【女子プロ野球】オリ元ドラ1、京都の川口監督が語る2018年「我ながら上出来だった」

京都フローラ・川口知哉監督【写真提供:日本女子プロ野球リーグ】

村松が急成長、女王決定戦の敗北も糧に

 日本女子プロ野球(JWBL)は、10月28日の女子野球ジャパンカップ決勝で京都フローラが尚美学園大を6-1で下し、2018年シーズンの幕を閉じた。ヴィクトリアシリーズを制したフローラは、日本シリーズ女王決定戦で愛知ディオーネに“下剋上”を許すまさかの敗北を喫したが、シーズン総決算のジャパンカップを勝っていい結果で2018年を締めくくった。元オリックス投手でもある京都の川口知哉監督に、2018年シーズンを振り返り、来季へ向けての決意を語ってもらった。

 女王決定戦こそ足許をすくわれたが、川口監督は「我ながら上出来のシーズンでした」と2018年を総括した。

「若手選手とベテラン選手のスキルがかみ合い、私自身がやりたい野球を選手が体現してくれました。そういう意味では自分の想像以上の結果になったシーズンでした」川口監督が今シーズン、もっとも重点をおいて取り組んできたのは、個々の選手が目標を設定し、それを追求すること。野手は軸をぶらさず、どんな球が来ても常に自分のスイングができること、投手は配球面を重視し、バッテリーのコミュニケーションを取って、どんな状況でも勝負できるようになることをチームの目標として掲げた。「普段から伝えてきたことはシンプルで、プレイに隙を見せない、作らないことを練習から意識してきました」と、難しいことよりも、当たり前のことを当たり前にできるようになることを目指してきた。

 今シーズン、特に伸びた選手として、監督は捕手の村松珠希選手を挙げた。「チームの投手陣の力を最大限引き出してくれました。普段から勉強熱心な選手で、練習の中でも常に学ぼうとする姿勢を強く感じました。相手のことを把握し、ケース毎にあった配球の組み立てを行ってくれました」2年間在籍したレイアから、今シーズンフローラに加入。打撃6位の打率.331。レイアでの2シーズンが.200、.154だったことを考えれば、大きな成長を遂げた。「捕手としての経験値が上がるたびに、打席の中でも余裕を見せ打撃でも大きく貢献してくれた選手です」と川口監督も評価した。

 女王決定戦での敗北も、チーム全体のレベルアップにつなげた。「悔しさをかみ締め、なんとしても優勝することを掲げ臨んだ試合でした。尚美学園大の投手陣に序盤押され気味の中でも、各打者が打席を重ねるたび、打ち取られても攻略に繋がるヒントを得ているのを感じ、ついには捉え、試合にも勝利することができました。シーズン通して選手、チームが成長したと感じた試合でした」結果はもちろんのこと、選手たちが自ら考えて相手を攻略したことに、監督も手ごたえを感じた試合だった。

 来シーズンは、2冠王者として臨むシーズンとなる。「チーム全体でスケールアップできるように取り組んでいきたい。野手は、小柄な選手でもホームランを打てる打者を誕生させること。投手は、球速アップを目指すこと。そのために、この冬で鍛えた筋力を各動作に結びつけていく感覚を覚えさせてあげたい」チームの土台はしっかりと築かれた。その上にさらなるプラスアルファを加え、常勝軍団に育て上げるのが、川口監督の目標だ。「来シーズン始まった時に『女子でもこんなにできるんや』とファンの方たちに感じてもらうようなプレーを見せられようにしていきたいですね」と監督はさらなる躍進を誓った。(Full-Count編集部)

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