新潟で野球女子向け「BBGウィンターフェスタ」開催 マドンナJ来場に大盛況

BBGウィンターフェスタが開催された【写真:大森雄貴】

発足のきっかけは「女の子だって野球を好きなら、やらせてあげたい!」

 2月10日に新潟のHARDOFF ECOスタジアム新潟で「BBGウィンターフェスタ」が開催された。「BBGウィンターフェスタ」とは、小学1年生から6年生の女子野球選手を応援する女子野球交流の場の1つだ。主催運営を行う「BBガールズ普及委員会」とは、「女の子だって野球を好きなら、やらせてあげたい!」という想いから学童野球チームの有志が集まり、2008年に結成された組織で、新潟の女子野球普及のための活動を行っている。

 今回のイベントでは「すごいぞ! WBSCワールドカップ6連覇!」をテーマに掲げ、女子日本代表マドンナジャパンのメンバーが新潟を訪れ、女子選手に向けた野球教室を行った。新潟の少女たちの“お姉さん先生”を務めたのは、マドンナジャパンのキャプテン出口彩香、コーチの志村亜貴子、船越千紘、田中露朝、清水美佑の5人だ。

 2月の新潟とあって、当日天気は晴れたが、会場のHARDOFF ECOスタジアム新潟のグラウンドは雪一色で、イベントは室内練習場で行われた。

 寒さの厳しい冬のイベント開催だったが、最終的には67人の小学生女子野球選手が参加した。主催者は「夏のイベントは人が集まるが、冬は未知数だった。最初は集まらないかと思いましたが、マドンナジャパンの名前が出た途端、応募が一気に増えました」と大喜び。所属チームの都合で来場できなかった野球女子も多く、イベントが持つポテンシャルの高さを伺わせた。

 当日の運営は、新潟県女子野球連盟に所属するNLライズ、中越フェニックス、県央BLジャイアンツ、上越BREAKERSの4つの女子軟式野球クラブと女子早起き野球チームヒロインズがサポート。小学生の野球女子が、今後野球を続ける上での質問を気軽に投げかけられる環境も整えられていた。

ワールドカップV6の女子代表5選手の登場に参加者は歓喜

 開会式にマドンナジャパンのメンバーが登場すると、会場に集まった野球女子たちは一斉に目を輝かせた。ウォーミングアップでは参加者全員鬼ごっこなどで汗をかき、キャッチボールではマドンナジャパンの選手がデモンストレーションを披露。見つめる参加者たちの目は真剣そのものだった。

 その後、バッテリーはマウンドを使った投球レッスンに参加し、他の選手は守備練習と打撃練習を行った。終始、活気溢れる中でイベントは進み、参加者の保護者は「普段の男子のチームに1人女子がいる状況と緊張感が違う。女子だけであれば、野球ももちろんだが、間のガールズトークも花が咲いていて、生き生きした顔つきが嬉しい」と、ウインターフェスタならではの醍醐味に顔をほころばせた。

 午後の部では、選手たちは4チームに分かれ、WBSCが推進する「Baseball5」を簡単にアレンジしたゲームで、マドンナメンバーと一緒に楽しんだ。「Baseball5」では、自分で投げたボールを手のひらで打つ形式で、ボールをバットに当てるより簡単で親しみやすい。ここでも多くの参加者が元気にダイヤモンドを駆け巡った。

 この「BBGウィンターフェスタ」の特徴は、保護者も“参加”できる点にある。会議室では、興味がある保護者を対象に「アナウンス講習会」や「審判講習会」を実施し、より多くの人間が野球に参画できる試みがなされた。

憧れの選手との交流に野球女子も保護者も笑顔

 イベントの最後には、チーム対抗全員リレーが行われた。女子選手も多くは負けず嫌いだ。優勝チームに記念品があると聞けば、その表情にはさらに真剣さが増し、誰もが全力疾走。ゴールの瞬間まで大いなる盛り上がりを見せた。

 閉会式では、マドンナジャパン主将の出口選手が「楽しかった人!」と問いかけると、参加者全員が勢いよく手を挙げた。マドンナジャパンの5選手から激励の言葉を送られた野球少女たちは、記念撮影をしたりサインをもらったり、憧れの選手と交流。その嬉しそうな様子に保護者たちも笑顔を送りながら、イベントは幕を下ろした。

 全国的に女子の野球人口は増加傾向にあるが、新潟県でも同様だという。女子野球では男子に比べ、指導者の怒号が飛ぶことも少なく、選手の個性を伸ばしていく育成方針が採られていることも、人口増加につながる理由の1つだろう。

 野球に携わる大人たちも、女子野球への関心を高めている。「BBガールズ普及委員会」は、結成当初からメンバーがほとんど変わらないばかりか、むしろ「手伝いたい!」と申し出る大人が増えているそうだ。

 野球に携わる全員の熱い思いが、新潟の野球をさらに面白くする。(大森雄貴 / Yuki Omori)

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