この4人ならすごいミクスチャー・バンドが作れる
──HIROKIさんに誘われる形で始まったと来門さんからは聞いたんですが、ROS結成の経緯を詳しく教えてください。
HIROKI:Dragon Ashで武道館公演をしまして。すごく良かったんですけど、反面空しさ…達成感がありすぎたんですね。そこからどうしようかなと考えてたんですけど、またライブハウスでやれたら面白いかなと思ってメンバーを探し始めました。最終的にボーカル枠だけ見つからなかったんですけど、マネージャーから「来門さんどうですかね」と言われて。それで連絡してみて、スタジオに入ったらすごく手応えを感じたので、これでやっていこうと決めました。
──メンバーの皆さんは声をかけられていかがでしたか。
来門:いやもう最高でしたよ。まずHIROKIさんから電話がかかってきた時点でちょっとドキドキして、俺なんかやっちゃったかな? とか思ったんですけど(笑)。それで「最近、何やってんの?」って訊かれて俺は「音楽がやりたいです」って答えたら、「じゃあ一緒にバンドをやろう」って言ってくれて。ベースがU:ZOくんってのも聞いたし。LOFTでもやりましたけど、ソロの時はドラムンベースで一人でやってたんだけど、ここに来てミクスチャーにすごく飢えていて。それでメンバーを聞いて、HIROKIさん、U:ZOくん、俺がいたらすごいミクスチャー・バンドが作れるでしょって思って。最高です、この人たちと一緒にできて。
U:ZO:来門とHIDEちゃんが来る前からHIROKIさんとはスタジオに入らせてもらっていて。サポート業をずっとやってたのでバンドっていうものが久しぶりで、スタジオ入って曲作ってアイディア出し合って、っていうのがもう10年ぶりとかなんで…。
HIROKI:だからちょうどいいタイミングだったよね。U:ZOもサポートとしてずっとやってるけどバンドに飢えてる時期だったし、来門はSMORGASもいまだにガツガツやってるけど、ちょうど谷間の時期で。俺もでかいステージだったりフェスとか出て、いいんだけどちょっともの足りないなって時で、みんなのそういう部分が合致したのかなと。
HIDE:僕はマネージャーの原さんに拾っていただいて、そのチャンスをものにして頑張るしかないと。
HIROKI:薄いね、相変わらず(笑)。
来門:車の中でインタビューの練習したでしょ。ちゃんと喋って。
HIDE:こんな人たちとやれるのかって気持ちです、本当に。
──世代的にDragon Ash、RIZE、SMORGASはちょうど聴いていたんですか。
HIDE:そうですね。
HIROKI:絶対聴いてないでしょ(笑)。
U:ZO:でもRIZEはちょっと叩けてたよね?
HIDE:コピーしてたんで…。
U:ZO:やめてくれる?(笑)
来門:インタビューになってないよ(笑)。
──今回のアルバム・タイトル『STILL FIGHT FOR SURVIVE』にはどういう意味が込められているんでしょうか。
来門:文字通りですけど、生き抜くためにいまだに闘い続けるみたいな。ミクスチャーっていう音楽の真髄は闘うってことしかないんで。俺も生き抜くために唄ってるところはありますし。ミクスチャーってやっぱり攻撃性の高い音楽だし、俺たちは生き抜くために闘い続けてるんだよ、って意味ですね。
──最初のミニ・アルバム『THE REST OF SOCIETY』から配信2曲『HARD LIKE STONE』をリリースして今回のアルバムと、けっこう早いスパンで曲ができているのかなって印象があるんですが、どうですか。
HIROKI:初めてスタジオに入った時からとりあえずライブがやりたいって思いがあったので、ファースト・アルバムは1カ月とかほぼ曲を作ってたんです。それでミニ・アルバムを出してゆっくりやっていこうかなと思ったら、マネージャーのほうから「次はフル・アルバムですね」って言われて(笑)。それで急遽作ってきましたね。
U:ZO:曲を作るのがHIROKIさんと俺、2人いるので、けっこうその辺は早いかもしれないですね。
──曲作りは素材を持ち寄って作っていく感じですか。それともカッチリ作ってきて、という感じですか。
HIROKI:カッチリ作るパターンもあるし、「このネタだけ使ってやろう」という感じでスタジオでセッションみたいなことも多いです。今どきの感じではないですね。昔っぽく、スタジオでやり合います。
