地域リーグを経てオーストラリアで奮闘するサムライが居た!?

今回コラムに登場して頂いたのは、セレッソ大阪ユース、福島ユナイテッド、FC鈴鹿ランポーレ(鈴鹿アンリミテッドFC)などでプレーされた藤本安之選手です。現在はオーストラリアの地で奮闘中!?

◆選手経歴

2005-2007 セレッソ大阪U-18

2008-2011 大阪産業大学

2012 福島ユナイテッド

2013 FC鈴鹿ランポーレ

2014~  Albany Creek Excelsior FC

◆地域リーグのレベルや待遇のリアル!?

セレッソ大阪ユース出身という事ですが、Jリーグという選択肢は選ばれなかったのですか?

大学卒業時に自分にJリーグへ行くだけの実力がなかったため、選考会にて声をかけていただいた地域リーグへ進むという以外の道はなかったという理由からです。選ぶ立場、進路を選べる土俵にいなかったということです。

地域リーグからJリーグを目指す事って、ぶっちゃけ可能ですか??

もちろん可能だとは思います。大卒1年目に所属していた福島ユナイテッドFCでは、地域リーグ→JFL→J3と上がっていくなかで所属し続けている選手もいます。チームと共に昇格していくということが一つと、最近の地域リーグを見ていてもレンタル移籍にてJリーガーが加入しているチームも多いため、実力に関しては、紙一重の部分もあると思います。あとは運とタイミングにもよるとは思いますが。

タイミングと運は重要ですよね。ところで、地域リーグでプレーする際に、プロ契約って存在するのでしょうか?

僕が所属した2チームでは、当時プロ契約はなかったですね。

福島ユナイテッドでは、スクールを週に1度もしくは2度でそれなりに給料をいただける契約はあったみたいですが、僕のような大卒の選手にというより、元Jリーガーに対しての契約だったため詳細は分かっていません。

FC鈴鹿ランポーレ(現:鈴鹿アンリミテッドFC)では、僕が所属していた当時は体制面がまだまだ整っておらず、プロ契約はおろかサッカーでお金をもらうという部分においては非常に厳しい環境でした。大抵の選手がチームに所属し、サッカーをする傍らアルバイトや正社員と雇用形態は問わずとも労働をしていました。

しかし、地域リーグにも注目が集まる現状では地域リーグでもプロ契約は存在すると思いますよ。

サッカーで生活するためオーストラリアへ!

なぜ、オーストラリアへ渡ったのでしょうか?

長い間サッカーをしてきて自分の立ち位置を考えるようになり、普通にサッカーをしているだけではプロになれないと感じ始め、少しずつ将来のことを考えたときに何か一つでも自分の身になるものを得ようと思い、その時に思いついたのが「英語」の習得でした。

じゃあ、その英語圏の中でどの国にしようと思い、色々と調べていくうちにオーストラリア/ブリスベンでチームを紹介してくれる人が高校の先輩ということで何か手助けになってくれるのではと思い、コンタクトを取った結果オーストラリアに決定しました。

「英語」x「知人」という安心を選びました。

現地のレベルや待遇を教えて下さい!

正直言って、レベルはめちゃくちゃ高いわけではないです。地域リーグ時代はサッカーで収入を得るということは難しかったですが、現地でプレーするにあたり試合給が発生しサッカーでお金を稼ぐということを体感することができます。

また、待遇も所属クラブやリーグにもよって違うので国全体についてはなんとも言えませんが、お金持ちクラブに所属するとそれなりに待遇もいいと思います。

オーストラリアでの苦労はありましたか?

渡豪当初は、もちろん「言葉」の面での苦労が大きかったです。通訳がいるわけではないので言っている言葉がわからなくても周りを見てすぐに何をするのか、何をして欲しいのかを見つける必要がありました。

もう一つは、サッカーのプレースタイルの違いです。日本のように後ろからしっかり繋いで崩す。守備においても相手の攻撃を遅らせ数的優位を作って奪いにいくというものがなく、基本的に個と個の勝負です。近年は欧州のサッカーが身近になってきてパスを繋ぐという戦術が現地では出てきていますが、渡豪当初は昔のオーストラリアから想像できるラグビーのような放り込むサッカーだったので、この中でいかに自分の良さを出すのかという部分で葛藤し馴染むまでは本当に苦労しましたね。

今後、海外でプレーする選手にアドバイスを宜しくお願いします!!

第一に「言葉」ですね、どこの国に行こうが言葉が使えないとコミュニケーションが取れないため、自分の欲しいボールがもらえない、自分の思った通りに動いてくれないなどが起き、自分の思っているプレーができません。それではアピールするにも実力の半分も出せないと思います。

もう一つが、「殻を破る」です。日本人はみんなが動けば動く、あまり発言しないとされていますが、短い海外生活なので積極的に発言をしてチームの輪に入っていかないと時間がもったいないです。また、そうやって発言をすることでチームメイトからも注目してもらえ、サッカー時においても仲間と思ってもらえると思います。僕も1年目は輪に入らずにいて、勿体無いことしたなと今になって後悔しています。

最後に、「歩み寄る」です。特にサッカーのスタイルが違うので違う戦術だからと言って自分のしたいことしかしないでは試合に使ってもらえません。これを見ている選手はスーパースター(クリロナ、メッシ)ではないので、自分中心のサッカーになるはずもありません。いかに現地のサッカーに対応し、その中で自分の良さを出すのかという部分が活躍する方法ではないかと思います。

プレーヤーとしての終着点!目標と描く夢

どのレベルがゴール、いつまでプレーするということは決めず1日1日を全力でやりきり、もう全部出し切ったというところまで進んでいきたいです。そこが自分の中でのゴールだと思っています。ただ、プレイヤーとしてサッカーをする以上は向上心を持って、去年より今年、今年より来年と毎年毎年過去の自分に打ち勝つようにやっていきたいです。向上心をなくした時が第一線を退く時と昔から決めているので、まだまだ突っ走っていきたいですね。

オフザピッチでも今までと少し違った視点からサッカーを見て、自分だけでなくチームメイトや若い選手たちへのアドバイス含めて今後のサッカー界の発展につながる活動もしていきたいと思っています。

長い間サッカーをしてきて、サッカーで人間ができている部分もあるので、「サッカーへ恩返し」をテーマに活動していけるように取り組んでいくつもりです!!

藤本選手ありがとうございました!!

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