【MLB】薬物疑惑のボンズとクレメンスは殿堂入り不可能? 米メディア特集「彼らはズルをした」

殿堂選出を逃したバリー・ボンズ氏【写真:Getty Images】

米「ESPN」のパッサン記者が2人に投票しなかった記者を“取材”

 22日(日本時間23日)に、史上初となる100%の得票で元ヤンキースのマリアーノ・リベラ氏が米野球殿堂入りを果たした。メジャー通算19年間で史上最多の通算652セーブを積み重ねた伝説のクローザーで、有資格1年目での殿堂入りとなった。

 リベラ氏の他、ブルージェイズとフィリーズでプレーし、2017年に飛行機事故で40歳の若さで急逝したロイ・ハラデー氏、元ヤンキースのマイク・ムッシーナ氏、元マリナーズのエドガー・マルティネス氏と新たに4人が殿堂入りを果たした。その一方で歴代最多7度のサイ・ヤング賞を受賞したロジャー・クレメンス氏、MLB史上最多の通算762本塁打を放っているバリー・ボンズ氏などは殿堂入りを逃した。

 米殿堂入りは、10年以上連続でメジャー取材をする米国野球記者協会(BBWAA)に所属する記者が投票権を持ち、全投票数の75%以上を獲得した候補者が殿堂入りを果たす。また、得票数が全投票数の5%に満たなかった候補者は翌年からリストを外れることになるが、5%以上の得票があっても候補としての資格を持つのは10年間と定められている。

 MLBの歴史の中でも輝かしい実績を残してきたクレメンス氏とボンズ氏。今回で7年目の有資格だったが、殿堂入りはならず、残る有資格期間は3年間となった。ただ、米メディアでは、この2人は将来的にも“殿堂入り出来ない”と厳しく指摘されている。

 米スポーツ専門局「ESPN」電子版は「バリー・ボンズとロジャー・クレメンスが殿堂入りしない理由」とするジェフ・パッサン記者の特集を掲載。記事では「議論の余地はあるが、球界史上最高の打者と(サイ・ヤング賞の)最多受賞の投手は殿堂入りに必要な75%に満たないだろう」と、薬物疑惑のある2人を一刀両断した。

トロント・サンのシモンズ氏「誠実性、スポーツマンシップ、人格も判断基準」

 今年の投票でボンズは59.1%、クレメンスは59.5%を得票したが、記事によると、2人とも前年から3%以下の上昇にとどまったという。パッサン記者はボンズとクレメンスに投票しなかった記者に連絡を取り、そのうちの18人から回答を得たという。

 これによると、ボストン・グローブのコラムニストのダン・ショーネシー氏は「私の考えでは、彼らはズルをした。『彼らはすでに殿堂入りの選手だ』という考えには賛成しない」と答え、向こう3年間もボンズとクレメンスには投票しないと断言したという。

 また「どうすれば、票を変えるか」とする質問に対し、サンノゼ・マーキュリーニュースのコラムニスト、マーク・パーディ氏は「いわゆるステロイドの時代における全体像の本当の実態を知り、その中でボンズとクレメンスがどうだったのか知りたい」と回答。トロント・サンのコラムニスト、スティーブ・シモンズ氏も2人の実績を評価した上で「誠実性、スポーツマンシップ、人格も判断基準であるため、2人のどちらにも投票することができない。そうすることには耐えられない」と答えている。

 パッサン記者本人は現在、殿堂入りの投票を行っていないものの、「昨年殿堂入りの投票をやめるまで、私はボンズとクレメンスに投票していた。私は殿堂入りの部屋の壁がボンズとクレメンスなしでは空しいと思う」と2人の殿堂入りを“推す”立場を示している。そして「次の3年間、様々なところから圧力を受けるかもしれないが、(票の)動きは少ないだろう。信念など、その呼び方は何にしろ、そうしたものが(票の動きが少ないことを)確信させる」と、ボンズとクレメンスの2人が殿堂入りする可能性は極めて低いとしている。(Full-Count編集部)

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