未だ1勝と苦しい試合の続く春季リーグ戦も残すところあと2戦。「もう1つも落とせない」(富澤太凱副将=経4・慶應)。負ければ入替戦、まさに背水の陣で挑んだ慶大。相手の強烈なサーブと速い攻撃に翻弄され、第1セットを14-25と大差で落とす。第2セット以降、デュースに持ち込むなど粘りをみせるも、最後まで流れをつかみ切れず痛い敗戦となった。
2019年5月12日(日)
春季関東大学男子1部バレーボールリーグ戦
第10戦 慶大×駒大
@小田原アリーナ
慶大 セット 駒大 14 1 25 24 2 26 17 3 25
ポジション 背番号 名前(学部学年・出身校) WS 23 小出捺暉(環2・駿台学園) MB 9 降小雨(商1・慶應) OP 21 富澤太凱(経4・慶應) WS 5 宮川郁真(総2・松本県ヶ丘) MB 12 清水柊吾(総3・広島城北) S 1 吉田祝太郎(政3・慶應) Li 7 永田将吾(総2・高松) Li 17 加藤真(商3・慶應) 途中出場 2 マルキナシム(総4・川越東) 15 加藤靖丈(商2・慶應) 19 樫村大仁(環3・茨城高専)
富澤(左)と降(右)のブロック
試合開始早々、富澤の強烈なスパイクから幸先よくブレイクする。しかし、互いに譲らず12-14とセット中盤を迎えると、慶大の繋ぎやスパイクでのミスが重なり、思わぬ形での連続失点。すかさずタイムアウトを取るも、最後まで慶大のブロックを絞らせない相手のバックアタックを含む多彩な攻撃に対応できず、7連続失点を喫し、14―25と大差で第1セットを落としてしまう。
明るい笑顔も戻ってきた
前のセットからメンバーを2人替えて臨んだ第2セット。替わって入ったOP加藤靖丈(商2・慶應)の重みのあるスパイクや、マルキナシム主将(総4・川越東)の気迫溢れるプレーでラリーを制す。相手の攻撃が乱れ、ミスによる得点が増えるなか、吉田祝太郎(政3・慶應)のサービスエースを含む連続得点でペースをつかむ。23-20とリードして迎えた終盤だったが、サーブレシーブの乱れから相手にいいように攻撃され、デュースの末、このセットを落としてしまう。
今季初出場となった樫村
追い詰められた第3セット、序盤からなかなかサイドアウトを切れない展開が続き、1-6と差を広げられてしまう。清水柊吾(総3・広島城北)が相手をかわすBクイックなどで食い下がるも、6-12と点差を縮めることができない。流れを変えるべく、今季初出場となった樫村大仁(環3・茨城高専)がコートへ。高さのあるクイックを相手コートへ突き刺し、流れを掴みかけた慶大。だが、最後まで相手サーブに苦しめられ、思うように攻撃できなかった。慶大はこのセットを17-25で落とし、ストレートでの敗戦となった。
この試合の結果、最終戦で勝利を収めた場合でも、暫定10位のチームに勝利数で及ばないことになり、最終戦を前に慶大の1部・2部入替戦進出が決まった。
小出が攻守にわたってチームを支え続けている
サイドアウトをなかなか切れない、苦しい展開が続いた。さらに、好調だった第2セットも逆転で落としてしまうなど、セットを取り切るまでの力が足りなかった。「最後までふわふわした感じで行ってしまった」。小出捺暉(環2・駿台学園)は、試合後にそう振り返る。選手たちの間には戸惑いの表情が見られることもあり、チーム内でのコミュニケーション不足は否めない。
ここ最近の慶大を見ていると、一人一人が持っている力を相手に封じ込められてしまっている、そんな印象を受ける。選手たちが別々の方向を向いていれば力は分散され、相手チームに立ち向かうことはかなわないだろう。やはり、「個人」の力を最大限に発揮するためには、「チーム」としてひとつにまとまることが何よりも重要だ。「チームの方向が微妙になっているので、まっすぐひとつになるように」(吉田)。チーム全体で話し合い、全員が同じ方向を向き直し、今自分がなすべきことを全うする。慶大の中で揺らいでいる「組織力」を、もう一度取り戻してほしい。
(記事:持丸嘉昭・藤澤薫 写真:藤澤薫)
以下、コメント
宗雲健司監督
――今日の試合を振り返って
