長崎歴文協 活動に幕 越中さん講座 最後も盛況 自身の半生振り返る

 長崎学の継承、発展に貢献してきた長崎歴史文化協会(長崎市桶屋町、小川洋会長)が29日で37年の活動を終える。25日には長年続いた「長崎学を学ぶ講座」の最終回があり、同協会理事長で郷土史家の越中哲也さん(97)が登壇。長崎のまちと一緒に歩んだ自身の半生を振り返った。
 同協会は1982年に当時の十八銀行頭取の肝いりで発足。同講座は毎週月曜、さまざまな専門家を講師に招き、会員が学んできた。578回目の講座となったこの日は、会場に入りきらないほどの会員ら50人以上が参加。越中さんは戦後復員して長崎に戻ってからの歩みを語った。
 戦後まもなく、少年の更生保護に携わる保護観察官になった越中さん。業務で県内全てを巡るうちに郷土史に触れたという。「各地で村長さんなどがご案内になる。3日で帰るところを1週間もいたりしてね。それが歴史に取り組む始まりでした」と振り返った。
 このほか、同協会発足の経緯や結城了悟神父、マリア観音を調査した思い出などを、おなじみの軽妙な語り口で紹介し、参加者は楽しそうに聞き入っていた。
 これに先立つ22日には、同市興善町の市立図書館で閉会式もあった。来賓の加藤邦彦副市長が田上富久市長のあいさつを代読し、「貴会がけん引した長崎の歴史や文化の研究は見事に開花し、長崎のあらゆる場所でその影響が及んでいる」と述べた。最後に長崎検番などの「送り三味線」が披露され、越中さんは「(演奏を)聞いたらさっと帰るんですよ。さようなら」と言って会員らをにこやかに見送った。

「長崎学を学ぶ講座」の最後に記念撮影に納まる越中さん(前列左から2人目)と会員ら=長崎歴史文化協会

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