厚板流通、仕入れ先細り メーカーが引き受け削減強化

 厚板流通やシャー・溶断業にとって目先の仕入れ量が先細りそうだ。関東地区の厚板扱い筋によると、主にプロパー材について主要取引サプライヤーからの引き受け調整が強化され、中には「直近の申し込み実績に対して半減を打診された」ところもある。加えて「デリバリー遅延が半ば慢性化」との声もあり、足元のメーカーロールのひっ迫や物流ネック(輸送面の支障)を裏づけていると言える。

 メーカー側では、厚板に関して年度下期入り前から「下期の〝山積み〟計画が非常に高く、引き受け調整せざるを得ないのではないか」と頭を悩めていた。その懸念が、いわば現実になったもようだ。

 需要面(内需)ではオリンピック開催を控えた都市インフラ整備関連をはじめ橋梁・土木を含めた建築・建材分野や建機・産機、トラックといった製造業関連が相変わらず底堅く、造船も徐々に操業度が上がってきている。海外輸出も、韓国向け造船材や鉱山開発用耐摩耗鋼板などの引き合いが旺盛と聞く。

 こうした中で厚板大手では限られた鉄源をやり繰りしているものの国内外の申し込みに応え切れていない。

 大型台風による影響がいまだ尾を引き、海上輸送で支障を来たしたり、陸送でもドライバー不足が響いてトラック手配が追いつかなかったりといった物流ネックも浮き彫りになっている。一部メーカーで発生した操業トラブルが、今後の市場形成や需給動向にどう影響を及ぼすかも注視する必要がありそうだ。

 地区流通やシャー・溶断業では「まずは冷静にマーケットを見極めていく」としつつ、顧客ニーズへの対応を優先し「市中手当てや他ソースを模索するなど先手を打ちながら可能な限り仕入れ面での不安要素を排除していく」としている。

 その上で目先の市中における需給動向については「品薄・歯抜けは限定的」との見方が大勢で、価格(市況)面についても「末端実需が本格的に回復・喚起されない限り、供給事情によるタイト化だけでは客先の値上げに対する理解促進は難しい」と慎重だ。

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