被爆死の蘭人捕虜 登録申請 歴史研究家・森さん 追悼平和祈念館に

 被爆死した外国人捕虜を40年以上調査している広島の被爆者で歴史研究家の森重昭さん(81)=広島市=は12日、長崎市平野町の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館を訪ね、長崎原爆で被爆死したオランダ人捕虜の名前を登録申請した。森さんは「登録することで遺族や知人が被爆者の情報を知ることができ、喜んでくれる。記録は大事」と語った。登録されれば8人目。
 オランダ人捕虜の名前はヤッコブトン・ホウドハウスン1等兵。爆心地から約1・7キロの長崎市幸町にあった福岡俘虜(ふりょ)収容所第14分所に1943年に収容され、長崎に原爆が投下された45年8月9日に24歳で亡くなった。
 森さんは8歳の時に爆心地から2・5キロの広島市内で被爆。被爆当時、己斐国民学校で火葬された被爆者数の調査や被爆体験の聞き取りなどをしている。40歳の頃から、元オランダ人捕虜が出版した書籍や、連合国軍総司令部(GHQ)の資料を基に調査し、捕虜の名前を特定。第14分所に収容されていた英国、オランダ、オーストラリアの原爆死没者15人の遺影や氏名の登録に関わってきた。
 森さんは「(当日被爆死した)オランダ人捕虜はあと2人いる。頑張って見つけたい」と語った。
 同館には現在9293人の遺影・氏名が登録済み。このうち外国からの申請は47人で、外国人捕虜は19人。

申請書を黒川館長に手渡す森さん(右)=長崎市、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

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