「タイサン」ブランドで知られる太洋産業(株)、破産に移行へ

 7月9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し7月12日、再生手続開始決定を受けていた太洋産業(株)(TSR企業コード:291081398、法人番号:7402701000157、中央区築地6-16-1、登記上:岩手県大船渡市大船渡町字野々田5-1、設立昭和19年10月12日、資本金1億円、松岡章社長)は11月13日、再生手続廃止決定を受け同日、保全命令を受けた。保全管理人には鶴巻暁弁護士(上條・鶴巻法律事務所、千代田区神田小川町2-2-8、電話03-5577-8236)が選任された。今後は職権により破産へ移行する。  民事再生法申請時の負債総額は約49億4500万円。

 「タイサン」ブランドで知られる塩干物や生鮮魚の加工販売業者。イクラやタラコなどを主体に、秋刀魚や生鮭などの鮮冷魚、鮭フレークなどの水産加工品も扱い、昭和57年12月期には売上高330億1589万円をあげていた。釧路工場や根室工場、大船渡工場の生産体制を強化していたが、平成23年3月の東日本大震災で、大船渡工場が津波により被災し、全壊。このため、24年3月期(決算期変更)は売上高が73億7252万円にまで落ち込み、以降も売上高は一進一退の推移を余儀なくされた。  近年は秋刀魚の漁獲量が減少したことで利益が減少し、経常利益ベースでは22年3月期から29年3月期まで8期連続の赤字と苦戦が続き、復興補助金などの活用で資金繰りを維持していた。29年3月期は子会社の売却など再編を進めていたが、主力製品の秋刀魚の記録的な不漁が続き、原材料の仕入が激減したため自力での再建を断念し、30年7月9日に民事再生法の適用を申請していた。  その後、スポンサーからの支援を前提とした再生計画を進めていたが、スポンサー候補との交渉がまとまらず再生計画の策定が頓挫し、今回の措置となった。

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