復活の兆しを見せるマクラーレンのサインツにインタビュー:「中国GPで結果が出れば、マシンのポテンシャルは本物」

 長く低迷を続けたマクラーレンが、復活の兆しを見せている。ランド・ノリスがルーキーとしてはただひとり、開幕2戦で続けて予選トップ10に入り、前戦バーレーンGPでは6位入賞を果たした。

 一方カルロス・サインツJr.は、開幕戦はMGU-Kトラブルでリタイア。バーレーンGPではかつてのチームメイト、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)を追い回す速さを見せたものの、ブロックされて接触。大きく順位を落として、最後は2戦連続のリタイアと、結果を出せずにいる。

 とはいえサインツ自身は今季のマクラーレンの戦闘力を確信し、さらにテクニカルディレクターのジェームズ・キーと再び一緒にやれることに大きな期待を抱いている。

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──ジェームズ・キーとは、すでに一緒に仕事をしていますか?
カルロス・サインツJr.(以下、サインツJr.):先週からだね。ファクトリーで、かなり長い時間一緒に過ごしている。トロロッソ時代からジェームズとはすごくいい関係を築いていたし、当時からエンジニアたちの力量を最大限引き出す能力に長けていた。今回もそんな彼の仕事ぶりに、すごく期待しているよ。

──偶然とはいえ、面白い再会ですね。
サインツJr.:本当に。まさかマクラーレンで、また一緒に仕事することになるとはね。でもF1の世界ではこういうことはよく起きるものだし、ジェームズとまた一緒にやれるのは本当にうれしい。

──ところで、何かの機会にミック・シューマッハーへの共感を語っていましたね。ちょっと意外な感じを受けたのですが。
サインツJr.:僕らはお互いに、世界チャンピオンの息子という共通点があるからね。僕自身カートを始めた時から、その後カテゴリーが進んでいってもずっと、『カルロス・サインツの息子』というレッテルを貼られ続けてきた。自然に慣れていったけど、それでも時にひどく負担に感じることもあった。

 おそらくミックも、同じ気持ちを味わっているだろうと思ってね。そして僕よりも、はるかに大きな注目を浴びている。でも傍から見る限りは、そんな環境にうまく適応できている感じだ。

──ライバルたちは、『世界チャンピオンの息子』をことさら目の敵にするでしょうね。
サインツJr.:まったくその通りだったよ。どうして僕だけが標的にされるんだと、恨んだこともあった。でもあるとき父から、『やるかやられるか、この世界はどちらかしかないんだ』と言われた。それでハッと、目が覚めてね。それまでの僕にはアグレッシブさが欠けていると、自覚できた瞬間だった。それ以来、確実に僕の走りが変わったと思う。

■「中国とバクーで速ければ、2019年マシンのポテンシャルは本物」

──開幕2戦を終えて、2019年シーズンのマクラーレンの潜在能力がある程度見えてきたと思います。
サインツJr.:十分にポテンシャルのあるクルマだと思う。それは間違いない。でもまだ決定的に、走行距離が足りない。限られたコース特性のサーキットしか、走っていないしね。

 とはいえメルボルンでそこそこの速さを見せ、バーレーンGPはかなりよかった。残念ながら僕自身は信頼性の問題で、結果を出せていない。でもシーズンは始まったばかりだし、まったくコース特性の違う今週末の中国GP、そして市街地レースのアゼルバイジャンGPで同じように速ければ、本物だと思っていいだろうね。

──今シーズンはどの辺りまでいけそうか、まだ予想はできないのでしょうか。
サインツJr.:今後の2戦を待ちたいね。でもバーレーンGPでの戦闘力が、まったく見せられないとは思っていない。

──バーレーンGPではマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)と接触したことで、大きく順位を落としてしまいました。レース後、彼とは話しましたか?
サインツJr.:いや。ホテルで会って、挨拶はしたけどね。

──その後、電話やメールとかでは?
サインツJr.:それもない。あれはもう終わったことだと思っているし、特に話すことはない。僕自身は間違ったことはしていないという自信はあるし、あの時はあれが最良のドライビングだった。いけると思ったから、いった。それだけのことだ。マックスにももちろん言い分はあるだろうけど、改めて話す必要はないよ。

カルロス・サインツJr.(マクラーレン)

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