ツシマヤマネコ「福馬」体調不良 一般公開中止

 長崎県対馬市上県町の環境省対馬野生生物保護センターは、同センターで飼育している国天然記念物ツシマヤマネコ「福馬(ふくま)」(雄、14歳)が、高齢で体調不良となっていることに伴い、一般公開を中止している。公開再開は未定。

 「福馬」は2004年4月に福岡市動物園で生まれ、同年12月から対馬野生生物保護センターで飼育。福岡で生まれ、対馬で育ったことにちなみ名付けられた。人間に例えると80歳代に当たるとみられ、昨年末には展示室を歩く際に後ろ脚がもつれ、ふらついて倒れることもあった。食欲は減退ぎみだが、年始からは入院室で落ち着いて過ごしているという。

 同センターの山本以智人(いちひと)・上席自然保護官は「福馬が落ちないよう、展示室の高台を無くすなどの改修工事中。センター自体は通常どおり開いているので、公開再開まではヤマネコに関する資料を見てもらえたら」としている。

 ツシマヤマネコは対馬だけに生息し、同省レッドリストは最も絶滅の恐れが高い絶滅危惧IA類に分類。対馬には野生のツシマヤマネコが100匹弱生息していると推測され、国内の9施設では「福馬」を含め計35匹(雄18匹、雌17匹)が飼育されている。

展示室内を歩くツシマヤマネコの「福馬」=対馬市、環境省対馬野生生物保護センター(2010年1月撮影、同センター提供)

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