選手がかわいそうですね。申し訳ない。2セット目は胸のつかえが取れたような動きでやってくれていたのですが、本来はああいう風に僕がしてあげなきゃいけないんだけど、ずっと負けがこんでるので、リードしてもひっくり返されるのではないか、とかいうことを考えながらすごく窮屈にバレーをやっているので、申し訳ないです。
――サーブレシーブが乱れてしまいました
軸であり、信頼している小出が、疲れもあるだろうし、ああやって狙われて。リベロとともにリフレッシュして頑張ってもらいたいですね。
――終盤、取り切れない展開が続いています
まぁ結局は力がないんですよ。サーブレシーブは返らないし、BパスとかCパスになってからの即ミスが目立つので、ああいう展開になってしまうんですよね。こっちがブレイクする力がないので、3月からずっと課題であったワンタッチ取ってからも決めきれないというのが、そのまま出てしまった試合ですね。
――交代選手について
加藤靖丈(商2・慶應)
やっと自分の出番だというような感じで、緊張しながらもしっかりやってくれたと思います。1セットでほぼエネルギー使い果たしてしまったので、次のセット(第3セット)ではもうジャンプもなかなかできないようになっていました。それも、私がちゃんと使ってあげられてないので申し訳ないと思います。
マルキナシム(総4・川越東)
宮川(宮川郁真=総2・松本県ヶ丘)が昨日はまぁまぁよかったんだけど、今日はなかなか決まらないので、マルキに思い切って変えたんですけど、決定率も4分の1くらいでサーブレシーブも上に上がってしまっていたので、サーブレシーブを落ち着かせるために宮川をもう一度戻しました。マルキもやっと出番だというように入ったんだけど、もっともっと頑張ってほしいですね。
樫村大仁(環3・茨城高専)
本来今週の試合は、ワンポイントくらいにしか考えていなかったのですが、樫村を出さざるを得ないくらい速い平行攻撃を防げなかったので、ちょっとイレギュラーな形で長く出してしまいました。彼はまず試合の雰囲気に慣れるというのが目的でした。
――次戦に向けて
せっかく1部で戦えているので、来週の試合に向けてしっかり準備をしてほしいです。
マルキナシム主将(総4・川越東)
――今日の試合を振り返って
7割くらいはやりたいことできていたんですけど、途中からサイドアウトが切れなくなっちゃって。どうしてもそれじゃ勝てない。ブレイクするシーンは何回かあったんですけど、サイトアウトがいつもより良くなかった試合だったなって思います。
――昨日も清水選手がサイドアウトの話をされていました
ブロックとレシーブはこの1週間やってきて。相手(スパイク)を跳ねる、潰すところまではいけているんですけど、途中でこっちの攻撃が失速してしまって。それが、相手に対応されているのか、こっちが良い調子だったのに調子に乗っちゃってミスになっちゃったのか。そこをやっぱり詰めていかないと、1部では勝っていけない。その辺のスパイクの上手さが、他のチームと比べてもやっぱり足りないところだと今日痛感しました。
――第2セット終盤はデュースになりましたが、終盤に失点が重なりました
こっちに流れが来ている状態だったので、本当はもっとイケイケで行かなきゃいけないんですけど、一歩引いてしまった。それがサーブカット(サーブレシーブ)や攻撃の部分であったんですけど、そこで(一歩引かずに)行ききらないと、ああやって相手にチャンスが回って負けちゃうんだなって。あれはやっぱり取り切らないといけないセットだったと思います。
――やはり「20点以降の点の取り方」が課題の1つなんですね
春リーグが始まる前は「20点以降の点の取り方を考えよう」ってやってきて。でも春リーグ入ってからは「序盤が良くない」ってなって。序盤を改善することはできてきたんですけど…またその終盤の課題が出てしまったという感じですね。
――ご自身も途中出場されていました
チームが攻撃通ってなかったので、攻撃の方で頑張ろうって思って入ったんですけど、まあちょっと結果が出ず、すぐに変わってしまったので、まだ調子も出せないまま終わっちゃったなっていうのが率直な感想です。
――チームは連敗で入替戦進出も決まってしまいました。ここからどうチームを立て直していきますか
