来年1月にアジアカップを控える日本サッカー協会は25日、日本代表のトレーニングパートナーとして6名の若手選手を招集した。
招集されたのはいずれも東京五輪世代の将来性豊かな選手たちばかり。今回は、その顔触れをご紹介しよう。
菅原 由勢(名古屋グランパス)
今年のJ1開幕戦で“革命児”風間八宏監督から先発に大抜擢された菅原。
17歳7か月でのスタメンは元日本代表MF稲本潤一(札幌を退団)がガンバ大阪時代に記録した17歳6か月に次ぐJリーグ史上2番目の若さであり、その後クラブ最年少でプロ契約を結んだ。
そんな彼も5月以降は代表やユースでの活動に戻り、今夏はワールドカップのトレーニングメンバーとしてロシアに帯同。10月に開催されたAFC U-19選手権では、U-20ワールドカップの出場権獲得に尽力した。
本職は右サイドバックだが、風間監督のトップチームでセンターバック起用されるなど汎用性が高い。日本サッカー協会も、「確かなテクニックとサッカーIQ、運動能力を兼ね備えた選手」と紹介している。
伊藤 洋輝(ジュビロ磐田)
U-15からジュビロ磐田に所属し、クラブのレジェンドである名波浩や福西崇と比較されるほどの逸材。2017年5月に2種登録、今年トップ昇格を果たした。
センターバックも可能な左利きの大型MFで、中村俊輔が「チアゴ・モッタのようだ」と形容したことがある。
実際、視野が広く長短のパスを出せることから将来的にはアンカーとしての期待感もあるが、足元の技術、運動量にも優れ、飛び出してからのミドルレンジのシュートも大きな武器である。
10月のU-19選手権では初戦の北朝鮮戦で強烈なロングシュートを決め、鮮烈なインパクトを残した。
上田 綺世(法政大学)
「大学ナンバー1」との呼び声が高いストライカー。
今年のトゥーロン国際大会でU-19ポルトガル代表から2ゴールを記録し逆転勝利の立役者に。アジア大会では決勝の韓国戦を含め大会3得点を記録した。
先日行われたインカレ決勝でも法政を42年ぶりの頂点へと導く決勝点を決めたが、そんな彼は元イタリア代表のフィリッポ・インザーギ、元アルゼンチン代表のガブリエル・バティストゥータらに憧れる「昔ながら」の点取り屋。
チームでの機能性や精度には課題が残るものの、スピードとDFラインの裏を突くタイミング、ポジション取りの巧さは絶品で、得点のほとんどはワンタッチ。この年齢にしては末恐ろしいほど「明確な自分の形」を持っている。
現時点でJリーグのクラブから内定を受けていないが、11月には3日間、鹿島アントラーズの練習に参加している。鈴木優磨の後釜になるのは彼かもしれない。
小林 友希(ヴィッセル神戸)
小林裕紀(名古屋)、小林祐希(ヘーレンフェーン)に続く「こばやし・ゆうき」として期待を集めるのが「岩波2世」と呼ばれる小林友希だ。
小学生の頃からヴィッセル神戸の下部組織に所属する18歳は今年、2016年から3年連続で2種登録され、4月のルヴァンカップ・湘南ベルマーレ戦で待望のトップチームデビューを飾った。
年代別代表でも瀬古歩夢(セレッソ大阪)とともに同世代を牽引し、昨年のU-17ワールドカップに出場。U-19代表でも1歳年上の橋岡大樹(浦和レッズ)に次ぐ存在と考えられており、今月のブラジル遠征ではその橋岡とコンビを組んでブラジル代表を無失点零封している。
足元の技術と左足の精度、判断力に秀でた大型センターバックで、ボランチでのプレーも可能。先月U-21代表に初めて招集されたばかりだが、今回、菅原とともにU-19世代からトレーニングパートナーに選出されている。
旗手 怜央(順天堂大学)
大学生ながら2018年アジア大会のU-21日本代表に選出され、銀メダル獲得に貢献した旗手。
このちょっと変わった名前にピンと来た人もいるかもしれない。実は彼の父親・浩二は名門PL学園の野球部出身で、1980年代に1学年後輩である清原和博、桑田真澄の“KKコンビ”らとともに甲子園で活躍した高校球児だったのだ。
ただ息子の怜央はサッカーの道へ。静岡学園時代は全国的に有名な存在ではなかったが、大学1年生時に関東大学サッカーリーグ戦で9得点を記録して新人王を獲得、2年生になって大学選抜や世代別の代表に呼ばれるようになった。
父親はプロ入りできなかったが、彼は今年「特別指定」で川崎に登録され、来年、正式に「Jリーガー」になることが決まっている。
三笘 薫(筑波大学)
「大学No.1ドリブラー」と形容される攻撃的MF。
川崎フロンターレのU-15、U-18に所属したもののトップ昇格を断って筑波大へ。しかし大学サッカーで違いを見せつけ、今年9月、卒業後(2020年)に川崎へ復帰する形でプロ入りすることが発表された。
彼の最大の武器はドリブルだが、川崎の公式HPで「将来性豊かなファンタジスタ」と紹介されたように創造性も豊かであり、相手が飛び込むことを躊躇するほどの独特の間合いとキープ力は絶品である。
今年のトゥーロン国際大会では同じく大学生でメンバー入りしている上田綺世とのコンビが冴え渡り、世界のスカウトを唸らせた。
日本が銀メダルを獲得したアジア大会では体調不良もあり大きく株を落とす結果となったが、今回こうして招集されたことからも森保監督の彼に対する期待がうかがえる。