STCC改めTCRスカンジナビアの開幕前テスト開催。開幕戦は13台が参戦へ

 2019年でTCR規定導入3シーズン目を迎えるSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権ことTCRスカンジナビアが開幕前公式テストを実施。TCR規定初年度の2017年STCCチャンピオンに輝いたロバート・ダールグレンが、PWRレーシング・セアト・ディーラーチームのセアト・クプラTCRでトップタイムをマークした。

 スウェーデン南部クヌットストープで行われたプレテストでは、午前中のセッションでホンダ・レーシング・スウェーデンbyMA:GPのマティアス・アンダーソン(FK2ホンダ・シビック・タイプR)が1分00秒193の最速タイムを記録していたが、午後に入って元王者が意地を見せ、1分00秒125とわずか0.017秒上回り総合トップタイムをマークしてみせた。

 この公式テストに参加したエントラントでは、初参加組となるルーキー勢も活躍し、Brink Motorsportから参加した16歳のハンス・モーリン(アウディRS3 LMS)が初のTCRツーリングカーながらトップタイムとの差0.042秒の3番手タイムを記録。

 STCCにも参戦経験を持ち、ポルシェ・カレラカップ・スカンジナビアで戦ってきたヨッケ・マン(アウディRS3 LMS)は、Brovallen Designからテストに参加し0.162差の4番手を記録したものの、チームからはレギュラードライバーとしての参戦確定はまだアナウンスされていない。

 その後方には、Micke Kågered Racingのアンドレアス・アールベルグ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)が5番手、PWRレーシングで今季も引き続きSTCCにエントリーするシリーズ初の女性ウイナー、ミカエラ-アーリン・コチュリンスキー(セアト・クプラTCR)が6番手。

 Brink Motorsport代表でもあるトビアス・ブリンクとチームメイトのアンドレアス・ウェルナーソンが、ともにアウディRS3 LMSで1分00秒477と1分00秒799を記録し7、8番手に並んだほか、フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRのアルビン・ワルネロ、トーマス・エングストロムがトップ10に入っている。

午前のセッションで最速を記録したホンダ・レーシング・スウェーデンbyMA:GPのマティアス・アンダーソン
2019年から心機一転、新スポンサーを迎えてパープルのマシンをドライブするロバート・ダールグレン

 さらに午後のセッションでは、今季から隣国ノルウェーのチームとして初参戦を果たすInsight Racingのクリスティアン・モーセテレンが、こちらも女性ルーキードライバーとしてSTCC挑戦を予定するルイーズ・フロストとアルファロメオ・ジュリエッタTCRをシェアし、それぞれ12番手、13番手タイムを記録した。

 TCRスカンジナビア・シリーズのオーガナイザーは、5月3〜4日にクヌットストープで争われる2019年開幕戦には全13台のエントリーがあることを発表し、シリーズ代表を務めるグレガー・ペターソンはその概況を次のように説明する。

「我々はこの冬の間に起こった全てのことに影響を受け、非常にタフな状況に置かれていることを知っています。しかし、ここクヌットストープでのプレシーズンテストで見た光景はポジティブな驚きに溢れていました」とペターソン代表。

 クリストファーソン・モータースポーツ(KMS)のエースで、WorldRX世界ラリークロス選手権も連覇したヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)がタイトルを獲得した2018年シーズン末に、シリーズを運営してきたSTCC ABが破産申請を提出。

 これを受け、KMSを始めウエスト・コースト・レーシングなど有力チームの流出が相次ぎ、2018年に最大で23台のエントリー(レギュラー参戦20台)を集めたグリッドは、2019年に向け10台近く減少する見込みとなっている。

「良いシーズンにするために、一生懸命に頑張っている意欲的な人々がここにはたくさんいるんだ」と続けたペターソン。

「そしてデンマーク人の友人でもあるInsight Racingのメンバーが、こうしてSTCCにチャレンジすることを選んだのは、とても楽しく、うれしいことだ。我々は現実的で長期的な計画に取り組んでいるし、近いうちにあと数台のエントリーを発表できればいいと思っている」

アウディで参戦するBrink Motorsportは16歳のハンス・モーリン(左)を加えた3台体制に
VWゴルフGTI TCRのMicke Kågered Racing、アンドレアス・アールベルグは5番手

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