入替戦で当たるチームの対策をするのがベストだと思うんですけど、まあ2週間前からやっても考えすぎちゃうところがあると思うので、まずは春リーグを戦ってきて、どこが良くてどこがだめだったのか。自分たちのサイドアウトをもう一回しっかりしていく。ブレイクのブロックとディグ(スパイクレシーブ)も上がってきているので、そこは継続してやる方向で行こうと思います。まずは来週まだ専修戦もあるので、そこに向けてしっかりチームを作っていくことをやっていければと思います。
――次週の試合に向けて
リーグ戦10日目で、1勝しかできていません。それでもやっぱりOBの方だったり、応援の人とかもいっぱい来てくださっているので、その人たちにもう1勝するところを見せたいと思います。
吉田祝太郎(政3・慶應)
――相手のミスでの得点が多かった
もともとミスが多かったんですけど、(富澤)太凱さんが出ちゃったりとか、僕が太凱さんに良いトスを上げられなかったり、そこでリズムが取れなくて形を作れなかったです。
――サイドアウトが取れなかった場面も多く見られました
それは今課題で、僕が良いトスを上げられなくてスパイカーに打たせてあげられなかったというのもあります。
――ご自身はサーブなどで得点されていました
今日はサーブの調子自体悪くなかったのですが、トスが上がらないと意味がないですね。
――途中から出場した加藤靖丈選手とのコンビは
靖丈は、普段あまり合わせてなかったのですが、よく合わせてくれたなと思います。頑張ってくれたので助かりました。
――チームの連携面は
チームの中ではみんな下を向かずに、試合の最後も取っ替え引っ替えメンバーが変わっていて、いつも通り連携は取れていたので、みんな雰囲気を落とさずに頑張っていたかなという印象です。
――敗因を1つ挙げるとしたら
エース(富澤)を生かせなかったところですかね。太凱さんをもうちょっと生かせるような動きができたら勝てたかなと思います。
――今日の試合で入替戦出場が決まりました
入替戦は慣れているので、真摯に受け止めて頑張りたいです。
――このチームの現状を打破するために必要なことは
チーム一丸となることです。負けると逃げたくなるので、ひとりひとりが向き合って頑張ろうと思います。
――次戦に向けて
チームの方向が微妙になっているので、まっすぐひとつになるように良い試合になればと思います。
小出捺暉(環2・駿台学園)
――今日の試合を振り返って
全体としても個人としても調子が良くなくて、最後までふわふわした感じで行ってしまったなという感じです。
――サーブレシーブについて
相手のサーブが強かったのもあるんですけど、最後まで耐えきれなかったです。いつもだったら誰かがカバーして補うところを、みんな潰されてしまったという感じです。
――ブロック&レシーブについて
相手の攻撃が速いというのもあって、自分の着きたい配置に着けないという面がありました。
――コンディションについて
正直そんなに良くはなかったです。連戦というのもあるんですけど、疲れが残っていたんだと思います。
――ご自身のプレーについて
体育館が少しやりにくさがあるんですけど、そこを修正できなかったです。全体的に曖昧な感じで終わってしまいました。
――次戦に向けて
入替戦が決まってしまっているので、来週勝っても負けても入替戦はあるのですが、チームとして頑張りたいです。
大学 勝利数 セット率 1位 早大 10 10.0000 2位 東海大 9 3.3750 3位 明大 7 1.5000 4位 筑波大 6 1.3125 5位 中大 6 1.1765 6位 日体大 5 1.0000 7位 専大 5 0.7619 8位 駒大 3 0.7143 9位 日大 3 0.7500 10位 順大 3 0.7391 11位 学芸大 1 0.3448 12位 慶大 1 0.2593
◇順位の決め方◇
勝利数が同じ場合、セット率(得セット数/失セット数)の高い方が上位となる。
セット率も同じ場合、得点率(総得点/総失点)の高い方が上位となる。
なお、下位2チームは1・2部入替戦に回る。