レクサス UX200(ガソリンモデル)実燃費レポート | 新エンジン搭載で燃費性能はどうなった?

レクサス UX200(ガソリンモデル)実燃費レポート 郊外路での燃費テストの様子

トヨタ C-HRとの燃費差は?

レクサス 新型UX200 “version L”(ボディカラー:ソニックチタニウム│インテリアカラー:コバルト)

今回は、レクサスブランド最小のSUV「UX」の実燃費をテストした。

2018年11月に登場したこの車は、トヨタ C-HRとプラットフォームを共有する一台でもある。過去にレポートしたC-HRの実燃費とも比較しつつ、レポートしていきたい。

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レクサス UX200 実燃費レポート 目次

燃費テスト概要

起用グレード

レクサス 新型UX200 “version L”(ボディカラー:ソニックチタニウム│インテリアカラー:コバルト)

設定されるグレードは、大きく分けてFFのみの設定となる2リッターガソリン自然吸気エンジンを搭載する「UX200」と、FFと4WDを選択できるハイブリッドモデル「UX250h」の2種類。

それぞれに標準、装備内容が充実するバージョンC、スポーティなFスポーツ、最上級のバージョンLの4つが設定されるが、今回はUX200のトップグレードとなるバージョンL(車両本体価格474万円、JC08モードのカタログ燃費はオプション装着により16.8km/L)を起用した。

テスト詳細と結果

テストは2月12日(火)の正午頃に開始し、午後8時頃帰京するというスケジュールで実施。天候は晴れのち曇り、テスト中の最高気温は10度と冬場らしい気候だった。交通の流れは比較的スムースで、「ノーマル」と「ロング」が選べるアイドリングストップは前者を選択した。

レクサス UX200燃費テストの結果は以下の通りとなった。

駆動方式やエンジンの違いはあるものの、比較対象としてUXのベースとなったC-HRの1.2リッターターボの実燃費(過去データ)を記載する。UX200はハイオクガソリン指定という面はあるにせよ、全体的にC-HRの1.2リッターターボを上回る燃費を記録しており、UX200が積む新しいパワートレーンの完成度の高さを実証した。

ここからは市街地編、郊外路編、高速道路編、それぞれの章で燃費や走りの質について詳細な評価を行っているので、購入を考えている方には参考にしてほしい。

レクサス UX 車種概要

レクサス 新型UX200 “version L”(ボディカラー:ソニックチタニウム│インテリアカラー:コバルト)
レクサス 新型UX200 “version L”(ボディカラー:ソニックチタニウム│インテリアカラー:コバルト)

2016年のパリモーターショーに出展されたコンセプトカー、2018年のジュネーブモーターショーでの市販型の公開を経て、ついに登場したUX。SUVのジャンルではあるものの、最低地上高160mm、全高1540mmというスペックを見ると分かるように、SUVというよりはハッチバックとSUVの中間に位置するクロスオーバーと考えるべきだろう。またそういったコンセプトだけに、プリウスのレクサスバージョンとして2011年に登場したCTの後継車的な役割も担うモデルでもある。

クルマの土台となるプラットホームはトヨタの新世代プラットホームとしてプリウス、C-HR、カローラスポーツに使われるTNGA-C。このことから、UXはC-HRのレクサスバージョンと捉えることもできる。

しかしUXは、アルミや樹脂パーツの多用による軽量化やボディ剛性の強化などで性能が大きく向上。BMW X2やアウディ Q2、ボルボ XC40といった強いライバル車が揃うプレミアムコンパクトSUV市場を勝ち抜くべく、C-HRに対しかなり手が加えられている。

特にパワートレーンはかなり強化されており、このクラスのトヨタ車とはまったく違う新しいものが使われている。

レクサス UX[UX200 "F Sport"]

まずUX200が搭載する2リッターガソリンエンジンは新しい設計思想で開発されたM型と呼ばれるもの。燃料噴射は通常のポート噴射と直噴を併用するD-4Sを採用するなどでパワーアップしており、ハイオクガソリン指定となる有利さもあるにせよ、最高出力174馬力&最大トルク21.3kgmという高スペックを実現した。

また、トランスミッションも発進用ギアを加えたことで広い変速幅とダイレクトなフィーリングを実現した新しいCVTが組み合わされている。

レクサス UX[UX250h "L Package"]

