覇権奪回を目指すカージナルス 最優先課題はブルペンの立て直し

マーセル・オズーナを獲得した昨オフに続き、今オフも強打者の獲得を目指しているカージナルスだが、今オフ、補強が必要不可欠な部門がもう一つある。それは今季の戦いにおいてチームの足を大きく引っ張ったブルペンだ。ジョーダン・ヒックス、ダコタ・ハドソンといったルーキーの踏ん張りにより一時は安定感を取り戻したものの、確固たる勝ちパターンを形成するには至らず。チーム最多の28セーブをマークしたバド・ノリスはフリーエージェントとなっており、ブルペンの補強は必要不可欠な状況だ。

今季のカージナルスの救援防御率4.38はリーグ12位の数字であり、与四球率4.34がリーグワースト2位だった一方、奪三振率8.31もリーグワースト4位。相手打線に対して支配的なピッチングを展開できる投手がおらず、結果的に四球が増えて失点につながるという悪循環を招く場面が目立った。移籍2年目のブレット・シーセルや新戦力のグレッグ・ホランド、ルーク・グレガーソンがいずれも期待はずれに終わり、近年のブルペンを支えてきたタイラー・ライオンズやマット・ボーマンも不振。ヒックスやハドソンといったルーキーに頼らざるを得ない状況だったのだ。

同地区にジョーイ・ボットー(レッズ)、クリスチャン・イェリッチ(ブリュワーズ)、アンソニー・リゾー(カブス)といった強打の左打者がいることを考えると、信頼できるリリーフ左腕の獲得は必須と言える。シーセルや今季途中に加入したチェイセン・シュリーブは今一つ信頼に欠け、アンドリュー・ミラー、トニー・シップ、ジャスティン・ウィルソンらの獲得を狙うことになりそうだ。

また、現時点ではメジャーの「新・速球王」となったヒックスがクローザーの最有力候補だが、ジョン・モゼリアック野球部門社長は大物クローザーを獲得する可能性を完全には否定していない。超有望株と期待されながらも相次ぐ故障に苦しまされているアレックス・レイエスをクローザーに抜擢する可能性もあるだろう。

さらに、カージナルスは先発候補を豊富に抱えており、先発ローテーション争いから脱落した投手をブルペンに回すこともできる。もちろん、余った先発投手やホゼ・マルティネス、ジェッド・ジョーコといったトレード要員を活用してリリーフ投手を獲得することも可能だろう。いずれにしても、今オフのカージナルスは信頼できるリリーフ左腕を含む複数のリリーバーの獲得に動くことになりそうだ。

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