ホンダ青山のイベントに山本&バトンが登場。「アブダビでたくさんのことを吸収できた」山本がファンの前でF1への思いを報告

 ホンダとして8年ぶりにスーパーGTのタイトルをもたらしたRAYBRIG NSX-GTのチャンピオン獲得を記念して、ホンダは11月26日、青山本社のウェルカムプラザで「2018 SUPER GT 応援感謝 ファンミーティング」と題したファン感謝イベントを開催。山本尚貴とジェンソン・バトン、そして高橋国光総監督が登壇して、今シーズンを振り返ってファンの応援に感謝を述べ、山本は直前まで訪問していたF1アブダビGPについて報告を行った。

 一般の入場客わずか120名先着順のイベントとあって、平日にも関わらずすぐに満席となった今回のファンイベント。スーパーGT最終戦もてぎ戦を終えてまだ約2週間しか経っておらず、レース後、はじめてドライバーふたりの声を聞ける機会とあってか、立ち見も出るような熱気の中でイベントは行われた。

「感無量です。本当にみなさんの応援のお陰でタイトルを獲ることができました」と高橋国光総監督がファンへの感謝を述べ、レース後に涙を見せた山本も「泣こうと思えば今でも泣けると思います(苦笑)」と最終戦のチェッカー後を振り返ると、その後は山本、バトンともにシーズンの裏話を話し始めた。

「最初はJB(ジェンソン・バトン)のことはジェントルマンで気さくと聞いていましたが、乗る度にステアリングの位置が遠くなっていったりしました。さすがワールドチャンピオンと思いました(苦笑)」と、山本はさり気なく自分の好みにセットアップを優先してくバトンの巧さに感心。

 一方のバトンは、今季一番のハイライトに最終戦の後半スティントを挙げ、「ナオキのダブルタイトルが懸かっていたから大きなプレッシャーだった。みんな分かっていないかもしれないけど、チームで一番プレッシャーを感じていたのは僕だよ。ナオキはスーパーフォーミュラでタイトルを獲ったわけだから、スーパーGTで獲れなかったとなると必ず僕のせいになってしまうからね」と、最終戦のプレッシャーを吐露。山本もそんなバトンを気遣い、ふたりの仲の良さをアピールする形となった。

 そんなふたりのやりとりを高橋国光監督は、「バトン選手がドライビングポジションにこだわりだして、ホッとしました。ドライビングポジションにこだわるということはドライビングに集中したい、真剣に攻めた走りをしたいということ。ドライビングポジションは本当に大事ですからね。そして山本選手の『そこまで話すんだ』という、バトン選手へのオープンな姿勢には本当にビックリしました。ドライバーなら誰しもが自分だけが知っていることは自分だけのものにして利己主義になりやすいけど、本当にふたりの仲の良さを感じました、まるで兄弟みたいだった(笑)」と、RAYBRIGチーム優勝の秘訣に、山本とバトンのコンビネーションが大きな要因のひとつだったことを明かした。

 バトンにとっても、「スーパーGTはチームメイトが一番速いドライバーであってほしいと思うカテゴリー。スーパーGTのベテランでもあるナオキは、本当に最高のティーチャーだった」と山本への感謝を述べ、お互いをリスペクトし合った。

2018 SUPER GT 応援感謝 ファンミーティングに参加した山本尚貴とジェンソン・バトン

■「まだ何も決まっていない」を強調する山本、F1アブダビGPを訪問を報告

 続けてバトンは「まだ来年の1月の発表まではわからないけど、次のシーズンに向けてまだまだスーパーGTを学びたいし、同じように高いレベルで戦えるように準備をしたい。カーナンバー1を付けたことは僕のレース人生でこれまで2010年の一度しかないんだ。だから、カーナンバー1をつけて来年も走りたいね」と、2019年のスーパーGT参戦への希望を述べると、山本が今後について話始めた。

「僕も一緒にカーナンバー1を付けて戦いたい、次の年も守りたいという気持ちと高いモチベーションがあります」と山本は話ながら、前日までF1アブダビGPを訪問していたことにも触れ、改めてF1への熱い気持ちをファンの前で述べた。

「すでに報道でご存知かもしれませんが、昨日までF1アブダビGPに行っていまして、先ほど帰ってきたばかりなんですけど、F1に乗る/乗らないは抜きにして、ずっと子どもの頃から抱いていたF1に乗りたいという夢をまた再び思い起こさせてくれて、アブダビに行かせてもらったことで本当にたくさんのことを吸収して帰って来れた」と山本。

「これからのことはまだ何も決まっていないですし、自分の力だけではどうにもできないこともあるんですけど、そういうチャンスを用意してもらえたことは、自分でチャンピオンを獲ったから用意してもらえたのではなくて、やっぱりJBはじめ、チーム国光のみんな、そしてスーパーフォーミュラでタイトルを獲れたことでTEAM MUGENのみなさんのたくさんの協力があってアブダビに行かせてもらえたことに感謝しています。まだ何も決まっていませんけど、今年得た貴重な経験は必ず自分にとって大きな財産になるでしょうし、この経験を活かさないといけないなと思っているので、来年も一生懸命レースで走りたいですし、またみなさんに応援をしてもらえれば嬉しいなと思います」と話したところで、会場から盛大な拍手が起きた。

 ファンとしては山本のF1挑戦を応援したいところではあるが、もし山本が2019年のF1シートを獲得したならば、そうなると2年目の山本&バトンコンビはスーパーGTでは見れないことになる。それでも会場では山本の挑戦を応援するような温かい雰囲気が漂っていた。これまもまた、RAYBRIG、チーム国光というチームの雰囲気、そして高橋国光総監督、そして山本、バトンの人柄によるものなのだろう。

進行役のピエール北川氏の軽快なトークで盛り上がった2018 SUPER GT 応援感謝 ファンミーティング
平日の開催にも関わらず多くのファンが訪れたホンダ青山ウェルカムプラザ。本日まで100号車RAYBRIG NSX-GTが展示されたいた
「スーパーGTの印象はイージーだった」と話した直後に「ウソです。とてもタフなカテゴリーでした」とジョークで会場を沸かせたバトン
イベントの最後には高橋国光総監督、山本尚貴、バトンとファンが記念撮影

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