ドラフトで補強成功も課題山積…支配下登録枠から見るロッテの補強ポイント

ロッテ・井口資仁監督【写真:荒川祐史】

新人左腕2人加入も左右のバランス悪い投手陣

 プロ野球もオフシーズンに入り、各球団は来季に向けて戦力を整えている。1軍の試合に出場できる支配下登録選手の枠は上限70人。シーズン中の補強、育成選手の支配下への昇格も想定して、65から68人ほどで開幕を迎える球団が多い。

 70人の枠の中で、どのように戦力編成を行っていくかは、当然ながら球団の方針によって違う。ここでは各球団の現在の支配下登録枠の状況を見て、その球団の補強ポイントを探ってみたい。今回はロッテ編。

 現時点でロッテの支配下登録の状況は以下のようになっている。

支配下登録:66人(58人+新人8人)

投手 計35人(新人5人、右投手28人左投手7人)
捕手 計6人(新人0人、右打者6人左打者0人)
内野手 計15人(新人1人、右打者6人左打者8人、両打ち1人)
外野手 計10人(新人2人、右打者5人左打者3人、両打ち2人)
合計 66人

○投手
 右投手が28人と非常に多い。年齢的には33歳の大谷、内が最年長とそれほど高齢化はしていないが、左投手が新人の小島、中村稔を含めて7人というのは、いかに左腕不足だったかを物語っている。種市や岩下、二木、左腕の成田といった20代前半のプロスペクトも多い。20代中盤の投手も多いことから、今後は中堅の右投手を交換要員にして左投手を獲得するトレードでの補強が考えられる。かつてのクローザー西野、2016年ドラフト1位の佐々木はともに右肘痛からの復調を目指しているが、彼らをどう評価するかもカギとなりそうだ。

10代の藤原、山口が加入も、外野陣に忍び寄る高齢化

○捕手
 レギュラーの田村は高卒で24歳。これからまだまだバリバリやれる年齢だが、今季は江村が務めたバックアップが手薄だ。宗接はプロスペクトとして成長が期待できるが、田村と同い年。ベテランの細川を除くと、残る5人は24歳~27歳に集中している。楽天戦力外から加入した細川は、経験と精神的な支柱としての存在感を買ったコーチ的な意味合いが強い獲得。それを考えると、中堅の右投手を交換要員に田村のバックアップができる捕手を獲得するトレードの可能性もありか……。

○内野手
 43歳でコーチ兼任の福浦を除けば、最年長が30歳の細谷と李で、非常に若い。レギュラーの鈴木、藤岡、中村奨、井上も“旬”の年代で、特に井上、中村奨が今シーズン一皮むけたのは大きい。近年のドラフト1位である安田、平沢もおり、香月や即戦力新人の松田も加えて充実している。左打者が多めではあるが、バランスも悪くはない。井口監督が内野手出身であることも影響しているのか、ロッテの選手層の中で、質量とも一番信頼感と期待感のあるところだ。

○外野手
 今年のドラフトの目玉だった藤原と、地元秋田で日本ハム・吉田のライバルだった山口を獲得。ようやく若手プロスペクトが加入した。守備職人の岡田が引退し、清田、荻野、伊志嶺もすでに30代。打線の中核となる角中も31歳で、そろそろ次世代育成を考えなければならない。今季途中でトレード獲得した岡、1軍実績もある加藤、即戦力としてプロ2年目を迎える菅野など中堅層はいるが、24歳以下の若手がいない。外国人打者は内野手のバルガス1人だけに、外国人選手の獲得に乗り出せば、打線に厚みが増しそうだ。

 メンバーを見渡すと、投手の左右のバランスの悪さ、捕手の年齢層の偏り、外野手の高齢化と課題は多い。ロッテは俊足好打のアベレージヒッタータイプが多いが、井上が今季ブレークしたとはいえ長距離打者が足りず、得点力不足が目立つ。藤原や新外国人のバルガスに期待がかかるが、打てる外野手、バックアップ捕手を中心に、野手の補強はまだまだ必要ではないだろうか。(Full-Count編集部)

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