北海道地区の鉄鋼市場

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 18年の北海道は、相次ぐ台風の接近や上陸、胆振東部地震の発生や国内初となるブラックアウトが影を落とした。その中で鉄鋼市場は前年に続いて大型・著名物件を中心とした非住宅建築が需要を牽引。これに対して土木部門は、16年夏に発生した台風被害の復旧がピークを越えて低迷ムードに終始した。特徴的だったのは近年の傾向でもある深刻な人手不足や鋼材を始めとした資機材、人件費、輸送費などのコストアップだ。また、設計図面の承認遅れや変更により建設工事全般で着工遅れが続発し、入札の不調・不落により年内の完工を断念し、冬期間の工事にズレ込んだ物件や来年度へ持ち越しとなった案件も多数発生。鉄骨業界に象徴される需要家の生産・加工能力が鋼材需要に影響を及ぼす傾向も鮮明となり、住宅関連では一戸当たりの屋根面積減少や使用素材の多様化、流通では在庫からの出庫減なども際立った。(斉藤 孝則)

18年の概況

18年度普通鋼受注3年連続100トン台へ/非住宅建築が牽引

 新設住宅着工戸数は、1~10月累計で前年同期比4%減ながら3万124戸と、10カ月間で3万戸台に乗せた。これにより暦年ベースで11年から8年連続の3万戸台が確定し、17年(3万7441戸)レベルに近づきそう。

 建築着工床面積は、1~10月累計で同9・5%減の428万2638平方メートル。構造別では、木造(199万6993平方メートル、前年同期比3・9%減)、SRC造(6万4127平方メートル、同5・5%減)、RC造(103万4900平方メートル、同8・9%減)、S造(116万5895平方メートル、同18・6%減)と減少。好調な操業を続けるファブの現状に対して着工床面積が減少していることを考え合わせると、道外の鉄骨案件受注が増加していることも推測される。

 公共工事は、保証請負金額の4~11月累計が同3・3%減の7524億8千万円。地区別の増減率を見ると、道南(前年同期比15・5%増)と道外(同10%増)は増加しているが、道央(同2・6%減)や道東(同14・6%減)、道北(同3・7%減)は減少。工種別では土木(同0・7%増)は微増だが、建築(同2・8%減)は減少し、目的別では治山・治水(同4・4%増)のみが伸びている。

 鉄鋼需要家の動向を見ると、北海道機械工業会鉄骨部会まとめによる鉄骨共同積算量は、1~11月累計で11万7108トン、同31%減と大幅に減少している。これは平年比で見ると8%減にとどまっているが、17年累計が17万9524トン(同18%増)で直近のピークだった07年(17万4100トン)を大きく上回ったことを考えると、先行きに一抹の不安を残す。ただ17年は大型案件の積算が集中し、積算量と実際の鉄骨需要量も異なる。実際、昨年はファブの山積みは年間を通して高く、製作工程や受注調整に追われるケースが目立ち、足元も同じ状況だ。

 道内溶融亜鉛めっき加工業7社の加工量は、4~11月累計が2万5111トンで同27・1%減。17年度は4年振り増の4万4173トン(同9・9%増)だったが、今年度はS造建築の着工減や中小建築・一般鉄工所向けの伸び悩みが大きく響いている模様。

 一方、鉄鋼連盟がまとめた北海道地区の普通鋼鋼材受注量は、4~10月累計が同3・2%増の67万1037トンと増加しており、1~10月累計も同3・3%増の92万2034トンと増えている。また、年度で見ると、4年振りに100万トン台を割った15年度(94万1220トン、前年度比9・7%減)から16年度(106万3798トン、同13%増)、17年度(104万4459トン、同1・8%減)と100万トン台を維持しており、18年度も微増の106万~107万トン程度が見込まれる。品種別ではS造主体に好調なファブ向けで形鋼や厚板は増えたが、RC造は頭打ち状態が続き、異形棒鋼の需要は30万トン割れを懸念。大型物件向けのメーカーロールは好調な動きを見せているが、中小建築の停滞により流通の倉出し販売では伸び悩みを訴える声が多かった。

19年の展望

19年インバウンド・再開発に期待

 ピークアウトした感はあるものの、18年に続いてTPPや畜産クラスター事業で大型牛舎をはじめとした畜産・農業関連の物件が期待できる。特に18年は豊富な予定案件数に対して実際の出件が大きくズレ込んだため、今年一杯は持ち越し分を含めて相当量の需要が期待される。また、各地で病院や体育館、物流施設の建設が続き、インバウンド関連ではホテルやリゾート関連で札幌や函館、ニセコ地区で鋼材使用量数千トン規模の建設が続く。空港関連でも新千歳空港国際線旅客ターミナルビルの継続分や、都市再開発では札幌市内の札幌駅周辺や駅前通り、着工がズレ込んだ帯広市や北見市、釧路市や旭川市でも建設本格化が見込まれる。

 中でも今年から本格的に動き出し中期的にも期待されるビックプロジェクトが、北海道日本ハムファイターズの新球場〝仮称・北海道ボールパーク(BP)〟と、数年に渡って鋼材需要を底上げし昨年10月に開業したさっぽろ創世スクエアを超える大型再開発となる〝JR新札幌駅周辺再開発〟だ。

 昨年11月、2023年3月の開業を目指すBPの建設計画が発表された。それによると、北広島市共栄のきたひろしま総合運動公園に、建設費約600億円(球場周辺外構部及び球場内設備・機器等を含む)を投じて収容人数約3万5千人規模の開閉式屋根・天然芝フィールドを持つ新球場が建設される。

 概要は、建築面積約5万平方メートル、延べ面積約10万平方メートルで、構造はRC造/S造、地上1階・地下4階建て。設計施工一体型発注で元請・大林組グループにより、20年春頃に建設がスタートし、23年1月竣功、同3月開業を目指して今年から基本・実施設計が始まる。

 BPは「北海道のシンボルとなる空間を創造する」が建設コンセプトで、選手のパフォーマンスが最大限生かされる新球場を核に、国際競争力を有するライブ・エンターテイメントとして「世界がまだ見ぬボールパーク」を目指す。

 一方、JR新札幌駅周辺再開発は、市営住宅団地跡地などを利用して駅東側に医療や商業施設などを集約するI街区(3・9ヘクタール)と、駅南西側に教育エリアとするG街区(1・7ヘクタール)からなる。総事業費は約500億円で、建設する9棟の延べ床面積は約14万5千平方メートルに及ぶ。

 I街区には病院3棟や医療モール1棟、12階建てホテルや30階建て高層マンション、商業施設を建設し、これらは空中歩道で結ばれる。また、ガスコージェネレーションシステムを導入し、22年度内の完成を目指す。G街区には札幌学院大学や北海道ハイテクノロジー専門学校の一部が移転し、21年度の開業を目指す。両街区ともに今年から順次着工し、両街区の他にも隣接地の高度利用や既存施設のリニューアル工事が計画されている。