金属行人(12月21日付)

©株式会社鉄鋼新聞社

 日本のものづくりの根幹を支えるはずの中小零細が、ここへきてさらに撤退や縮小の声を上げる。理由はさまざまだが「やりくりできない」。淘汰と言うより「犠牲者」と言った方が無難なケースもある。確かに倒産などは減ったが数そのものも減っていく▼だが仕事の総量はあまり減らない。ロットは小さくなるが、種類は逆に増え、手間も増える。品質要求も厳しい。しかも残った中小零細の仕事量はほとんど増えない、増やせない。それどころか「仕事を大手に取られるのでは」と気になる▼図式はこうだ。小規模の加工会社が看板を下ろす。廃業した業者の仕事は誰かがやらなければならない。顧客から大手に相談がいく。中身を見ると大手が手掛けるにはロットが細か過ぎ、精度要求も厳しい。なのに加工賃は「仰天するほど」安い。無理だ、とは思うが、むげにも断れない。そこで「類似の加工を足し合わせて生産性を高めたい」と顧客に話す▼大手にとって「足し合わせる類似の加工」は数量的にはわずか。しかし取られる側の同業の中小零細にとっては「生きる糧」。一つの小さな廃業が結果的に同業者の死活問題に通じる。日本のものづくりの地盤沈下はこうしたことの積み重ねによるのだろう。