東南アジア、鋼材需要増に陰り タイ、インドネシアは小幅増

 タイの鋼材見掛け消費は1・5%増の848万トンと増加したものの、過去最高だった16年の1921万トンには遠く及ばない状況だ。インドネシアも1・2%増の687万トンと成長が鈍く、一因には建材向けで誘導加熱炉を使いスクラップから造られた「インドネシア版・地条鋼」が幅を利かせているためと指摘される。このほかインフラ整備が活発で近年伸びが目立っていたフィリピンも3・8%増の488万トンと増加は小幅だった。マレーシアは6・6%増と増えたものの鋼板類の在庫増によるところが大きい。シンガポールは4・9%減だった。

 需要の伸びが緩やかな中、地場企業や中国勢の進出などで東南アジア域内での鉄鋼生産は着々と増加している。上期の域内の鋼材生産は15・4%増の1859万トン。鋼材輸入は3%減の2382万トンと一定の自給化が見られるものの、目立つのは35%増の641万トンへ増加している鋼材輸出だ。

 インドネシアやマレーシア、フィリピンなどでは来年以降も地場企業や中国企業による設備増強、製鉄所新設が計画されており、東南アジアへの輸出を狙った中国南部での増産を図る動きもある。東南アジアの需要増という当てが外れ、過剰能力を招く懸念が徐々に強まっている。

ミャンマー、SEAISIに加盟

 東南アジア鉄鋼協会は11月に開いた理事会で、ミャンマーを新たな加盟国に迎えることを承認した。これによりSEAISIは7カ国体制となる。

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