社会人組は即戦力の活躍ができた? 最近5年間で見るパ6球団のドラフト会議

社会人を経て西武に入団した源田壮亮【写真:荒川祐史】

西武は16年3位の源田が新人王、ホークスは最近4年は社会人指名なし

 今年も10月25日に「2018年プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が行われる。史上初となる2度目の春夏甲子園連覇を達成した大阪桐蔭高の根尾昂選手、藤原恭大選手、夏の甲子園準優勝・金足農業高の吉田輝星投手、東洋大の甲斐野央投手、上茶谷大河投手、梅津晃大投手、Homdaの齋藤友貴哉投手などがドラフト1位候補とされる。

 高校、大学に比べると、社会人でプロ入りした選手は、1年目から“即戦力”として期待されることが多い。最近5年間に限定し、社会人出身選手の1年目の成績を調べてみた。(※ドラフト時に育成、独立リーグから入団した選手は含めない)

○西武
【2013年】(3/7)
3位 豊田拓矢 34試合2勝2敗 39.2回17奪三振20失点 防御率4.54
5位 山口嵩之 1軍登板なし
6位 岡田雅利 22試合32打数6安打0本塁打2打点 打率.188

【2014年】(0/5)
社会人の選手を指名せず

【2015年】(2/10)
3位 野田昇吾 22試合0勝0敗4H 18.1回15奪三振8失点 防御率3.93
5位 南川忠亮 4試合0勝0敗 4回1奪三振1失点 防御率2.25

【2016年】(2/6)
3位 源田壮亮 143試合575打数155安打3本塁打57打点 打率.270
5位 平井克典 42試合2勝0敗4H 45回42奪三振15失点 防御率2.40

【2017年】(0/6)
社会人の選手を指名せず

 10年ぶりにリーグ制覇した西武。この5年で社会人から入団した選手は7人で、2014年と17年は社会人の選手を指名しなかったが、トヨタ自動車から16年ドラフト3位で入団した源田は、長年不在だった遊撃のポジションを埋めた。1年目から全143試合にフルイニング出場。球団記録となる155安打をマークした。

 投手陣では同年5位で入団した平井がビハインドゲームを中心に42試合に登板し、防御率2.40の成績を残せば、前年のドラフト3位で入団した野田は22登板、13年ドラフト3位の豊田は34試合に登板している。

○ソフトバンク
【2013年】(3/4)
1位 加治屋蓮 1軍登板なし
2位 森唯斗 58試合4勝1敗20H 65.2回54奪三振17失点 防御率2.33
3位 岡本健 1軍登板なし

【2014年】(0/5)
社会人の選手を指名せず

【2015年】(0/6)
社会人の選手を指名せず

【2016年】(0/4)
社会人の選手を指名せず

【2017年】(0/5)
社会人の選手を指名せず

 2014年からの5年間で3度リーグ制覇したソフトバンク。投打ともに戦力が充実し、15年には高橋純平を筆頭に指名した6人全員が高校生と、独自スタイルを貫いた。社会人出身者の指名は、13年ドラフトの3人が最後だ。

 2013年ドラフト組の1年目の成績を見ると、1位の加治屋、3位の岡本は1軍登板がなかったが、2位の森は1年目から五十嵐亮太につなぐ7回の男として58試合に登板し、リーグ優勝に大きく貢献した。

即戦力に頼らない日ハム、社会人を大量獲得のオリックス

○日本ハム
【2013年】(2/8)
2位 浦野博司 20試合7勝4敗 115回78奪三振51失点 防御率3.68
5位 金平将至 6試合0勝0敗 6回5奪三振7失点 防御率10.50

【2014年】(1/9)
5位 瀬川隼郎 9試合0勝0敗 10.2回9奪三振4失点 防御率3.38

【2015年】(1/8)
2位 加藤貴之 30試合7勝3敗1H 91.1回64奪三振37失点 防御率3.45

【2016年】(1/9)
8位 玉井大翔 24試合1勝2敗1H 24.1回12奪三振8失点 防御率2.59

【2017年】(1/7)
2位 西村天裕 26試合2勝2敗1S8H 23回25奪三振9失点 防御率3.52

 日本ハムは、この5年間ドラフト1位で社会人を指名していない。毎年5人以上を指名するが、そのうち社会人は毎年1~2人。即戦力に頼らない傾向が強い。

 社会人の指名は少ないが、2013年ドラフト2位の浦野と15年ドラフト2位の加藤が7勝ずつ、16年ドラフト8位の玉井と17年ドラフト2位の西村はリリーフで20試合以上に登板するなど、一定の活躍を見せている。

○オリックス
【2013年】(3/8)
1位 吉田一将 15試合5勝6敗 75.2回62奪三振34失点 防御率3.81
2位 東明大貴 26試合5勝7敗 99.2回80奪三振44失点 防御率3.79
8位 大山暁史 1試合0勝0敗 0.2回0奪三振0失点 防御率0.00

【2014年】(4/9)
4位 高木伴 7試合0勝0敗 9.2回6奪三振9失点 防御率7.45
6位 坂寄晴一 1試合0勝0敗 0.2回1奪三振2失点 防御率27.00
7位 西野真弘 57試合191打数58安打3本塁打22打点 打率.304
8位 小田裕也 31試合89打数29安打2本塁打6打点 打率.326

