東邦亜鉛の丸崎社長「足元の亜鉛需給は堅調」 中国減産で在庫も減少

 東邦亜鉛の丸崎公康社長は5日のIRミーティングで、亜鉛需給の動向について「亜鉛価格の下落を受け、中国勢が6月ごろにかなり減産したと聞いている。それによって上海在庫が減少し、中国国内のプレミアムが高騰したため、亜鉛価格は9~10月にかけてやや回復した。加えてLME(ロンドン金属取引所)在庫も減少しており、需給的には亜鉛のファンダメンタルズは堅調だ」との見方を示した。

 丸崎社長は、「亜鉛の鉱石需給は南アフリカや豪州の鉱山の立ち上がりなどで来年に向けて緩和傾向にあるとみられている。だが、国際鉛・亜鉛研究会(ILZSG)が今秋公表した来年の亜鉛地金の需給予測では、まだ7万トン強の供給不足とみられており、亜鉛自体の需給はまだしっかりしている」との見方を示した。一方で亜鉛価格の見通しについては「もう一段の上昇を期待したいが、米中貿易摩擦の問題がくすぶっており、さらに上昇していくには難しい環境にある」と話した。

 一方、来年の亜鉛鉱石の買鉱交渉の見通しについて山岸正明取締役兼常務執行役員は「スポットTC(溶錬費)は、6月ごろまで低水準だったが、7月以降は上昇基調となり、8月に70ドル、9月には3ケタ台となっており、来年の買鉱条件の改善を期待する声もある。一方で需給バランスは新しい鉱山のパフォーマンス次第で、それほど緩まないとの見方もあるかもしれない」と説明した。

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