来門:ミクスチャーってそういうラフなところが面白いじゃないですか。ラップだからメロディをそこまで考えなくて良くて、できた音に対してとりあえず言葉を乗せてスタジオで入れるってことができるんで、そうやってみんなで作りました。
U:ZO:楽器とか立場の差がなく介入していけるバンドですね。「ギターはこうしてください」、逆に「ベースはこうしろ」とか、そういうことができるバンドなので早いんだと思います。
ボーカルとドラムのチューニングに徹底してこだわった
──レコーディングはどれくらいの日数がかかりましたか。
HIROKI:予算がまったくないバンドなので…ベーシック録りを2日間、そのあと歌のダビングとかなんで。
U:ZO:3、4日くらいですかね。だから全体で1週間くらいです。
──このアルバムはどういうふうに仕上がったなとか、この曲が好きだなとかありますか。
来門:全曲好きです(笑)。
HIROKI:ミニ・アルバムは名刺代わりなので攻撃的というか、わりとベタな“ザ・ミクスチャー”を出したいなと思って作ったんだけど、アルバムだと世界感も作らなきゃいけないんでバラエティに富んでいて、しかもこのアルバムに入らなかった曲が何曲もあって。ちょっと大人っぽくなりすぎたなって曲もあって、途中から攻撃性のある曲を足したりとかバランスを取りましたね。全体としてはやっぱりバラエティに富んでるな、ミクスチャーっぽいな、って感じですかね。
──1曲目「ILL THE STORM」は来門さんのフリー・スタイルのラフな感じから始まり、「BURST ATTACK」の流れがすごく気持ち良かったんですけど、ああいうのもみんなで考えて作ったんですか。
来門:あれはHIROKIさんが作ってきたトラックに俺がラップを乗せて、って感じで。
HIROKI:ちょっとオールドスクールな感じも出したくて。それと普段、SEなしでライブをやってるんですけど、フル・アルバムを作ってツアーをやるってなったらSEがあってもいいんじゃないかなって思って。わりとビースティ的な感じであれを作ってきて、「これを1曲目に入れるよ」って言ったら、全然頼んでないのにラップをフルで唄ってきて(笑)。ちょっと声を入れるくらいかなと思ったらフルで…(笑)。
──「ILL THE STORM」の歌詞の最後の「ROSの出番です」ってとても好きで、来門さんの中で盛り上がってきているのかなって感じました。
来門:相当盛り上がってますね(笑)。
──今回、レコーディングで大変だったこととかありますか。
U:ZO:プリプロの時に、けっこうボーカルにうるさいんですよ。ボーカルが一番大事だと思ってるんで、一番頑張ってもらいたいですし。「その代わり自分も一緒にいて頑張るから」って言うんですけど、時々拗ねてケータイとかいじり始めちゃって(笑)。
来門:もう大丈夫、そういうのはもう越えたから(笑)。
U:ZO:ボーカルが一番大変だと思うから、そこをどうサポートできるかってのが肝ですね。
来門:たとえばラップでもどこに言葉を入れるのかってのが重要なポイントで。やっぱり僕一人だとパターン化するじゃないですか。U:ZOくんがそういう時に「こことここの間にアクセントを入れて」とか言ってくれて、実際それをやってみると面白いし。僕にないパターンなんで。それはそれで自分のものにするとラップのリズムの取り方みたいなものもひとつ上に行けるし。でもたまに拗ねる。「しつけぇ!」って言って(笑)。
U:ZO:5回くらいやり直しすると、2人の間に不穏な空気が流れるね。
来門:ファーストの時はそうだったけど、今回はもう大丈夫だったよ。
U:ZO:そうやって信頼関係を作っていってね。
来門:ドラムもそうだったよね。HIDEも頑張ったし。
HIROKI:ドラムのチューニングにうるさかったよね、U:ZOが。
U:ZO:とにかくうるさいんですよ(笑)。スネアが曲調に合ってないとイライラするんです。ボーカルもドラムも音程が難しい楽器じゃないですか。無段階なんで。そこを気をつけてやらないと、せっかく曲自体が良くて良いボーカルが乗っても、ドラムで全部ダメになることはあり得るので。
──「BURST ATTACK」はMVにもなってますよね。撮影はどうでしたか。
U:ZO:あれは来門が大変だったんじゃないの?