【2015年】(6/10)
2位 近藤大亮 1試合0勝0敗 3回2奪三振1失点 防御率0.00
4位 青山大紀 1試合0勝1敗 4回5奪三振4失点 防御率6.75
7位 鈴木昂平 45試合38打数7安打0本塁打4打点、打率.184
8位 角屋龍太 2試合0勝0敗 2.1回1奪三振3失点 防御率11.57
9位 赤間謙 24試合0勝1敗 35回19奪三振17失点 防御率3.09
10位 杉本裕太郎 1試合3打数0安打0本塁打0打点 打率.000

【2016年】(3/9)
1位 山岡泰輔 24試合8勝11敗 149.1回133奪三振62失点 防御率3.74
5位 小林慶祐 35試合2勝1敗1H 40.2回46奪三振22失点 防御率3.98
7位 飯田大祐 2試合3打数0安打0本塁打0打点 打率.000

【2017年】(5/8)
1位 田嶋大樹 12試合6勝3敗 68.2回69奪三振33失点 防御率4.06
2位 K-鈴木 4試合0勝0敗 7.1回2奪三振9失点 防御率8.59
3位 福田周平 113試合295打数78安打1本塁打15打点 打率.264
5位 西村凌 31試合88打数17安打2本塁打8打点 打率.193
8位 山足達也 25試合60打数10安打1本塁打7打点 打率.167

 オリックスは2015年のドラフトで指名した10人中6人、17年は8人中5人が社会人出身。特にここ2年は東京ガスの山岡、JR東日本の田嶋をドラフト1位指名するなど、長年低迷していることもあるのか、やや即戦力の社会人に頼りがちだ。

 ドラ1の吉田一、山岡、田嶋は1年目から5勝以上を挙げた。下位入団でも2014年ドラフト7位の西野、同年8位の小田が、規定未到達ながら打率3割超え。中心選手とはいかないまでも、まずまずの成績を残している印象だ。

社会人を一定数指名のロッテ、楽天は下位指名も16年森原&高梨が活躍

○ロッテ
【2013年】(3/6)
1位 石川歩 25試合10勝8敗 160回111奪三振72失点 防御率3.43
4位 吉原正平 6試合1勝1敗 9.1回3奪三振10失点 防御率9.64
5位 井上晴哉 36試合95打数20安打2本塁打7打点 打率.211

【2014年】(0/7)
社会人の選手を指名せず

【2015年】(4/7)
2位 関谷亮太 16試合5勝6敗 88回58奪三振58失点 防御率5.52
4位 東條大樹 11試合0勝0敗1H 11.2回6奪三振13失点 防御率10.03
6位 信楽晃史 1軍登板なし
7位 高野圭佑 14試合1勝0敗2H 15.1回7奪三振10失点 防御率5.87

【2016年】(3/7)
2位 酒居知史 19試合5勝1敗1H 74.2回48奪三振28失点 防御率3.13
4位 土肥星也 18試合0勝1敗2H 19.1回14奪三振22失点 防御率9.31
5位 有吉優樹 53試合2勝5敗1S16H 53.1回27奪三振17失点 防御率2.87

【2017年】(5/6)
2位 藤岡裕大 143試合535打数123安打5本塁打42打点 打率.230
3位 山本大貴 1試合0勝1敗 3回1奪三振4失点 防御率6.00
4位 菅野剛士 53試合131打数23安打2本塁打18打点 打率.176
5位 渡邉啓太 6試合0勝1敗 28回12奪三振18失点 防御率4.82
6位 永野将司 4試合0勝0敗 4回3奪三振0失点 防御率0.00

 ロッテもオリックスと同じく即戦力の社会人を多く指名する。昨年のドラフトでは高校通算65本塁打の履正社高・安田尚憲を指名したが、2位以下全員が社会人だった。2位で入団した藤岡は、球団の新人では史上3人目となる全試合に出場。

 また、2013年ドラフト1位の石川歩は、社会人出身の新人投手では2005年の久保康友以来となる2桁10勝を記録した。ただ、1年目から結果を残した選手は石川、有吉、藤岡の3人くらいで、即戦力の働きを見せている選手は少ない。

○楽天
【2013年】(3/9)
3位 濱矢廣大 1試合1勝0敗 5回0奪三振2失点 防御率3.60
7位 相原和友 17試合0勝0敗 19.1回5奪三振6失点 防御率2.79
8位 相沢晋 1軍登板なし

【2014年】(2/7)
6位 加藤正志 9試合0勝0敗 13.1回3奪三振7失点 防御率4.73
7位 伊東亮大 8試合22打数6安打2本塁打2打点 打率.273

【2015年】(2/7)
5位 石橋良太 6試合0勝0敗 5.1回4奪三振8失点 防御率13.50
6位 足立祐一 73試合185打数42安打1本塁打14打点 打率.227

【2016年】(2/10)
5位 森原康平 42試合2勝4敗13H 39.1回21奪三振22失点 防御率4.81
9位 高梨雄平 46試合1勝0敗14H 43.2回48奪三振13失点 防御率1.03

【2017年】(0/7)
社会人の選手を指名せず

 楽天はこの5年間、最も高い順位で指名した社会人出身者は、2015年ドラフト3位の濱矢。その他8人の社会人は、いずれも5位以降の下位指名だった。森原、高梨は中継ぎで1年目から40試合以上に登板したが、相原、相沢、加藤、伊東らはすでにチームを去っており、即戦力となった選手は少ない。

※(社会人指名数/ドラフト指名数)
※独立リーグ出身、育成の選手を含めない(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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