「勝利への執着心」とスクリューボール 巨人ドラ1高橋優貴を変えた恩師の助言

今季の巨人のルーキー一覧

八戸学院大・正村監督が教え子の巨人ドラ1左腕を語る「最初は子供。すぐに態度に出していたが」

 巨人のドラフト1位ルーキー左腕・高橋優貴投手が開幕1軍入りを目指し、プロのスタートを切った。宮崎で行われている1軍キャンプで奮闘している。

 高橋は茨城県出身も、西東京の名門・東海大菅生高校で高校時代を過ごした。線は今より細く、体重も10キロ以上、少なかった。エースではなかったが、力強いストレートを投げる左腕として将来性を買われ、青森・八戸学院大学へ進学した。投手育成と理論に定評のある正村公弘監督の指導のもと、1年生からリーグ戦で登板。4年生の時は北東北大学リーグで当時の多和田真三郎(現西武)の299個を抜く、301奪三振の新記録を樹立するなど、みちのくのドクターKとして名を馳せた。

 しかし、4年までの道のりは平坦なものではなかった。リーグ戦登板も負け投手になることも多く、一時はチームに勝利を導けない責任から野球をやめることも考えた。どこかに弱気の虫が見え隠れするような投手だった。

 正村監督は「ここぞという時に力んでボールが高めに行ったり、1点リードしていてもひっくり返され、負けるというパターンがありました。試合を重ねるにつれて、弱さ、脆さが出ていた時期もありました」と振り返る。「勝利への執着心をもっと持つように」と指導したこともあった。「最初は子供だったから、すぐに態度出したりしていましたが、最後の方は打たれても、味方がエラーをしても、淡々とプレーしてくれました。人としても成長してくれたのが大きいですね」

自信を深めたスクリューボールの存在「握り方は本人独自のもの」

 指揮官の言葉で強い気持ちになれた高橋はもう1つ、プロで勝負できる武器も手に入れた。スクリューボールだった。

 高校時代に出会った変化球で、遊び半分で投げていた程度だった。大学2年の春、直球とスライダーに頼るだけで、縦の変化球が必要だと、正村監督と話し合い、スクリューを磨いていくことを決めた。「握り方とかは本人独自のもの。スピードの変化が必要でしたから、スクリューを覚えて、はまってくれました」とピッチングの幅が広がった。ここから奪三振も増え、自信を手に入れた。正村監督の技術指導と人間教育によって成長し、プロのスカウトの目に留まるような投手へとなっていった。

 正村監督はスタンドから5日の巨人宮崎キャンプを視察し、高橋のシート打撃登板を見守ったという。

「生活においても、マウンドでも、少しずつでいいから成長をしていってほしいですね。理想は、ローテーションを守って、何年も投げて、2桁勝てるようになってほしいですけど、今、そんなに勝てる投手も少ないと感じていますから(高橋に)どこまで望んでいいのか……。プレッシャーになってほしくないし、夢を語るほど野球を知らないわけではないですし……早く馴染んで、長くプロの世界で活躍してもらいたいですね」

 まだまだ伸びしろがあると思っている。厳しさと愛情を注いだ教え子の活躍を、遠くの青森から見守っていく。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2