HIROKI:できるまで知らなかったもんね。「みんなあっちに行っててください」って言われて。
U:ZO:寝転がってたね(笑)。
HIROKI:お腹痛いの? みたいなね。
──あれは監督がイメージを伝えて?
来門:そうですね。で、僕はできるじゃないですか。
U:ZO:あんまそういうこと言わないほうがいいんじゃないの?(笑)
──久しぶりのMV撮影だったんじゃないですか? SMORGASはライブ映像とか使っていたので。緊張はしました?
来門:しないです。ありがたいですよ、楽しくてしょうがないです。
HIROKI:緊張してたらあの動きはできないもんね。
対バンの客を絶対取ってやるという気持ちで臨む
──アルバムを出してから精力的にライブをこなしていますが、手応えはどうですか。
U:ZO:反応はいいと思いますね。そんなに大規模なライブではないんですけど、しっかり一人ひとりに伝えていく時期なんで。ここから広がっていけばいいなと思います。反応はいいですし、いいライブもできてると。
──それぞれに聞きたいんですけど、ライブへのこだわりは何かありますか。
U:ZO:いい意味で60%、70%っていうのは心がけてますね。100%で行っちゃうと押しつけになっちゃうなと思ってます。伝えるってことをメインに、激しさも押しつけるんじゃなくてある程度の余裕を持ってちゃんと観てもらえる、聴いてもらえるようにライブをするってことですかね。
来門:俺はもう、成長させてもらってるんで。SMORGASやって、ソロやって、ある程度自分の形ができたかなと思ってたんですけど、全然まだできてなくて。ここに来てHIROKIさん、U:ZOくんにいろいろ助言してもらったりして、それでまた新しく自分のスタイルができていって、またもうひとつ上に行けたらいいのかなと思ってます。
HIROKI:絶対数が少ないのかもしれないですけど、今回、対バンしたりゲストに呼んだり呼んでくれたりする人もそうなんですけど、バチバチで、お祝いムード1mmもなしの、何なら喰ってやろうって感じで来るんですよ。もちろん俺らもそうですけど。その感じを2018年にまだやってる奴らがいて、やっぱり俺はこういうのがいいなって感じて。それをやったから仲良くなれるし。人が入ってなかろうとも、初めて観る客が3人しかいなくても、その客を絶対取ってやろうって気持ちでやりたいですね。
HIDE:俺はついて行くしかないって思ってたんですけど、全然レベルも下ですし。でもそれは違うぞ、俺が引っ張っていくんだ、ってのを意識してやってます。
U:ZO:でもだいぶ成長してきましたよ。最初は全然ダメで、力が入りすぎでお客さんを取るってとこまで行ってなかったんで。ドラムでいっぱいいっぱい。最近はね、写真でもふざけてるし…(笑)。でもそういうのっていいと思うんですよ、ちょっとあるからできるから。余裕があるから伝わるし、お客さんも取れるし、バンド全体が良く聴こえてくる。やっぱりバンドの肝なんでね、よろしくお願いします。
──最近、ラップコアが盛り上がってきているというか面白いなと思うんですけど、若手や対バンした中でこのバンドいいなっていうのはありましたか。
HIROKI:PRAISE、NOISEMAKERは今ギリギリのラインというか、ライブハウスにもガッツリ出てるし、フェスにもちょいちょいこれから出るんだろうなっていうのですごい意識が高いし、いいライブをしてると思います。あとはKOKIかな。ストリートでやりたいってこっちに来て、あいつのがむしゃらな感じはためになるというか。あぐらかいてやってても勝てないなって、あいつのライブを観てると思います。
U:ZO:みんないいですよね。僕は対バンってのが久しぶりというか全然やってなかったので。いろんなバンドを観て刺激を受けて。その日のライブの出来もそこに影響を受けたり。良く転がったり悪く転がったりして、その中から自分たちのためにまた勉強して。
HIROKI:RADIOTSは良かったよな。
来門:RADIOTSは間違いなかった。
HIROKI:キャリアもあるし、素晴らしいバンドだってのはわかってるんだけど、いわゆるこのガチガチのラップコアの中に入ってきても何も動じずに、確実に客を取っていくあの感じは感動した。それで仲良くなりましたね。見習わなきゃいけないところがあったよな。あんないいライブしたら、それは客取れるよ。
