「家族になれる」 横須賀市の「パートナー制度」に申請

交付された「パートナーシップ宣誓証明書」を手に、ほほ笑む渡邉さん(右)と柿内さん =横須賀市職員厚生会館

 横須賀市内で同居する、いずれも会社員の渡邉美和さん(43)と柿内貴子さん(43)が18日、性的少数者のカップルをパートナーとして公的に認める「パートナーシップ制度」に申請し、宣誓証明書を交付された。4月に市が導入してから、交付は2人で5組目。渡邉さんと柿内さんは「市に関係を認めてもらえて、家族になれるという気持ち」と笑顔を見せた。

 戸籍上はどちらも女性。渡邉さんはレズビアンで、柿内さんは男女どちらでもない性別を自認している。

 2人は3年前に交際を始めた。同居を考え始めた2017年秋、柿内さんの住む横須賀市が制度導入に前向きな姿勢を示していることを知り、市内に一戸建てを購入。都内から渡邉さんが転入し、一緒に暮らし始めた。

 2人は「公的機関に存在を認めてもらうことが、心の支えになる」と述べ、制度が性的少数者にとって安心感につながると説明。また渡邉さんは「携帯電話の家族割サービスを受ける時などに、関係を一から説明しなくても済むようになり、心理的負担が減る」と喜び、柿内さんは「宣誓証明書を使い、勤務先で加入する生命保険の受取人を変更したい」と話した。

 市は制度の対象に「Xジェンダー」などの多様な性や事実婚カップルも含め、制度周知のためのガイドブックも発行した。柿内さんは「LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)に該当しない人もガイドブックに明記されていて心強い」と取り組みを評価。2人は「制度は特別な権利でなく、『異性愛のカップルができる結婚に一歩近づいた』という意味。これから周辺の自治体、全国に広がってほしい」と願っている。

 制度は、横須賀、小田原の2市が4月1日、県内の自治体で初めて導入。小田原市によると、申請はまだない。

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