一方、ハイブリッドモデルのUX250hに搭載されるシステムは、ハイブリッド用にチューニングされたM型の2リッターガソリンエンジン(最高出力146馬力&最大トルク19.2kgm)に、走行用モーター(最高出力109馬力&最大トルク20.6kgm)と発電用モーターを組み合わせた2モーターハイブリッドとなる。

またUX250hにはドライバーの運転パターンの学習とカーナビとの連動により、交通状況などに応じ減速エネルギーをバッテリーに戻す回生制動をより効率よく行う「先読みエコドライブ」という制御が盛り込まれている。

駆動方式は前述したとおりUX200はFFのみだが、UX250hにはFFに加えリアをモーターで駆動する4WDも設定される。

カタログに載るJC08モード燃費は、UX200がJC08モードで16.8km/L~17.2km/L、UX250h(FFモデル)がJC08モード27.0km/Lとなっている。

ちなみに、より実用燃費に近いWLTCモードの場合、UX200では市街地モード12.8km/L、郊外路モード16.4km/L、高速モード18.7km/L、総合16.4km/L、UX250h(FFモデル)ではJC08モード27.0km/L(WLTCモードは市街地モード22.0km/L、郊外モード23.4km/L、高速モード22.7km/L、総合22.8km/Lだ。

レクサス 新型UX200 “version L”(ボディカラー:ソニックチタニウム│インテリアカラー:コバルト)

購入時に気になるエコカー減税に関しては、UX200はオプション装着で車重が1540kg以上になった場合に取得税20%、重量税25%軽減、UX250hは全グレードで取得税と重量税が免税となる。

同じくクルマを購入する際に重要なチェックポイントの1つとなっている運転支援システムについても触れておくと、全グレードに「レクサスセーフティシステム+」が標準装備される。

これは、ミリ波レーダーと単眼カメラを用いて夜間を含めた歩行者、日中の自転車にも反応する緊急ブレーキ機能、停止まで対応する先行車追従型のアダプティブクルーズコントロール、車線の中央をキープしようとするレーントレーシングアシスト、ハイビームを積極的に使うオートマチックハイビーム、道路標識を読み取るロードサインアシストなどから構成されているシステムを指す。

UXのレクサスセーフティシステム+は国が行うJNCAPのテストをまだ受けていないが、同等の性能を持つと思われるカローラスポーツのものは対停止車両には50km/h、歩行者に対しても日中は単純な飛び出しなら大人60km/h、子供40km/h、駐車車両の陰からのような遮蔽物からの飛び出しにも大人45km/h、40km/h、夜間も大人の単純な飛び出し、対向車がいた場合ともに60km/hでの停止が確認されている。このことから、UXのシステムも日本で買えるクルマにおいてトップクラスの性能を備えていることが予想される。

レクサス UX200(ガソリンモデル)実燃費レポート 市街地での燃費テストの様子

レクサス UX200 実燃費レポート 市街地編

■レクサス UX200の市街地での実燃費 11.5km/L

レクサス UX200(ガソリンモデル)実燃費レポート 市街地での燃費テストの結果(メーター表示)

レクサス UX200は、市街地で11.5km/Lという燃費を記録した。

この燃費は及第点以上であるものの、「もう少し伸びてもよかったような」感もある。その原因は、後述するアイドリングストップの頻度、時間にありそうだ。

この市街地編では、ドライバビリティ(運転のしやすさ)、アイドリングストップ、停止まで対応する先行車追従型のアダプティブクルーズコントロールの印象を中心にお伝えする。

まずドライバビリティは発進用ギアを持つ新しいCVTを使うこともあり、スタートは過敏ではないものの鋭く感じられる。アクセル操作に対するレスポンスも、CVTらしかぬダイレクトさを持つ上にエンジン回転が下がり過ぎることもなく、自然で非常に運転しやすい。

レクサス UX200(ガソリンモデル)実燃費レポート UXのアイドリングストップ直前のメーター表示。筆者によると、車内の快適性も考慮されたセッティングになっている様子だ。

搭載されるアイドリングストップは、車が停止した後にブレーキを踏み足すとアイドリングストップが始まるタイプのもの(画像は動作直前のメーター表示)。一時停止や止まりそうで止まらない渋滞などで不必要なアイドリングストップが起きにくく、そういった状況でとても好ましいといえる。

