【女子プロ野球】リーグの成長に繋がった川端友紀 通算71勝右腕・創設メンバーが明かす思い

京都フローラ・小西美加【写真提供:日本女子プロ野球リーグ】

通算71勝を誇る京都フローラの小西美加投手が川端への思いを明かす

 昨年限りで現役を引退した元埼玉アストライアの川端友紀内野手。人気、実力ともに女子野球界トップクラスのスター選手は、女子プロ野球創設から9シーズンに渡ってリーグを牽引してきた。同じ期間、女子プロ野球を支えてきた“盟友”が川端との思い出を語った。

 京都フローラの小西美加投手。プロ9年間で通算71勝を挙げ今季は節目の10シーズン目を迎える。投の中心が小西なら打の中心は間違いなく川端だった。リーグ創設時メンバーがこれまでの思いを明かす。

「(女子リーグ創設初年度の)シーズンの開幕前のことなんですが、淡路島で約2週間おこなった合同キャンプの最後に、京都対兵庫のオープン戦をしたんです。私が打席に入り、その時のピッチャーが川端選手でした。コントロールもよくて、指にかかった球はホップする感じだったので『ヘッドを立てて打とう!』と意識して思いっきり外の真っ直ぐを振りぬきました。

 すると、ミートした打球はピッチャーライナー!! なんと、川端選手の右肩のに直撃してしまったのです。その瞬間、『ヤバイ!』と思った私は走ることを迷いながら一塁へ、川端選手はマウンドに崩れ落ちてしまいました。硬式野球の洗礼なのか、上がらない右腕を抱えた川端選手は、その日から、マウンドに上がることはなくなりました。すみません。肩の関節や顔に当たらなくて本当によかった。と今でもヒヤヒヤしたのを思い出します」

――プレー以外にも思い出深い出来事が

「8時間にわたるCM撮影は、私たちの中で消えることのない思い出ですね。寮の時は夜中によくお風呂で遭遇したり、最近の遠征先でたまたま行くお店が一緒だったりと、会えば色んな話をするけれど、唯一、この9年間で同じチームになれなかったことが、一番悔しい思い出ですかね。だから、オールスターの時は、本当に嬉しかったのです。あー、夢のチームやぁーって」

天才打者の引退も「消えることのない足跡として残っていく」

――首位打者、最多打点、最高出塁と様々なタイトルを獲得し、4大会連続で女子ワールドカップにも出場。川端選手から得たものとは?

「『努力は裏切らない』ってことと、真っ直ぐな姿が人に影響を与えることを学びました。冬のランメニュー、京都アストドリームスでは、いつも川端、三浦の2人がデッドヒートしてました。隣のグランドにいても『うわぁー』って声を出してしまうほど、凄まじい走りっぷりで、何においても切磋琢磨する2人のおかげで、私たちスマイリーズバッテリーは必死に打たれないよう研究し、彼女たちのおかげで投球術が身についたんだと思います。9年間、ずっと対戦させてもらい、本当に勉強になりました。川端選手を抑える配球ができたら、他の左打者みんな抑えられると思ってますから(笑)」

――ユニホームを脱いだ“素顔”は?

「ありすぎて分かりません(笑)。真剣な話をすればするほど、『あれ?なんでしたっけ?』と聞き返されるので、気をつけてください。常に笑顔でいる川端選手なのですが、『なんで笑ってるの?』って聞いたら『分かんないです』って。『それ、愛想笑いやんー!』『バレました?』っていうやりとりも多々ありましたね。ま、どの笑顔も好きですけど」

――最後に川端選手への思いを

「ゆき、9年間、一度も力を緩めず、本気で対決させてくれてありがとう。あなたを抑えるために必死になることが、このリーグの投手陣の成長に繋がってたんだよ。『もっと対決したかったな』ってのが本音やけど、ゆきの今までの頑張りは、消えることのない足跡として残っていくので、安心してください。ただ、やっぱり一度は同じチームでやりたかったなぁ。黒本完璧に覚えても受からなかった国家試験、ゆきに託した! ゆきがどんな道で歩もうと、たくさんの人が必ず応援してくれるから、自信もって突き進んでね! ほんまにありがとう」(Full-Count編集部)

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