金属行人(11月7日付)

 4~9月期の決算が出そろってきたが、電炉メーカーの決算で特徴的なのは、電極、耐火物、合金鉄など副資材と輸送費の上昇が収益を圧迫したことだ。前年同期の経常赤字から黒字転換した企業もあるが、多くは増収減益パターンとなった▼建設需要の好調を受けて販売量は増加。製品価格も1万円前後上昇した。主原料の鉄スクラップも8千円前後上昇したがスプレッドは3千円前後改善した。中には5千円前後改善した電炉もある▼しかし、収益拡大を阻んだのが副資材や輸送コストの急騰。製品1トン当たり3千円前後のコスト増にとどまったメーカーもあるが、5千~6千円ほど上昇したところも出ている▼副資材の中で値上がりが激しかったのが電極。昨年比3倍前後の上昇というから驚く。現在1トン150万円ほどになっていると聞く。原因は中国で地条鋼メーカーが廃止され、電炉メーカーが増えたことで電極の需要が急増したこと。電極の原料もひっ迫状態という▼メーカーでは「電極の大幅値上げはやり過ぎだが、副資材価格の騰勢が沈静化するのはもう少し先。製品価格をしっかり上げないと赤字の恐れも出る」として、副資材の使用原単位低減策に取り組んでいる。電力など省エネ対策に続く大きな課題である。

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