エンジン再始動は素早く、セルモーターの音も気にしてないと分からないくらい静かだが、アイドリング中の振動は少し感じる。これは、走行性能を重視した結果エンジンマウントが硬めになったことが原因と考えられる。だがアイドリングストップがあるので、この点はさほど問題にはならないだろう。

テストした日はそれほど寒くはなかったものの、停止後エンジンが止まらないことや停止中エンジンが再始動することもしばしばあり、アイドリングストップの頻度と時間はそれほど多くなかったといえる。

エアコンやバッテリーの電圧との兼ね合いもあるのだろうが、基本的に車内の快適性を重視したアイドリングストップのようだ。

アダプティブクルーズコントロールは市街地で使っても車間距離を適切に保つ。加減速もスムースな上、先行車の動きを見た操舵支援が行われることも多く、サポートとして十分使える完成度を備えていた。また電動パーキングブレーキのため、停止中のブレーキホールド機能が付くこともありがたい。

レクサス UX200(ガソリンモデル)実燃費レポート 市街地での燃費テストの様子

なお市街地を走ったのは夜間だったが、UXでは三眼LEDヘッドライトが付く上級グレードの場合、先行車や対向車に直接光が当たらないよう一部だけハイビームをさえぎることことができる「アダプティブハイビーム」が装備される。

使ってみると、対向車がいても歩行者がいなければ左側だけハイビームを使うようになるなど、制御のきめ細やかさが印象的。夜間の安全性向上に寄与していることが確認できた。

レクサス UX200 実燃費レポート 郊外路編

レクサス UX200(ガソリンモデル)実燃費レポート 郊外路での燃費テストの様子

■レクサス UX200の郊外路での実燃費 13.9km/L

レクサス UX200(ガソリンモデル)実燃費レポート 郊外路での燃費テストの結果(メーター表示)

レクサス UX200の郊外路での実燃費は13.9km/Lとなり、2リッター自然吸気エンジンを搭載するクロスオーバーSUVとしては及第点以上の燃費を記録した。

ここではUX200のハンドリングや乗り心地について触れていきたいが、これらのバランスは相当高次元なものとなっていた。

まずハンドリングは、ハンドルに伝わってくるステアリングフィールがスムースかつシットリとしており大変良質な手応えを伝えてくれるところが素晴らしい。

ハンドル操作に対するクルマの動きも非常に正確で、加えてロールも操作に対してジワジワと起きる。パワーもあることから、ワインディングロードではクロスオーバーSUVというよりもハッチバックとして運転を楽しめる。それだけに、Fスポーツ以外のグレードにもテストに使ったバージョンLを含めパドルシフトが欲しくなったくらいだ。

またCVTのセッティングもスポーティで、状況によっては有段ATのようにステップシフトすることやコーナーに入ってからエンジン回転を上げることもある。

レクサス UX200(ガソリンモデル)実燃費レポート 郊外路での燃費テストの様子

一方、乗り心地は路面の小さな凹凸で僅かな硬さをまれに感じ、中くらいの凹凸で路面からのショックを受け止めきれないこともある。

だが、大きな凹凸にはよく追従しており、コンパクトプレミアムSUVとして十分合格点に達している。

バージョンLとFスポーツは18インチのランフラットタイヤを履いていることから、乗り心地に関しては17インチの通常のタイヤを履く標準グレードやバージョンCであればさらに良化することも十分考えられる。

レクサス UX200(ガソリンモデル)実燃費レポート 高速道路での燃費テストの様子

レクサス UX200 実燃費レポート 高速道路編

■レクサス UX200の高速道路での実燃費 18.8km/L

レクサス UX200(ガソリンモデル)実燃費レポート 高速道路での燃費テストの結果(メーター表示)

レクサス UX200は高速道路で18.8km/Lという、コンパクトプレミアムSUVとしては想像以上に良好な燃費を記録した。好燃費を記録した要因としては発進用ギアを設けたことでCVTの変速幅が広がったため、巡航中のエンジン回転が低く抑えられたことが大きいと思われる。

