佐世保市長選 2回連続 無投票の公算 市議選投票率 低下懸念も

2回連続無投票の公算が大きくなっている佐世保市長選。朝長氏のほかに立候補者のポスターは貼られるのか=佐世保市内

 統一地方選後半戦で、佐世保市のリーダーを決める市長選(14日告示、21日投開票)が迫っている。今のところ立候補を表明したのは、4期目を狙う現職の朝長則男氏(70)のみで、2回連続の無投票となる公算が大きくなっている。市民からは政策や多選への意思表示ができない不満が漏れるほか、選挙ムードが高まらず、同日実施される佐世保市議選の投票率低下を懸念する声もある。
 1月に開かれた佐世保市長選の立候補予定者説明会。朝長氏の陣営に加え、市内在住の60代男性と70代男性が姿を見せた。2人とも出馬への意欲をにじませていたが、1人は市選管に辞退を申し出て、もう1人にも動きはない。その後の事前審査を受けたのは朝長氏だけだった。
 「あまりに盤石な支援態勢が挑戦を躊躇(ちゅうちょ)させている」という声は多い。朝長氏は自民、公明両党に加え約600の企業・団体から推薦を受けた。さらに「まだ数えていない推薦状は多く残っている」(陣営幹部)。3月の事務所開きには保守系のほか、国民民主の市議も出席して周囲を驚かせた。朝長氏はあくまで選挙戦になることを想定し、「戦い抜く」と気を引き締める。
 長崎県内の市長選では近年、平戸市が2013年から2回連続、雲仙市が09年から3回連続で無投票になっている。佐世保市は2回連続で無投票になったことはない。
 投票の機会がなければ、朝長市政への評価がはっきりしないまま政策は進む。加えて、朝長氏は初出馬を表明した06年の会見で、4選出馬が濃厚とみられた当時の現職の多選を問題視する発言をした。自らは周囲の理解を得て出馬を決めたとするが、ある市議は「多選批判は確実にあるはずだが、それも見えなくなる」と指摘する。
 また同日投開票される佐世保市議選への関心が低くなる懸念もある。市長選に2人が出馬した11年の市議選の投票率は60.19%だったが、市議選のみだった前回15年は51.74%と低迷。佐世保市議に立候補予定の新人は「現職と比べ名前が浸透していない」、現職も「自分たちは新鮮味がない。市長選が同時にあるほうが政策論争が熱くなる」とやりにくさを口にする。
 統一地方選前半戦の県議選では、各陣営に市議選の立候補予定者も駆け付けて支援に動いた。ある予定者は「あれだけ応援したのだから、県議選の関係者にも後半戦を盛り上げてもらいたい」とつぶやいた。

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