運命のドラフト目前、12球団の過去5年の“ドラ1力”は? 【セ・リーグ編】

広島・野間峻祥(左)、大瀬良大地【写真:荒川祐史、編集部】

2013年のドラフト1位・広島の大瀬良は15勝を挙げ最多勝に輝く

 来たる10月25日、都内のホテルで2018年度のドラフト会議が行われる。今年は、甲子園準優勝で“金農旋風”を巻き起こした金足農の吉田輝星投手をはじめ、大阪桐蔭の根尾昂、藤原恭大、柿木蓮、報徳学園の小園海斗と、高校生に注目株がズラリ。大学生でも東洋大の上茶谷大河、甲斐野央、梅津晃大、日体大の松本航といった本格派投手が1位候補に名前が挙がっている。

 一体、各球団がどの選手に入札し、どれほどの重複指名が生まれるのか。例年、大きな注目を集めるドラフトだが、選手にとって大事になるのは、入団してからの方。高卒選手ならばじっくりと育てられ、3年、5年経った頃に1軍の戦力となってくれることを期待される。一方で大卒や社会人出身の選手は、やはり即戦力として1年目から働くことが期待される。

 では、12球団が過去5年間で指名したドラフト1位の選手たちは今季どれほどの成長を見せ、どれだけ活躍したのだろうか。ドラフト1位をどれだけ戦力として育て上げたのか、各球団の“ドラ1力”を見てみよう。今回はセ・リーグ6球団だ。

◯広島
2013:大瀬良大地(27試合15勝7敗0セーブ0ホールド 2.62)
2014:野間峻祥(126試合405打数116安打5本塁打46打点 .286)
2015:岡田明丈(26試合8勝7敗0セーブ1ホールド 5.09)
2016:加藤拓也(今季1軍出場なし)
2017:中村奨成(今季1軍出場なし)

◯ヤクルト
2013:杉浦稔大(3試合2勝0敗0セーブ0ホールド 2.84)日本ハム
2014:竹下真吾(2017年オフ戦力外)
2015:原樹理(30試合6勝7敗0セーブ1ホールド 3.09)
2016:寺島成輝(1試合0勝1敗0セーブ0ホールド 27.00)
2017:村上宗隆(6試合12打数1安打1本塁打2打点 .083)

◯巨人
2013:小林誠司(119試合265打数58安打2本塁打26打点 .219)
2014:岡本和真(143試合540打数167安打33本塁打100打点 .309)
2015:桜井俊貴(今季1軍出場なし)
2016:吉川尚輝(92試合316打数80安打4本塁打29打点 .253)
2017:鍬原拓也(6試合1勝2敗0セーブ0ホールド 6.83)

◯DeNA
2013:柿田裕太(2017年オフ戦力外)
2014:山崎康晃(57試合2勝4敗37セーブ3ホールド 2.72)
2015:今永昇太(23試合4勝11敗0セーブ4ホールド 6.80)
2016:浜口遥大(19試合4勝5敗0セーブ1ホールド 3.90)
2017:東克樹(24試合11勝5敗0セーブ0ホールド 2.45)

◯中日
2013:鈴木翔太(2試合0勝0敗0セーブ0ホールド 5.19)
2014:野村亮介(2017年オフ戦力外)
2015:小笠原慎之介(17試合5勝6敗0セーブ0ホールド 4.11)
2016:柳裕也(10試合2勝5敗0セーブ0ホールド 5.23)
2017:鈴木博志(53試合4勝6敗4セーブ12ホールド 4.41)

◯阪神
2013:岩貞祐太(23試合7勝10敗0セーブ0ホールド 3.48)
2014:横山雄哉(今季1軍出場なし)
2015:高山俊(45試合128打数22安打1本塁打14打点 .172)
2016:大山悠輔(117試合347打数95安打11本塁打48打点 .274)
2017:馬場皐輔(2試合0勝1敗0セーブ0ホールド 5.19)

巨人の岡本は史上最年少で「3割30本100打点」を達成

 セ・リーグでは広島、巨人、DeNAはドラフト1位が着実に1軍の戦力となっている。広島は2013年ドラ1の大瀬良が最多勝を獲得。2014年の野間が準レギュラークラスとなり、2015年の岡田も不本意な成績とはいえ、8勝をマーク。中村はまだまだ育成段階で、現時点での1軍出場を求める必要はないだろう。

 巨人は何と言っても2014年の岡本が4年目で急成長。史上最年少での「3割30本100打点」を達成し、球界を代表する強打者となりつつある。小林が、打撃に関しては物足りないものの、正捕手に。2016年の吉川尚も順調にチームの主力となりつつある。2015年の桜井、そして昨季の鍬原と投手は結果を残せていない。

 DeNAの近年のドラフト1位の活躍は、もはや説明不要。2013年の柿田は昨オフに戦力外となったが、2014年の山崎から今永、浜口、東ときっちりと1軍の戦力となっている。今季は今永、浜口が不振だったものの、4人ともにチームの中核となっている。

 一方で苦戦の色が見えるのが、ヤクルト、中日、阪神だ。ヤクルトは2013年の杉浦が日本ハムへトレードで移籍し、2014年の竹下は昨オフに戦力外。2015年の原はチームに貢献しているものの、やや寂しい。2016年の寺島、2017年の村上と高卒ドラ1の成長を期待したい。

 中日もヤクルトと同様、2014年の野村が昨オフに戦力外に。2013年の鈴木、2015年の小笠原、2016年の柳は1軍でプレーしているものの、より一層の成長を求めたいところ。2017年の鈴木は今季前半はセットアッパー、クローザーとして活躍したが、中盤以降に失速。来季は1年を通した活躍に期待だ。

 阪神は2013年の岩貞がローテの一角を担うまでに成長したが、2014年の横山は今季1軍登板なし。1年目に新人王に輝いた高山はその後は目立った活躍をできていない。大山が今季11本塁打を放っており、来季以降、名実ともにチームの主砲となってもらいたいものだ。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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