日本代表は要注意!「ベトナムのメッシ」グエン・コン・フォンはどんな選手か

アジアカップの準々決勝で日本と対戦するベトナム代表。

彼らは今大会のグループステージでイラク、イランに連敗を喫したものの、最終節でイエメンに勝利し3位で決勝トーナメントに。ラウンド16では前回覇者オーストラリアを破って話題となったヨルダンをPK戦の末に退けた。

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これで2007年大会に記録したベスト8の最高成績に並んだが、当時は自国を含めた共同開催であり、既に歴史的な快挙といってもいいだろう。

そんなチームを牽引しているのが、ヨルダン戦で貴重な同点ゴール(00:40~)を決めた23歳のグエン・コン・フォン。10代の頃から「ベトナムのメッシ」と呼ばれ、国民的な英雄になっているストライカーだ。

今夜の日本戦は劣勢が伝えられるが、この「ベトナムのメッシ」を甘く見ると痛い目に遭うことになるかもしれない。

Qolyも推した「ベトナムのメッシ」

手前味噌にはなるがQolyでは2014年から彼を取り上げており、少なからずこの「ベトナムのメッシ」という呼称の浸透に一役を買ったという自負がある。

もちろん何の理由もなく推していたわけではない。きっかけになったのは、2014年のAFC U-19選手権であった。

南野拓実を擁する日本はグループステージ第2節でベトナムと対戦したが、“黄金世代”と呼ばれた彼らの高い個人能力に苦しめられる。先制したものの試合終了直前に追い付かれ、後半アディショナルタイムの2発でかろうじて勝利を収めた。

そんな試合において、南野以上に、もしかするとピッチ上で誰よりも輝きを放っていたのが負けた側のグエン・コン・フォンだったのである。

当時の彼はまだプロデビュー前だった。しかしU-19代表とクラブの下部でエースを務めており、「将来を約束された選手」として既に国内で高い人気を誇っていた。

その前評判通り、その卓越したドリブル技術、個人技は非常に鮮烈で、この時の活躍はQolyが『ベトナムフットボールダイジェスト』の協力で彼の記事を取り上げる大きなきっかけとなったのである。

その後2015年にトップ昇格しプロデビューすると、同年にはA代表デビュー。2016年にはJ2・水戸ホーリーホックと期限付きでの契約を結び、同国の英雄レ・コン・ビン(元札幌)に次ぐ史上二人目のベトナム人Jリーガーとなった。

残念ながら加入前のケガもあって5試合の出場に留まり、1年で国内へ復帰する。それでも復帰後にはクラブはもちろんU-23代表、A代表の絶対的エースとして、近年のベトナムサッカー界の快進撃を先頭から牽引している。

プレーはまさに本家譲り

Qolyに掲載したインタビューによれば、子供の頃は元ブラジル代表FWロナウドに憧れており、現在(2016年当時)はネイマールが好きだと答えている。

しかしプレーに関しては“ベトナムのメッシ"との言葉通り、上背こそないものの、並外れた敏捷性と本家を彷彿とさせる緩急を織り交ぜたドリブル突破が最大の武器である。

またベトナムの選手全般にいえるが、小柄であっても非常に足腰が強い。グエン・コン・フォンの場合は自ら決めることも、周りを使うこともできる。まさに攻撃の中心だ。

前述のように彼はJリーグでは活躍できなかった。かつて恩師である三浦俊也氏はその理由に「フィジカル、戦術眼」を挙げているが、代表においては気心の知れた選手たちで構成されていることもあり、ほとんどその面がマイナスに作用することはない。

個人能力の高さは折り紙つきで、特に吉田麻也や冨安健洋のような日本の大型DFは彼の敏捷性に悩まされることになるだろう。一方で高さは全く期待できないため、彼には良い形で足元にボールを持たせないことが大事になる。

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