もっと試合ができる環境を―12月に国際大会を主催する香港野球協会の想い

香港では毎年12月中旬、「香港インターナショナルベースボールオープン」が開催されている【写真:豊川遼】

世界6の国と地域・7チームが参加する「香港インターナショナルベースボールオープン」

 日本ではオフになったが、海外に目を向けてみると世界中でウインターリーグが開催されている。アジアでは台湾のほかに香港でも国々が集まり、選手たちは成長機会を得ている。

 日本球界ではFA選手の移籍や契約更新の話題などオフになっても話題が尽きない。アジア地域では台湾で行われているウインターリーグのように国際試合を開催する絶好の機会でもある。香港でも毎年12月中旬、近隣諸国を集めて試合を行っている。それが「香港インターナショナルベースボールオープン」だ。

 2012年から始まった今大会は毎年、代表チームとクラブチームによる総当たり戦形式となっている。過去にはアメリカやカナダ、中国も参加したことがある。今回、会場となっている晒草湾野球場は住宅地やショッピングモールが集まる九龍・藍田(ラムティン)にあり、過去にこの球場ではアジア選手権の予選となる「東アジアカップ」や女子野球の国際大会「フェニックスカップ」も開催されている。今年は世界6の国と地域から7チームが参加。香港とシンガポール、そしてロシアが代表チームを組織し、クラブチームは香港のほかに台湾やフィリピン、オーストラリアで構成されている。

 今大会は12月14日から始まり17日まで香港・晒草湾野球場で行われる。香港野球協会のシニアスポーツアドバイザーのNickey To氏は「このベースボールオープンはこの時期、試合機会が少ない国々、チームを集めて開催しています。日本や韓国など強い国々はウインターリーグという選択肢がありますが、私たちにはそれがありません。普段から試合数をこなすことができないので、より試合ができる環境をつくりたいです」と開催趣旨を話してくれた。Nickey氏は協会内では数少ない女性役員の1人で、香港内での競技普及をはじめ、国際大会では出場国の誘致など香港野球発展に尽力する重要人物だ。

 現在行われている「香港インターナショナルベースボールオープン」は世界野球ソフトボール連盟(WBSC)公認であるため、代表チームにとってはランキングポイントを獲得する貴重な機会。発展途上国で野球を続けるために政府からの補助金が必要不可欠な場合も多く、良い交渉するためには目に見える結果も大事になってくる。今後も香港では同大会の開催を継続していく予定だ。(豊川遼 / Ryo Toyokawa)

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