Dragon Ashは近代兵器、ROSはピストルと刀だけ
──それぞれ音楽のキャリアもありますが、ROSをやっていくにあたって自分のスタイルに影響を与えたバンド、アーティストはいますか。
U:ZO:SUBLIMEかな。ROSを始めてからすごい聴くようになったなと思って。それまでは普段やらないから本当にミクスチャーに飢えてて、RAGE AGAINST THE MACHINEとかRED HOT CHILI PEPPERSとか聴いてたんですけど、なぜかROSを始めてからはSUBLIMEを聴くようになりましたね。
来門:俺はもう、HIROKIさんとU:ZOくんがすごい音楽を知ってるんで、それを教えてもらって。FISHBONEとかマリリン・マンソンとか聴いてますよ。
HIROKI:来門はすごいよね。知らなくてやれてるから。BEASTIE BOYSとか最近まで聴いたことなかったんですよ。
来門:レッチリもあんま聴いたことなかったですね(笑)。
HIROKI:日本のBEASTIE BOYSって言ったらSMORGASしかないんだよね。それが知らないんだもん、天性でそれをやってるってのはすごいことだよ。
来門:恐縮です…。
HIDE:僕はSKINDREDとかですかね…。
──すみません、ちょっと知らないですね。
U:ZO:えっと、誰もわかってないみたいだね(笑)。最近の人なの?
HIDE:いや、2010年くらいですかね。
来門:最近だよ、それは(笑)。
──外国の人?
HIDE:はい…。
U:ZO:…盛り上がらなかったね(笑)。帰ったら聴いてみるよ、SKINDREDね。HIROKIさんは?
HIROKI:俺は変わらないけどね…ルーツをミックスするっていうミクスチャーを日本で始めたのは俺たちの世代だと思うけど。それまで好きだったのが60年代のロック、パンク、モータウンとかブルースもそうなんですけど。そこら辺を聴きながらそこにラップを入れてみようってとこから始まってるんで。その中で変わらず好きなのはジミヘンですね。ジミヘンの曲はいま聴いても格好良くてぶっ飛んでいて。レッチリもジミヘンがいなかったら絶対ああはなってないし。いわゆるミクスチャーなもの、オルタナティブなものはあまり聴かないですね。
──みなさん他のバンドだったりサポートなりをやってると思うんですけど、ROSとの表現の違いみたいなものはありますか。
HIROKI:俺が一番違うと思うんですけど、機材をまず最低限、それ以下かもしれない、中学生みたいなセットでやってるんですよ。BOSSのオーバードライブとディレイだけっていう。それでできないものは違うなと思っていて。要するに機材とかそういうものを制限した中で作ってる曲だから。限りなくチョイスできるところで作ってないんで。武器はピストルと刀しかありません、ってところでどうやって殺しに行くのかって作りなんで。Dragon Ashに行ったら近代兵器が揃ってるんで撃ち放題ですよ。ROSの場合はすぐ弾が切れるからね(笑)。そういう違いです。
来門:俺は完全に取りに行けると思ってます、このバンドだと。熱量も一致…それこそ上なんで、みんな。SMORGASだと楽しむ前提とかだったりするんですけど、ROSは取りに行くって目標が完全にあるんで。そういう意味で居心地はすごくいいですね。命の懸けどころというか。
U:ZO:他の現場、サポートだったり誰かに就かせてもらったりする時は、まず求められることをどれだけできるかってところなんですよね。ROSはバンドなんで。求めてることをやるか、求められてることをやるかの違いで。それもだいぶ違いますね。こっちは0から始まりますからね。4人で自分たちの側から求めることを作って音楽にする。だから元が違うというか、やってることが全然違いますよね。
HIROKI:(HIDEに)お前、最後になると厳しいんだから早めに言ったほうがいいよ(笑)。
来門:HIDEさん、締めお願いします(笑)。
HIDE:演奏を合わせるっていうのは当然なんですけど、その中でも自分を出す、出したくなるというか…俺を見てくれ! ってなる現場だと思います。
来門:ありがとうございます(笑)。
U:ZO:車の中の練習は何だったんだよ(笑)。
LOFTとSHELTERにはいいライブができる信頼感がある
──今回のツアーでSHELTER2本とファイナルはLOFTということでとても嬉しいんですが、皆さんにとってSHELTER、LOFTへの思い入れはありますか。
