サッカーは頭を使え!今、「利き足は頭」と呼べる選手を選んでみた

今年のオフは国内で名選手の引退が相次ぎ、一つの時代の転換期となった。ここでは、その多くのレジェンドの中から巻誠一郎にフィーチャーしたい。

巻はJリーグで数多くのゴールをマークし、日本代表としてワールドカップにも出場した。しかし、その経歴ほどプレースタイルは華やかではない。「利き足は頭」と自負し、空中戦はもちろん、献身的な守備や体を張った競り合いで凄みを発揮した。

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かつてオシムが「巻はジダンになれないが、ジダンも巻にはなれない」と語ったように、1つの傑出した強みを持つ選手であった。そこで今回は、巻のように利き足が頭といえそうなプレイヤーを紹介する。

植田 直通(セルクル・ブルッヘ)

空中戦に絶対の自信を誇り、鹿島アントラーズ時代に昌子源と国内最強のコンビを形成した植田。

サッカー選手でなければ格闘家になっていたという武闘派で、流血を辞さないどころかむしろ血を見ると興奮すると語り、相手のゴールキックを頭で跳ね返す瞬間に最大の快感を覚えるのだという。

そんな彼は、巻誠一郎と同じ大津高校出身。グラウンドに設置された「ヘディングマシン」と呼ばれる練習器具が二人の最強エアバトラーを生み出したとされている。

ウェリントン(ヴィッセル神戸)

昨シーズンの敵陣空中戦勝利数はリーグ最多タイで、リーグ戦で決めた5ゴールのうち4ゴールがヘディングで決めたものだった。

188センチ90キロというJリーグでは敵なしの体格を誇り、ディフェンダーは競り合いで体を当てるのが精一杯。気持ちよくジャンプさせたらもう手を合わせて祈るしかない。

エアバトルでは圧倒的な強さを見せる一方で、スピードやドリブルスキル、足での決定力に怖さはなく、そこがパトリックやドウグラスといった同じブラジル人ストライカーとの大きな違いである。

また、ヴィッセル神戸が標榜するプレーモデルとの相性は悪く、ダビド・ビジャが加入した今シーズンは先発出場の機会も限られるだろう。しかし、パワープレー要員としてベンチに置いとくには非常に贅沢な存在だ。

豊田 陽平(サガン鳥栖)

サガン鳥栖で7年連続リーグ戦2桁ゴールを記録した元日本代表のストライカー。

「トヨグバ」の愛称から分かるようにフィジカルや身体能力を武器にしたワイルドなプレースタイルが特徴で、シンプルなクロスはもちろん、ボールの着地点を予測して飛び込むなど低弾道のクロスに合わせる形も得意とする。

ただ、昨シーズンは人生初の海外移籍となったKリーグで期待に応えられず、降格の危機を救うために半年で復帰した鳥栖でも無得点に終わった。

フェルナンド・トーレスを筆頭に、質・量ともにリーグトップのフォワード陣の中で新シーズンはどのような存在感を見せるのだろうか。

長沢 駿(ベガルタ仙台)

昨年の夏と今年の冬、2回の移籍マーケットで続けてハーフナー・マイクの後釜としてヴィッセル神戸とベガルタ仙台に獲得されたように、日本人としてはトップクラスのヘディングの強さを誇るストライカー。

一昨年はキャリア初の2桁ゴールをマークし、ガンバ大阪のチーム内得点王に輝いたが昨年は出場機会を大きく減らし、リーグ戦2ゴールという結果に終わった。

心機一転、活躍の場を仙台に移した新シーズンは2年前の活躍を再現できるだろうか。献身性はハーフナーにない武器で、チームの戦術的な幅を広げる。

苦手としていたポストプレーも改善されつつあり、渡邉晋監督の志向する論理的なサッカーにはまる予感はある。

皆川 佑介(サンフレッチェ広島)

ルーキーイヤーに当時のハビエル・アギーレ日本代表監督にサプライズ招集され、その初陣となった2014年のウルグアイ戦でデビューを飾ったことで知られる。

しかし、その後サンフレッチェ広島では期待された結果を残すことはできず、昨シーズンは巻誠一郎の所属していたロアッソ熊本へ期限付きで移籍。

するとJ2では空中戦で圧倒的な強さを見せつけ、11ゴールと及第点の数字を記録した。クロスに泥臭く飛び込むプレーや献身的な守備は巻を彷彿とさせる。

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新シーズンは2年ぶりにサンフレッチェ広島に復帰することになる。中央大学時代の同期であるシュミット・ダニエルのような本格ブレイクを果たすことはできるだろうか。

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