この高速道路編ではUX200の動力性能やアダプティブクルーズコントロール、レーントレーシングアシストといった運転支援システムの印象を中心にお伝えする。

レクサス 新型UX200 “F SPORT”(ボディカラー:テレーンカーキマイカメタリック│インテリアカラー: “F SPORT”専用ブラック

まず動力性能は、低回転域から十二分なトルクが出ていると感じられる。アクセルを深く踏むと中回転域から高回転域の力強さが感じられ、CVTとのマッチングも含めエンジンの吹け上がりも素早い。

そのため“2リッター自然吸気エンジン”というイメージで乗ると「おぉ!」と声を上げるくらいの瞬発力を味わうことができる。これだけの動力性能があれば、レクサスに乗るユーザー層も考えるとUX200がハイオクガソリン指定なのも納得できる。

また高回転まで回した際のエンジンも、耳障りでない澄んだ活発なもの。これにも好感を持った。なお100km/h走行時のエンジン回転数は1500回転と、コンパクトプレミアムSUVとしては低く抑えられていた。

レクサス UX200(ガソリンモデル)実燃費レポート 高速道路での燃費テストの様子

高速道路で運転支援システムを使った印象についてもお伝えしよう。

アダプティブクルーズコントロールによる3段階の車間距離は適切で、加減速もスムース。レーントレーシングアシストも首都高の緩いコーナーでも有効に作動しており、運転支援システムとして積極的に使いたい完成度を備えていた。またこのシステムは首都高の渋滞中にも作動しており、渋滞中の疲労軽減に役立ってくれるに違いない。

ただし、斜め後方を監視して進路変更の際などの事故を防止するブラインドスポットモニターがオプションというのは、高級ブランドというレクサスのポジションを考えると疑問を覚える。

なお走行モードについては、エコ、ノーマル、スポーツ、スポーツ+という4種類がある。ノーマルを基準にすると、エコの場合はアクセル操作に対するレスポンスがマイルドでエンジン回転も低めになる印象。スポーツはアクセル操作に対するレスポンスがシャープになりエンジン回転も高めをキープし、スポーツ+はスポーツの状態に加えハンドルも重めになるという違いがあった。「エコ」で特に不満を感じることもなかったことから、普段は燃費も上がりそうなエコモードを使うといいだろう。

レクサス UX200 実燃費レポート 総合実燃費編

■レクサス UX200の総合実燃費 14.4km/L

レクサス UX200(ガソリンモデル)実燃費レポート 燃費テスト終了時の様子

レクサス UX200は優れた走行性能、燃費に加え、ドアを開閉した感じや革巻きのハンドルの適度な柔らかさといった特長を持つインテリアも魅力的で、輸入車が相手となるコンパクトプレミアムSUV市場においても十分な競争力を備えている。トヨタ C-HRのレクサスバージョンという以上の魅力を感じた。

価格に関しても、414万円のバージョンCまでであれば、納得できる値付けといえるのではないだろうか。

それだけにUX200への4WDの設定をはじめとするラインナップの拡充や各部の熟成など、今後も今以上に輸入車に勝負できる存在となれるよう頑張って欲しいと強く思う。

[筆者:永田 恵一 / 撮影:島村 栄二・和田 清志・永田 恵一]

試乗ルート「高速道路」

燃費レポート<高速道路編の主なコース>

首都高速都心環状線芝公園ランプから首都高湾岸線を経由し、東京湾アクアラインから最近開通した圏央道の茂原長南インターに向かうというルート。 道路にアップダウンは少なく、流れは区間全体を通しおおよそ80km/h程度。道のりは約70km。

試乗ルート「郊外路」

燃費レポート<郊外路編の主なコース>

茂原長南インターを降り、国道409号線を西に進み、交差する国道297号線を北上し、東京湾に近い千葉県市原市内の国道16号線まで向かうルート。 道路にアップダウンは少なく信号があまりない上に走行中の流れも良く、好燃費が期待できる区間と言える。道のりは約30km。

試乗ルート「市街地・街乗り」

燃費レポート<市街地・街乗り編の主なコース>

千葉県市原市の国道16号線から国道357号線、途中から片側1車線になる国道14号線、都県境から蔵前橋通りを経由し、オートックワン編集部に戻るルート。スムースに流れることは少なく、渋滞路が多くを占める区間だ。 平均時速は15~18km/h程度で、イメージとしては混んだ東京都内の道に近い。道のりは約55km。

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