U:ZO:SHELTERはめちゃくちゃいいですよね。自分が地元ってのもあって贔屓してるのかもしれないですけど(笑)、やってて音もいいし、とにかく気持ちいいんですよね。大きいステージでやればその大きいステージなりの気持ち良さがあるんですけど、音の感じ方、バンド感ってのはSHELTERは他にないものがありますね。SHELTERが決まると嬉しいですもん。心配せずにライブハウスに向かえるんですよね。SHELTERなら今日は大丈夫、いいライブができるってハコに信頼感がありますね。LOFTもそうなんですけど。心配しないで来れるってのは演者にとっては素晴らしいですよね。その日の朝から気持ちいいです。
来門:SHELTERもそうですけど、LOFTはすごい好きで。昔よくやってたけど、途中全然できない時期があって。LOFTでやりたいなって思ってた中で柳沢さんと知り合えて、ソロの時とか全然人いなかったけどLOFTに立たせてくれて。あの時はすごい嬉しくて。そこでU:ZOくんとも会えたし、HIROKIさんとも会えて。LOFTは俺にとってはパワースポットなんです。ここにはロックの精霊みたいなのがいるんですよ。ここでライブやって外したことないもん、昔から。だからファイナルがここでできて嬉しいです。
HIDE:新宿LOFTって僕からしたら敷居が高いイメージがあって。前のバンドでバー・ステージに出たんですね。今回はメイン・ステージでツアー・ファイナルをやれるってのは感無量です。
HIROKI:俺の年代のバンドマンって本当にいろんなとこに出るんですけど、西新宿のLOFTに出るのがまず第一目標だったんですよね。その先はLIQUIDROOMとか。でも一番最初に新宿LOFTに出るステータスがあって。一番最初に出たのは昼のオーディションを受けて。その頃、COCOBATもいたんですけど、夜の部に初めて出る時にCOCOBATのみんなもいて。「あれ、オーディション受けたの?」って訊かれて。やり方がわからないからそうですよね。また新しくバンドを始めて、短い期間でLOFTに辿りつけて俺たちのイベントができるってのは、俺たちの世代のバンドマンにとっては嬉しいですね。今の子たちがどう思ってるか知らないですけど。俺たちにとっては特別な場所で。まずここを埋められなかったらその先はない。まだまだ俺たちには早いと思うんですけど、やらせてもらえることは感謝してます。
──1月14日のイベントのゲストも決まりましたが、どういう出会いだったのか教えてもらえますか。
HIROKI:MAYKIDZはELLEGARDENのベースの(高田)雄一くんが新しく始めたバンドで。共通の友達がいて、その人がROSのCDを渡してくれたらしいんですね。全然違うジャンルの奴とやるのもいいなと思って。だからダメ元で、まだ会ったことも観たこともないんですけど、お願いしたら快く受けてくれて。NYFってバンドは今回のツアー最多出演ですね。押しかけですね、俺たちを出させろ! って感じで(笑)。その心意気を買って、その3バンドでやってみようと。
U:ZO:NYFのボーカルのAJは自分がRIZE時代、AJも違うバンドだったんですけど、18年くらい前に対バンしてるんですよ。そのつながりもあって、ここに来てまた一緒にできて嬉しいです。
HIROKI:それこそ、LOFTに出たいんじゃないですか? 友達が出るからちょっとLOFTのステージに立ちたいって。熱い押しかけぶり出してたからね。
来門:そういうことだったのか。
U:ZO:彼らはまだ東京に出てきたばっかりで。九州のバンドで。
HIROKI:わりとまだチャラいところでしかやってないから、こういう老舗のライブハウスに出れるならってことでダメ元で熱く押しかけてきたんでしょうね。
U:ZO:やっぱりチャンスをつかみたいって思いがあるんでしょうね。
HIROKI:でもそういう気持ちがあるってのがいいよね。
ROSがロックのスタンダードになりつつある
──フル・アルバムを出して、バンドとしての形が定まってきたのかなと思うんですが、今後の展望について聞かせてください。
HIROKI:(HIDEに)一番目行きなって、薄いんだからさ(笑)。
HIDE:…じゃあ、次の作品では…ちょっと違うジャンルを取り入れたいです。
来門:えー! マジで?
