巨人移籍の丸の穴を埋める若手は? 広島の次代を担う若手有望株を探る

来季から巨人でプレーする丸佳浩【写真:荒川祐史】

今季内野で出場の西川が外野も視野に、鈴木の同期・高橋大もチャンス

 2018年のFA戦線も、宣言選手の来季所属先がすべて決まり、幕を閉じた。宣言残留した選手、新天地を選んだ選手と行き先は様々だが、選手が流出した球団は、トレードや外国人選手の獲得などによる補強、あるいは若手選手の育成により、穴を埋めなければならない。丸佳浩外野手が巨人に移る広島だが、不動の中堅手が抜けた穴を埋めるプロスペクトは出てくるか。その候補となる選手をピックアップしてみた。(今年のドラフト指名選手は除く)

 主力が欠けても、その穴を埋める存在が必ずいるのが、広島のセ・リーグ3連覇を支えた強さでもあった。今シーズンも、鈴木誠也、丸が故障離脱した際、昨年まで代走・守備固め要員だった野間峻祥が打撃面で急成長。外国人選手のメヒア、バティスタも頑張った。ファームを見渡すと、丸の穴を埋める候補として次の選手が挙げられる。

○高橋大樹外野手(2012年ドラフト1位)
 龍谷大平安からドラ1で広島に入団して来季で7年目。同年ドラフト2位で入団し、今や押しも押されぬ4番打者に成長した鈴木誠也(二松学舎大付高)と同期で、将来性は鈴木に勝るとも劣らないと評価された大器。時間はかかったが、少しずつ力をつけてきた。今年のウエスタン・リーグでは、98試合出場、打率.272、10本塁打、35打点。98安打は阪神・板山と並ぶリーグトップ、長打率.422(リーグ3位)と持ち前の長打力が発揮されてきた。4年ぶりに1軍の試合にも出場し、8試合15打数5安打、打率.333。打席は少ないながら、打力の非凡さを見せた。丸が抜けた来季は、高橋大にとって鈴木に追いつく大きなチャンスだろう。

○下水流昂外野手(2012年ドラフト4位)
 もともと長打力には定評があり、1軍でも代打を中心に起用されてきた。今シーズンはキャリアハイの67試合に起用され、打率.263、4本塁打、12打点。7月20日の巨人戦では逆転サヨナラ2ラン本塁打を放つなど、勝負強さは格別だ。これまでは“代打屋”だったが、もちろん、本人がそれで満足しているはずはない。外野手は守備力より打力が優先されるポジションでもある。2016年には116打席に立ち、5本塁打をマークしているだけに、一皮むけるいいチャンスだ。

ファーム3冠のメヒアには外国人枠内の争いも

○桑原樹内野手(2014年ドラフト5位)
 ファームでは今シーズン、メヒア、高橋大と並ぶ実績を残した。チームトップの102試合出場、打率.253、2本塁打、26打点、15盗塁。犠打もうまく、リーグ5位タイの8犠打を決めている。田中広輔、菊池涼介がレギュラーに君臨する二塁手、遊撃手としての出場がほとんどだったが、三塁も5試合守っており、メヒアや西川龍馬と競争することも考えられる。長打力ではメヒア、西川に一歩譲るが、西川は外野転向も視野に入れている。常葉菊川高からプロ入りして5年目の来シーズン、まずは1軍初出場を目指したい。

○メヒア内野手
 ドミニカ共和国のカープアカデミー出身の大型内野手は、2017年にファームの首位打者を獲得。今シーズンも1軍で22試合を経験し、打率.268、3本塁打、7打点と一発長打の魅力を見せた。ウエスタン・リーグでは打率.337、20本塁打、59打点で3冠に輝き、期待度は一番だろう。メヒア三塁、西川が外野という布陣になれば、丸の穴を埋めてあまりある強力打線になりそう。ただ、広島はすでに5人の外国人投手とバティスタを抱えており、外国人枠争いがどうなるかが課題となる。

○曽根海成内野手(2013年ソフトバンク育成ドラフト3位)
 層の厚いソフトバンクの育成でもまれ、今シーズン途中の7月に広島へ移籍。ファームでは2チーム合わせて98打数31安打、打率.316、9打点、6盗塁の成績を残した。1軍でも11試合で18打数5安打、打率.278、2打点。三塁打も1本記録し、古巣との日本シリーズにも出場した。堅守で知られ、外野を守った経験もある。生え抜きではないところで、意外な伏兵が飛び出すか。

 ドラフトでは1位の小園海斗(報徳学園高)をはじめ内野手中心に指名。外野手では6位指名の正随優弥(亜大)にもチャンスがありそうだ。丸の抜ける外野のみならず、プロスペクトのひしめく内野からのコンバートも含めて争いは激しくなりそうだ。ここから誰が飛び出してくるか、注目が集まる。(Full-Count編集部)

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