【中国要因でフェロバナジウム急騰】785N級高強度フープ筋、1万円強の値上げ必至

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 製鋼副原料のフェロバナジウム価格急騰を受け、785フープ筋の販売価格でトン1万円強の値上げが必至となっている。母材となる785N級の高強度せん断補強筋は製造コストがバナジウム高でトン1万2千円上昇。母材を製造する電炉メーカーが11月の新規契約分からトン1万円の値上げをフープ筋メーカーに要請している。バナジウムの急騰は、中国で鉄筋にバナジウム添加を定めた新たな規格が導入され、需要拡大が見込まれることが要因。「中国の需要拡大が理由だけに当面バナジウム価格は下がらない」(母材メーカー)との見方が強く、コスト高の転嫁が急務となっている。

 降伏点強度が1平方ミリメートル当たり785N級の高強度せん断補強筋を1トン生産するには、強度を高めるため約3キログラムのバナジウムが使用される。母材メーカーは月次でフェロバナジウムを調達しており、足元の市況急騰で大幅にコストが上昇。月次赤字に陥っている。

 中国では2008年の四川大地震で建物の倒壊により多数の死者が発生。政府が建築物の耐震化を図るため、バナジウム含有量を定めた新たな高強度鉄筋規格の導入を決めた。

 新たな鉄筋規格の発表を受けて08年にフェロバナジウムの国際市況が高騰。その後は落ち着いた値動きになっていたものの、足元で急騰し、05年以来13年ぶりに100ドル台を突破する動きとなっている。

 フェロバナジウムの供給元は約9割が中国とされる。代替品とされるニオブも使用実績が乏しく、国内電炉メーカーの使用はテスト段階にとどまる。

 高強度せん断補強筋の製造にフェロバナジウムは不可欠なため、急騰するコスト高の転嫁に母材メーカーやフープ筋メーカーは理解を求めていく考え。