「CR7不在でも問題なし?再起を図るポルトガル代表で評価を急上昇させている5人」

欧州王者として臨んだロシアW杯でベスト16に終わったポルトガル代表。ウルグアイの堅守の前に頼みの綱であるクリスティアーノ・ロナウドは完全に封じ込まれ、チームとしての“一種の限界”を感じさせられる敗戦となった。

W杯大会終了後、上述のエースは代表ユニフォームを身に着けることに距離を置いているが、その一方でチームが好調を維持していることはご存じだろうか。

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W杯準優勝国であるクロアチアを含めた、イタリア、ポーランド、スコットランドとの4戦で3勝1分の成績を残し、ここまで「CR7依存」を微塵も感じさせない再スタートに成功している。

そこでここでは、クリスティアーノ・ロナウドが不在の現ポルトガル代表において、その評価を飛躍的に上昇させているプレーヤーを筆者なりの見解で選出してみたい。


アンドレ・シウヴァ

Andre Silva
1995年11月6日生まれ(23歳)
ポジション:CF

ゴンサロ・グエデスと共に「クリスティアーノ・ロナウドに代われる存在」として期待されたW杯では、屈辱の結果に終わってしまったが、名誉挽回とばかりに気を吐いている。

イタリアとスコットランドとの試合で共に1ゴールずつを記録し、再スタート後の代表では3試合に出場して2得点と、まさにエース級の働き。

現在、チームは基本フォーメーションをこれまでの2トップから3トップに変更しているが、そのシステムチェンジも功を奏し、最前線で確かな存在感を放っている。

また、鳴かず飛ばずであったミランから移籍したセビージャで大爆発している点も代表チームにとって嬉しい材料と言えるだろう。

フランス代表FW、ウィサム・ベン・イェデルと破壊力抜群のコンビを組み、ラ・リーガでは既に7得点を上げているが、これはあのリオネル・メッシと並び「ゴールランキング4位」という成績である。

クリスティアーノ・ロナウドが代表に帰還した際は、彼がどのように起用されていくかが一つの注目点となりそうだ。

ルーベン・ネヴェス

Ruben Neves
1997年3月13日生まれ(21歳)
ポジション:DMF/CMF

W杯終了後、再起を図るフェルナンド・サントス政権において「最も評価を上げた選手は?」と問われれば、間違いなくこの男を挙げざるを得ないだろう。

中盤の底に人を配置した新生チームで、文字通り「司令塔」として心臓部を司り、出場した全ての試合でゲームをコントロール。

これまでのポルトガル代表では、4-3-3使用時のアンカー役は、どちらかと言えば防波堤として機能する選手を起用していただけに、彼のようなプレーメーカーの台頭はチームに革新をもたらした。

そして、彼がこのポジションで信頼の置けるパフォーマンスを発揮することにより、周囲で恩恵を受けているプレーヤーも存在する。その一人がウィリアム・カルヴァーリョだ。

彼はこれまで代表ではリスク管理を重視した役割が多く、ポジショニングも比較的低めの位置に取ることが多かったが、ネヴェスの登場で一列前のポジション(インサイドハーフ)でのプレーが可能に。

積極的に前からボールを狩りにいくスタイルとバイタルエリアにも積極的に顔を出すダイナミズムで「ボールを中心に能動的に仕掛ける」という新たなポルトガル代表のスタイルを実現させている。

自らのパフォーマンスでチームに貢献するだけではなく、各方面にもメリットをもたらすルーベン・ネヴェスの存在価値は増すばかりだ。

ルーベン・ディアス

Ruben Dias
1997年5月14日生まれ(21歳)
ポジション:CB

「センターバックの高齢化」という積年の悩みを抱えてきたポルトガル代表で解決役として任命され、ここまでその期待に応えているのがベンフィカ産の大器だ。

若くしてロシアW杯前にA代表初招集を受け、そのまま本大会メンバーにも名を連ねるなど、既に指揮官から高い評価を受けていたが、大会終了後に本領を発揮。

「ジョゼ・フォンテ、ブルーノ・アウヴェスら重鎮たちはもはや不要」と証明するかのごとく、主将代行のペペと抜群のコンビネーションで安定したディフェンスを披露している。

フィードのバリエーション、ドリブラーへの対応など、まだまだ伸びしろもあり、このまま着実に成長すれば、ポルトガルのCB陣の課題は解消されるだろう。

マリオ・ルイ

Mario Rui
1991年5月27日生まれ(27歳)
ポジション:LB

20歳後半にして代表キャップは「7」と決して多くなく、今日に至るまでバックアッパーの領域を脱せずにいたが、ラファエル・ゲレイロが故障している間に左サイドバックのポジションを掴むと、そのままレギュラー格へと躍り出た。

マウリツィオ・サッリが率いたナポリのポジショナルプレーの中でその攻撃センスを磨き上げ、自身も勇猛果敢にペナルティエリア内に進入するプレースタイルを確立。

自陣でのパスワークにも積極的に関与することで「組み立て」と「崩し」を高水準で実行できる左サイドバックとして、移籍市場においても注目を集めつつある。

無論、守備面など弱点も抱えているが、それを補って余りある特徴でポルトガル代表を支えており、これから勃発するであろうラファエル・ゲレイロとのポジション争いの行く末は気になるところだ。

ピッツィ

Pizzi
1989年10月6日生まれ(29歳)
ポジション:CH/OH/RWG

現在のチームにおいて最もネームバリューは低いかもしれない。しかし、そのいぶし銀の働きで、30歳手前にして評価を急上昇させているのがピッツィだ。

若い頃はなかなか所属クラブが定着せず、レンタルで国内外を転々とする日々を過ごしていたが、2014年に加入したベンフィカへの移籍が大成功。

ポルトガル屈指の名門で瞬く間にレギュラーポジションを手にすると、2016-17シーズンには国内リーグにおいて二桁得点をマーク。本職はセントラルミッドフィルダーでありながら、より攻撃的なポジションでの起用にも応えて、「ゴールが奪えるMF」として高評価を得た。

代表では2012年にデビューを果たし、2017年にはコンフェデレーションズカップに参加するなど一定の活躍を見せたが、ロシアW杯のメンバーからは落選。大会終了後にようやくチャンスが回ってきた格好だが、チームのシステム変更もあり、インサイドハーフのポジションでスタメンの座を掴むと、持ち前の武器をフル活用。

技術力があるだけではなく攻守両面における高いインテンシティを備えている彼の特性は、現代表が志向する戦術上の鍵となっており、このポジションにおける序列でも、ジョアン・モウティーニョ、アドリエン・シウヴァ、アンドレ・ゴメス、ジョアン・マリオ、レナト・サンチェスら実力者を上回っている。

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