北陸地区の薄板市況、需給タイトで上伸機運

 北陸地区の薄板市況は、ここにきて潮目が変わりつつあるようだ。メーカーが店売り販売枠を縮小する中で操業トラブルも重なり、供給がひっ迫。先行きの供給懸念を見越して、在庫を早めに手当てしようとする動きも出ており、市中では需給タイト感を実感できるようになってきた。

 地区薄板需要は建機が前年を上回るほか、バスがインバウンド特需の反動があったものの、特需前の水準を維持。トラックや機械関連は前年比横ばいながら、総じて前年並みの堅調さを維持している。

 しかし、上期(4~9月)はメーカーロールはひっ迫していたが、市中に在庫不足感は見られず、地区コイルセンターの操業度も「残業することはあったが、それ以外は定時で終業」と繁忙さは感じられなかった。

 そのため価格面では、コイルセンターなど流通各社がメーカー値上げ分の転嫁に取り組んできたが、需給の引き締まりが乏しく、停滞局面が続いていた。

 こうした中、台風21号の影響で物流が滞り、さらに一部メーカーの操業トラブルが発生。市中では仮需的な引き合いも増え、10月後半から11月にかけてにわかにひっ迫感が強まった。

 先行き自動車メーカーは、国内外の需要が旺盛で1月以降の増産を計画。建機も当面は足元の高水準な生産が続く見通しにあるなど底堅い需要が続くとみられている。

 こうした値上げ環境が整いつつある中、積み残し分の転嫁が遅れていた流通各社としては採算改善を推し進めようと再び売り腰を引き締めていく構えで、薄板市況は年末から年度末にかけて基調が強まっていきそうだ。

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