西岡剛がトライアウトを受けた理由 激白した想い「チャレンジです、常に」

シート打撃では4打数1安打1打点だった西岡剛【写真:福谷佑介】

NPB以外も選択肢「野球ができる場所であれば」

 プロ野球の12球団合同トライアウトは13日、ソフトバンクの2軍本拠地球ホームスタジアムで48選手が参加して行われた。阪神を戦力外となり、現役続行の望みをかけてトライアウトに挑んだ西岡剛内野手は4打数1安打1打点2三振。トライアウト終了後は、多くの報道陣に囲まれ、その心境を激白した。

 カウント1-1から始まるシート打撃。第1打席では楽天のコラレスの前に空振り三振に倒れた西岡だったが、第2打席ではロッテ時代のチームメートである成瀬から左中間を破る二塁打を放った。第3打席は巨人の篠原慎平投手の前に見逃し三振。そして、第4打席は広島のオスカルの前に遊ゴロに倒れた。

 まず西岡が口にしたのはファンへの感謝の言葉だった。この日、会場をホームとするソフトバンク勢とともに大きな声援を浴びていたのが西岡で、「1番支えてもらったのはファンの声援だったり手紙だった。常にそういう方に支えられているんだな、今日トライしている全員がファンに支えられているんだなと感じました」と語った。

 打撃内容は4打数1安打、2つの三振を喫した。猛アピールとはいかなかったものの、「納得というか、相手もあることですから、4打数4安打、打てたらそれは気分はいいでしょうけど、その中でも1本打てたというのは気分的には楽にはなりました。それだけでは僕が決められることじゃないので、いい報告が来るようにこれからも練習を続けていきたいなと思います」とした。

古巣ロッテへの強い愛着「心の中では願ってます」

 34歳になり、今回のトライアウト受験者の中では最年長だった。様々な選択肢が考えられる中で、西岡はなぜトライアウトを受けたのか。「僕はいつも小さいときから、親父から言われてきたんですけど、チャレンジする選択肢があるなら、一番難しいものにトライしなさいと言われて育ってきた。ロッテからアメリカに行く時も、ロッテに残る方がいいのかと考え、アメリカに行く方がすごいチャレンジだと思いました。残念なことに僕の力がなかったわけですから。日本に帰ってくる時にも色んな球団がありましたけど、1番プレッシャーかかって難しいところはどこだろうと考えた時に、それが阪神だったんです。トライアウト受けて、続けるほうが難しい選択だなと思ったので。チャレンジです、常に」。西岡なりの矜持であった。

 古巣ロッテへの愛着を語る口調は熱を帯びた。「身近な関係者の人にはずっとロッテ出たときから、最後はロッテのユニホームを着て引退するんだというのをずっと言ってきました。シナリオから言うと格好悪い感じになりましたけど。しっかりと結果を出して、メジャーで結果を出して日本に帰ってくる時にロッテに戻れるような野球人生を歩めたら最高なことだったと思うんですけど、いかんせん僕の力がなかったわけですから。ただ、まだユニホーム着て、トライアウトという場があるということは、トライしないといけないと思いますし、動きを見てもらって、戻ってきてほしいなと思ってもらえるようにやってきたつもり。あとは僕が決めることじゃない。ただ心の中では願ってます」とプロのキャリアをスタートさせた古巣からのオファーを願った。

 とはいえ、34歳のベテランで、現実的には厳しいことも理解はしている。NPB以外の選択肢について問われると「もちろんもちろん。NPBがなければ、野球ができる場所であれば。野球を続けたいわけですから。自分の意志だけではできない立場になってきたので、僕の気持ちだけではどうにもできないですけど、野球は続けます」と答えた。トライアウトにまでチャレンジした西岡の想いは、どこかの球団に届くだろうか。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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