HIROKI:それやるの俺とU:ZOじゃん。HIDEが曲作るの?
HIDE:いや…ドラム・プレイで、って話です。まだこれから考えるんですけど。
──幅を広げてプレイに活かしたいってことですよね?
HIDE:その通りです。
U:ZO:始まったばっかりなんで今後どうなっていくってのもはっきりは決まってないですけど、とにかくアルバム出してツアー回ってファイナルが控えているので、今はそこに集中ですかね。その先のことはそれが終わってからまたみんなでスタジオに入って決めていきたいですね。
来門:とりあえずLOFT。そこでがっつりロックさせて、その次はとりあえず日本一ですよね。日本一のバンドになります。LOFTの次は日本一。ガンガンやって日本から取っていきます。もう止まらないです、俺。
──世界に向けて?
来門:世界…とりあえず日本を取ります。このメンツなら取れます、はい。
HIROKI:小規模だったんですけどツアーで全国に出て、いろんなことがあったんですけど、バンドの力というか、自分たちの武器が何なのかってのがよく見えましたね。この一点に絞ればかなりのところまで行けるなってポイントがあるんで。ちょっと格上の奴らとガシガシやり合って認めさせて、ってとこですかね。もう一段上。見せつけてやりたいなって思います。
──最後に、今回のアルバムの聴き所を踏まえて読者の皆さんに一言お願いします。
HIDE:聴き所ですか…。
──聴き所じゃなくでも、ROSはこうだ、ってのがあれば。
HIDE:えー…ナチュラル。
来門:ナチュラル?(笑)
HIDE:生感が強いミクスチャー・ロックです。聴いてると自然に体が動いてしまうようなCDになってると思います。
U:ZO:初めてインタビューをさせてもらったんで、ぜひ読者の方に聴いてほしいです。ミクスチャーって言ってますけど、いろんな種類の音楽が混ざってるのがミクスチャーだと思うんで。ラップとロックってだけじゃなくていろんな要素の音楽が入ってるんで、聴いてもらえればどれか1曲でも好きな曲があると思います。ぜひアルバムを聴いてもらえると嬉しいです。
来門:俺のリリックの原動力は、もともとは怒りだったりするんです。それをステージで唄うことによっていい感じで浄化してオーディエンスのみんなと共有して、グルーヴの上に上手く乗っかった時に全員が縦に飛べる、そんなライブにしていきたいと思ってるんで。ツアー・ファイナルは、みんなそういうムカついてることをここで発散して良い夜にしたいなと思ってます。
HIROKI:ミクスチャーってものが生まれてもう30年近く経ってるんです。30年経ったってことはたとえば、60年代の音楽を聴いて育って90年代の頭にオルタナができた、みたいな。レニー・クラヴィッツがオールドスクールみたいなことをやったのが新しかったんですけど、あの感じなのかなって。今、いわゆるミクスチャーを得意分野にしてる俺たちがこれをやることは新しくなってるってのを実感できていて。ライブを観た若い子たちは新しいものとして受け止めてくれているんです。間違ってないのかな、これはこれでロックのスタンダードになりつつあると思うんです。で、それをもっとスタンダードだってところに乗せるために頑張っていきたいなと思います。