【MLB】「野球界に新しい風を吹かせた」 米名物リポーターが語る大谷翔平の衝撃

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

「ESPN」のペドロ・ゴメス氏に直撃インタ「衝撃的だったよ」

 昨シーズン、投手と野手の“二刀流”として鮮烈なデビューを飾ったエンゼルスの大谷翔平投手。投げては先発で10戦4勝、打っては1年目の日本人メジャー打者最多の22本塁打を放つなどの活躍でア・リーグ新人王に輝いた。開幕前には二刀流での活躍に懐疑的な声も多かったが、終わってみれば、大谷に続く二刀流挑戦を後押しする形となった。

 途中、右肘靱帯を痛め、シーズン終了後には右肘靱帯再建手術を受けることになったが、米球界に与えたインパクトは大きかったと言えるだろう。そんな大谷の姿を、現地メディアはどう見るのか。メジャーリーグ取材歴30年の大ベテランで、現在は米スポーツ専門局「ESPN」でリポーターを務めるペドロ・ゴメス氏を、Full-Countが直撃取材し、大谷について語ってもらった。

――大谷翔平投手が2018年に見せたパフォーマンスについて率直な感想を教えてください。

「衝撃的だったよ。それと同時に、野球界に新しい風を吹かせてくれた。彼から感じる情熱やエネルギー、そしてファンからの反応はとても新鮮だった。右肘の故障の影響でマウンド上では十分な活躍が見られなかったけれど、来年(2020年)以降(投手として)戻って来てほしいし、今年は打者として頑張ってほしい。なぜなら、彼はメジャーの中でもエリート級の打者だからね。とても素晴らしかったよ」

――去年のスプリングトレーニング中は厳しい評価が数多くありました。あなたは、どのタイミングで「もしかすると、とてつもない選手なのではないか」と思いましたか?

「才能を発揮し、結果を残し始めた時だよ。何しろスプリングトレーニングを見る限りだと、まだメジャーに挑戦するのは早すぎたんじゃないかって思ったくらいだから。でも、シーズンが始まってからはガラリと変わった。あの年齢でエリート級、しかもオールスター級の資質を持っている選手だ。並み居るメジャーリーガーと、投手として、また打者として初めて対戦して、あそこまでの成績を残せるのはとてもすごいこと。どれだけ素晴らしい選手なんだろうか!」

米スポーツ専門局「ESPN」でリポーターを務めるペドロ・ゴメス氏【写真:盆子原浩二 】

大谷のすごさは…「メジャーに来て、すぐに成功したこと」

――今後、メジャーで“二刀流”はトレンドになると思いますか?

「大谷の成功もあって、他のチームも二刀流に可能性を見出し始めている。だから、これから挑戦するチームも多くなるはずだ。5年や10年経った後で振り返ってみた時、きっと大谷のおかげで新しいチャンスをもらったという選手がたくさん出てくるだろう。新しい扉が開いたんだよ。彼は5年後も10年後も、二刀流選手のリーダーであるだろう。僕が言いたいのは、その頃には10人以上の二刀流選手が生まれるかもしれない、ということだよ。それも大谷のおかげでね」

――現在は複数ポジションを守れるユーティリティー選手が重用されています。今後はさらに、投手もできるユーティリティー選手の重要性が増すと思いますか?

「確かに、これまでも試合展開によっては、いろんなポジションの選手が投手として登板した時もあった。でも、それは特に投手として練習をしていたわけではなく、人手不足だったから。(大谷のように)いろいろできる選手は1人で2人分の価値があるから、選手としての価値も上がっていくだろう」

――ズバリ、大谷選手の何がすごいと思われますか?

「メジャーに来て、すぐに成功したこと。他にも日本人投手は数多くの成功例があるけれど、打者として成功した選手はあまりいないからね。彼はレアな選手だよ。あそこまで打てるということが印象的で感動的だった。イチローもすごかった。それは変わらないけれど、僕が言いたいのは、大谷はまだ若いのに高いレベルでプレーできるのがすごいということ。他の選手と経験の差があるのにね。アメリカのファンも彼の活躍をとても楽しんでいたし、これからもっと彼のプレーを見ることを楽しみにしているよ」(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

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