金属行人(11月12日付)

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 日本の「ものづくり」が世界的にも優れている具体例として「トヨタ生産方式」が挙げられる▼米国のスーパーマーケットで豊富な在庫から客が選択して商品を取り、減った分を店が補充する点に着目。それを「後工程引き取り」として自動車生産に応用、発展させたという話は有名だ。それと、忘れてならないのが現物票。つまり「カンバン」だ▼「前工程の生産を平準化させる」のがカンバン。スーパーなら「客が店の仕入れを考え、事前に買う量を伝える」ことだろうか。それはつまり、鉄源などに「限りがある」ことを念頭に、どの部品をどれだけつくればいいのかという情報をあらかじめ提示する、ということだろう▼カンバンに代表される自動車の生産方式が鉄源など原料の不足を懸念するのは、自社の「クルマが売れに売れる」ことがまずある。増産を前提にした生産方式とも言える。しかし、懸念以前に鉄源や原材料が不足するようだったら、どうなるのだろう。そこに至る過程は実に複雑で長期にわたることだろうが▼「集中購買制度」には、買う側の数量メリットのほかに「安定供給」という目的もあるはずだ。量と価格のバランス。「後工程」での厳しい事情は推察できるが、制度運用にゆがみが生じると「前工程」との最適化が損なわれる。十分な議論が重要とみる。