米調査:経営者の8割、ESG課題の発信は必須と認識

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グローブ・スキャン 共同代表のクリス・コルター氏

経営者の82%がESG(環境・社会・ガバナンス)課題について発信することが必須だと認識していると26日、米コンサルタントのグローブ・スキャンが発表した。背景には、自社の掲げる「バリュー」を実行し、信頼の置ける企業が支持される時代において、ESG課題への姿勢を明確化することで、顧客からの支持を高め、企業責任を果たす意思を示し、人材を確保したい企業の狙いがある。(サステナブル・ブランド ジャパン=橘 亜咲)

グローブ・スキャンと米マーケティング会社の3BLメディアは9―10月、80人の企業・団体の経営者・代表者、役員を対象にブランド・アドボカシーに関する調査を行った。

調査によると、82%の回答者がESG課題について自社の立場を明確にし、情報を発信することが必須と回答した。「必要ない」と答えたのは5%だった。今後1年半の間に、企業としてではなくCEO自身がESG課題について情報を発信していく機会が増えるだろうと回答した割合は62%だった。さらに、今後1年半の間に自社が最優先する課題は何かという質問に対しては「ブランド・バリュー」「気候変動・環境対策」「ダイバーシティ・インクルージョン」を選んだ回答者が最も多かった。

ESG課題に対する姿勢を明確化することが必須と考える理由については、「顧客からの支持を高めるため」「利益追求を超えて企業責任を果たす意思を示すため」「従業員の期待に沿うため」ということが分かった。自社のESG情報を発信することで得られる利点については、「人材の獲得」「従業員の定着」「ブランド・エクイティ(ブランドの資産価値)」の3点が挙がった。

“Brands Taking Stand”がキーワードに

調査を行った2社は、ESG課題について自社の立場を明確化し情報を発信することは一過性の流行ではなく「ムーブメント」になっているとの見方を示している。3BLメディアによると、今の時代に支持される消費者ブランドはESG課題に対して明確な姿勢を示している企業だと言う。例えば、米国政府が離脱を表明しているパリ協定の目標を守るよう声を上げる、銃規制の強化を訴える、トランプ政権の移民政策に反対する、LGBTQの権利保護のために立ち上がる企業などだ。

調査を率いたグローブ・スキャンのエリック・ワン氏は「自社の事業活動に関連する社会課題を明確にし、解決に取り組むことはこれまでベン&ジェリーズやパタゴニアなどの企業が行ってきたことだ。今、他の企業もESG課題に対する姿勢をあやふやにするのではなく明確化する必要があると考えるようになってきている」と話している。

企業・ブランドがESGや社会課題に対する姿勢を明確化する重要性については、米PR会社のエデルマンが毎年発表している消費者意識調査「アーンドブランド2018」でも取り上げられている。同調査によると、今や消費者は靴や石鹸を買う際にも、製品と同様に企業の理念を重視して商品を選択する傾向にあると言う。

グローブ・スキャンと3BLメディアは「Brands Taking Stand」、エデルマンは「Brands Take a Stand」と、両者は最新の調査を通して同じ意味を持つキーワードを掲げている。このことから、今後、ブランディングやコミュニケーションにおいてESGや社会課題に対する立ち位置の明確化がより一層進む可能性があることが読み取れる。

グローブ・スキャンと3BLメディアは、今回の調査結果から分かる企業に求められる3つの要素を挙げている。まず、増え続ける複雑な社会問題に対して、企業がどのような姿勢をとるのかをステークホルダーは知りたいということを念頭に入れること。そのためには、企業文化やガバナンス構造、運営能力を早急に適応させる必要があると言う。また、ESGに関する情報発信の方針や制度をつくり、より多くの企業がその手法を形式化させることで、経営トップは企業のパーパスに沿ったESG課題についてより明確に語るようになる。そして、他の企業と協働することも一つの手段だと言う。例えば、11月に行われた米国の中間選挙の投票率を上げるためにウォルマートやパタゴニア、PayPalのCEOなどが協働して立ち上げた企業連合「タイム・トゥ・ボート(Time to Vote)」や温暖化対策を推進する企業・投資家団体「ウィー・ミーン・ビジネス(We Mean Business)」といった動きに加わることだ。