S耐最終戦岡山:24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-Rが有終の美。ST-3は熾烈なチャンピオン争いに

 2018年シーズンの最終戦となるピレリ・スーパー耐久シリーズ第6戦が、11月3~4日に岡山国際サーキットにおいて3時間レースとして開催された。ST-Xクラス(全8台)では24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-R(内田優大/藤井誠暢/平峰一貴組)が第4戦オートポリス以来の2勝目を挙げた。24号車は来季より活動の場をスーパーGTに移すことを発表しており、スーパー耐久最後のレースで有終の美を飾った。また、ST-2、ST-3、ST-5クラスでチャンピオンが確定した。

 今回は全8クラスに計59台がエントリーし、決勝レースはGr-1(ST-X、Z、TCR、1、2、3)、Gr-2(ST-4、5)とふたつのグループに分けて、それぞれ3時間のレースが実施された。

 3日に行われた公式予選はA、Bドライバーのタイム合算で争われ、83号車Phoenix Racing Asia R8(Keong Wee Lim/Mathias Beche/Melvin Moh組)が初のポールポジションを獲得。

 Gr-1の決勝レースは13時35分にフォーメーションラップが開始。スタートと同時に83号車アウディの加速が鈍り、1コーナーまでに81号車J-FLY Racing R8(Jeffrey Lee/Andre Couto/Alessio Picariello組)がトップに立った。

 しかし、81号車はジャンプスタートのため、すぐにドライブスルーのペナルティを受けて後退してしう。これでトップに立ったのは999号車CARGUY HURACAN GT3(木村武史/Kei Cozzolino/Afiq Yazid組)で、24号車GT-R、3号車ENDLESS GT-R(YUKE TANIGUCHI/山内英輝/銘苅翼組)、前回シリーズチャンピオンを確定させた99号車 Y’s distraction GTNET GT-R(浜野彰彦/星野一樹/藤波清斗組)が続いた。

 44周目にトップを守った999号車ランボルギーニのKozzorinoがピットインし、翌周には24号車GT-Rの藤井と3号車GT-Rの山内がピットイン。24号車は第2スティントをジェントルマンドライバーの内田が担当することもあり、少なめの給油でピットアウトしトップに躍り出た。

 レース後半、24号車GT-Rは69周でピットインして平峰に交代。これでトップに立った3号車GT-Rは87周でピットインしてジェントルマンドライバーのTANIGUCHIに交代。トップの999号車ランボルギーニも88周でピットインした。

 2回目のピット作業が落ち着くと、24号車GT-Rが後続に30秒近いリードを保ちトップ。3号車GT-R、早めに最初のピット作業を済ませ、浜野、星野、藤波とつないできた99号車GT-R、244号車MAX Racing RC F(田中徹/田中哲也/佐藤公哉/土屋武士組)、81号車アウディの順に。

 95周目に99号車GT-Rが3号車GT-Rを捕らえて2番手へ浮上。104周目の1コーナーでは244号車RC Fに81号車アウディが接触して244号車はスピン。81号車は99号車もかわして2番手に上がるも、244号車との接触でドライブスルーのペナルティを喫し3番手に。

 24号車GT-Rは危なげない内容でチェッカーフラッグを受け、S耐最後のレースを優勝で飾った。

「初優勝もチャンピオンを決めたのも、最後の優勝もこの岡山。チーム力の強さを形にできた」と藤井はS耐最後のレースを振り返った。2位は99号車GT-R、3位は81号車アウディとなった。

■ST-3クラスでは激しいチャンピオン争いに

 このレースでもっとも激しいチャンピオン争いを展開したのがST-3クラス(全8台)。

 ポイントリーダーの62号車DENSO Le Bausset RC350(嵯峨宏紀/山下健太/宮田莉朋組)は予選5番手、前回IS350からRC350へマシンをスイッチしたランキング2位の38号車muta Racing ADVICS RC350 TWS(堀田誠/阪口良平組)が予選4番手、そしてランキング3位の68号車埼玉トヨペット Green Brave GR SPORT マークX(服部尚貴/脇阪薫一/平沼貴之組)がポールポジションからのスタートする。

 そこへ予選3番手の15号車岡部自動車 GO&FUN T-MANZ34(長島正明/小松一臣組)が絡み、序盤から68号車マークXの脇阪、38号車RCの阪口、15号車Zの小松、62号車RCの山下、4台が数珠つなぎのデッドヒートを延々と展開した。

 レース中盤で一旦は距離ができたが、4台ともタイヤ無交換を敢行したこともあり終盤にこのバトルが再燃。

 62号車RCの嵯峨は2番手を守ればチャンピオンで、90周目に38号車RCの阪口にトップを譲るまでは計算どおり。しかし15号車Zの小松が4番手からぐいぐいと順位を上げ、103周目には2番手へ浮上。さらにはトップを追いつめにかかるも38号車RCをかわすまでにはいたらず、0.2秒差の2位となった。

 僅差のクラス優勝を飾ったことで38号車は2年ぶりの王座奪回。2年連続でタイトルを逃した62号車RCのドライバーたちはがっくりと肩を落とすしかなかった。

 もうひとつチャンピオンが決まっていなかったST-2クラス(全4台)では、6号車新菱オート☆DIXCELエボX(冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄組)が富士24時間以来の2勝目で、2位でゴールした59号車DAMD MOTUL ED WRX STI(大澤学/後藤比東至/井口卓人/石坂瑞基組)がタイトルを守った。

 ST-TCRクラス(全8台)では、既にタイトルを決めている97号車Modulo CIVIC TCR(植松忠雄/中野信治/大津弘樹/小林崇志組)が3勝目を飾った。

 ST-Zクラス(全1台)にデビューした550号車モノコレ GINETTA KAP CUSPA(RYO/安田裕信/廣田秀機組)は、タイヤのラバー片がキルスイッチに当たりエンジンがストップしてしまうアクシデントに見舞われたが、無事に完走を果たし初陣を終えた。

 ST-1クラス(全1台)では31号車Porsche991 GT3 Cup(T.Stark/影山正美/富田竜一郎組)が3勝目を挙げた。

 4日の午前中に行われたGr-2のレースでは、クラス4(全14台)では、2年連続チャンピオンの86号車TOM’S SPIRIT 86(松井孝允/坪井翔/中山雄一組)、13号車ENDLESS 86(小川諒/高橋翼/花里祐弥/呉良亮組)、そして58号車ウィンマックステインワコーズDC5☆KRP(小林康一/塩谷列州/瀬戸貴巨組)がトップ争いを繰り広げ、13号車86が逃げ切り今季初優勝を遂げた。

 過去最多となる15台が参加したST-5クラスでは、2号車TEAM221ロードスター(筒井克彦/山西康司/山下潤一郎/上村優太組)が山西と上村の頑張りで優勝を遂げ、逆転でタイトルを獲得した。

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