちらが勝つにしても5点以上取った試合が25回の対戦中19回。この両者の対戦は、一歩も譲らぬ打ち合いになる可能性が高い。

秋山、浅村、山川の西武主軸VS対西武10発の松田

〇主力選手の打撃成績(西武は対ソフトバンク、ソフトバンクは対西武)

西武

秋山 .304 5本塁打11打点1盗塁 19三振16四死球
浅村 .306 3本塁打25打点1盗塁 21三振10四死球
山川 .244 11本塁打29打点0盗塁 22三振21四死球
栗山 .182 1本塁打8打点0盗塁 17三振11四死球
中村 .266 7本塁打13打点0盗塁 15三振6四死球
森 .226 3本塁打14打点2盗塁 22三振10四死球

ソフトバンク

上林 .275 4本塁打6打点2盗塁 19三振9四死球9
中村晃 .311 4本塁打9打点0盗塁 10三振11四死球11
柳田 .333 8本塁打19打点2盗塁 11三振12四死球
デスパイネ .273 3本塁打5打点0盗塁 11三振11四死球
グラシアル .333 3本塁打7打点0盗塁 9三振 5四死球
松田 .261 10本塁打19打点0盗塁 16三振15四死球

 西武は秋山、浅村がホークス戦3割台。山川は打率こそそれほど高くないものの、11発29打点は本塁打で対楽天(13本)に次ぐ2番目、打点はもっとも多い。逆に相性がよくないのは栗山、森。ここには記載していないが、源田も.210と相性が悪く。しかも盗塁が2つだけ。ホークス・甲斐の“キャノン砲”に機動力を封じられている。

 ソフトバンクでは、松田の10本塁打19打点が目立つ。対戦全チーム中でも群を抜いており、柳田とともに相手が西武なら一発の期待が持てる打者だ。

多和田、菊池は鷹が苦手 ミランダ、森は安定

〇主力投手の成績(西武は対ソフトバンク、ソフトバンクは対西武)

西武

多和田 防10.95 2試合1勝1敗 12回1/3 6奪三15失点
菊池 防2.40 2試合1勝1敗 15回 16奪三6失点
榎田 防0.00 1試合0勝0敗 2回 4奪三無失点
今井 防3.20 4試合2勝1敗 19回2/3 17奪三8失点
野田 防2.08 12試合0勝0敗3HP 8回2/3 9奪三2失点
平井 防3.86 11試合0勝0敗1HP 9回1/3 8奪三5失点
増田 防5.40 9試合1勝0敗3S 8回1/3 5奪三5失点

ソフトバンク

ミランダ 防2.79 3試合2勝1敗 19回1/3 15奪三6失点
千賀 防5.73 6試合3勝3敗 37回2/3 50奪三24失点
東浜 防7.71 1試合0勝1敗 7回 8奪三6失点
バンデンハーク 防8.82 3試合0勝2敗 16回1/3 13奪三16失点
加治屋 防8.22 10試合0勝1敗2HP 7回2/3 5奪三7失点
嘉弥真 防4.15 9試合0勝1敗2HP 4回1/3 3奪三2失点
森 防2.25 10試合0勝0敗4S1HP 8回 10奪三2失点

 西武は最多勝の多和田が防御率10点台。菊池も9月にようやくソフトバンクから1勝を挙げたものの、8月まで通算0勝13敗と苦手中の苦手だった。今井は比較的ソフトバンクには相性がよく、同じく今季5勝の十亀が7試合2勝4敗、防御率3.76ということを考えると、登板数の差はあっても先発は今井の方がよさそうだ。リリーフ陣は野田がソフトバンク戦に好成績を残しているが、平井はいまひとつ、増田は防御率5点台と打ち込まれている。

 ソフトバンクは東浜、加治屋が西武に相性がよくない。第1戦先発予定のバンデンハークも防御率8点台。どこまで強力打線を止められるか。セットアッパーでは、嘉弥真が打たれた2安打はいずれも本塁打と要所で痛打を浴びている。ミランダとクローザーの森は防御率2点台と安定。先発、リリーフ兼用の石川が11試合3勝2敗1HP、防御率2.70と成績を残しているだけに、石川の先発も一考の余地ありか。武田は2試合1勝1敗1HPながら防御率12.60では使いづらい。

 数字から見ると、西武とソフトバンクはほぼ互角。お互いに相性の良し悪しがはっきりしているが、短期決戦では数字にとらわれず活躍するラッキーボーイも出てくるだけに、調子のいい選手を見極めた用兵が勝負を分ける。西武辻監督、ソフトバンク工藤監督の采配にも注目だ。(Full-Count編集部)

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