「ついに“ハマりつつある”セレッソ大阪、その要因を紐解く」

首位チームに土をつけたのは、セレッソ大阪だった。

5月25日に行われたJ1・第13節のFC東京戦。無敗を維持していたアウェイチームとの一戦は、我慢比べの展開となったが、90分を通して集中を切らさず戦い抜いたセレッソが見事な完封勝利を収めた。

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新監督に東京ヴェルディを率いていたロティーナ氏を迎えた今シーズン。13試合を終えて9位とやや煮え切らない序盤戦を過ごしたが、ここ数試合は布陣変更が功を奏し、上昇の気配を醸し出している。

今回の当コラムでは、そんなセレッソの現状にフォーカスしていきたい。

■ここ最近の基本形は4-4-2

ロティーナ監督は3バックと4バックを併用することでお馴染みだが、10節の松本山雅戦からオーソドックスな「4-4-2」を本格採用中だ。

守護神はキム・ジンヒョンで、最終ラインは右から松田陸、マテイ・ヨニッチ、木本恭生または瀬古歩夢、丸橋祐介というセット。

ダブルボランチは藤田直之と奥埜博亮またはレアンドロ・デサバト。サイドハーフは右に水沼宏太、左は清武弘嗣がスターターで、後半途中から田中亜土夢と片山瑛一に切り替わる。

2トップはブルーノ・メンデスを軸に高木俊幸、奥埜、柿谷曜一朗が起用されている。

■慣れ親しんだ布陣で

上記の通り、ここ4試合のC大阪は「4-4-2」が本格導入されている。そしてその4試合で3勝1敗、総得点が6、失点が1という見事な成績を残しているのだ。

「4-4-2」と言えば、前任者のユン・ジョンファン氏がベースとしていたフォーメーション。ユン体制のセレッソは、攻守両面のハードワークと統率の取れたカウンターを軸に躍進し、2017年シーズンはリーグ戦3位、そしてルヴァンカップ&天皇杯優勝と栄光を掴んだ。

現スカッドには当時の主力が数多く在籍しており、メンバーにとって「4-4-2」は慣れ親しんだ布陣。やりやすさがあるのは間違いないはずで、機能性の向上が成績に表れている。

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また、開幕当初から採用された「3-4-2-1」に比べて、「4-4-2」の方が最終ラインを高く保つことができる。

「3-4-2-1」の場合、両ウイングバックが最終ラインに吸収され、5バックとなっていたが、後ろに重心が傾くことでラインが低くなりがちだった。そして、後ろに重心が傾く分、攻撃時の迫力不足も生じていた。

「4-4-2」が導入され、攻守における選手間の距離感が縮まったことで、攻撃時にも厚みのある攻めが見られるようになってきたのである。

■エース離脱の危機を乗り越えろ

新機軸がハマりつつあり、上昇気流に乗り始めたチームにおいて、最大の心配事が1つある。それは、エース・都倉賢の負傷離脱だ。

都倉は11節の横浜F・マリノス戦で負傷し、前半途中でベンチに退いた。試合から3日後の5月14日に全治8か月の診断が下ったことがリリースされたが、診断結果から考えれば、今季中の復帰は絶望的となった。

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今季開幕前に北海道コンサドーレ札幌から加入した都倉は、恵まれた体躯を活かしたエアバトルが売りの大型FW。今季のリーグ戦でのゴール数は1にとどまっていたが、空中戦の強さと巧みなポストプレーでターゲットマンとなっていた。チームにはクロッサーの丸橋と水沼、ロングスローの使い手である藤田と片山がおり、彼らの持ち味を引き出す意味でも離脱は大きな痛手である。

このピンチにロティーナ監督は、B・メンデスを2トップの軸に据え、その相棒に高木または奥埜を起用する形を取っている。高木、奥埜そして本来はエース格の柿谷はいずれも都倉とプレースタイルが異なる。彼らの特長に応じた攻め方を構築していく必要があるのだ。

B・メンデスの相棒は戦況や相手との相性に応じて流動的になっていくと予想されるが、特に上位チームとの対戦時には、奥埜を2トップの一角に配するのが最善策となりそうだ。

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ハードワークが魅力で、状況に応じたプレーができる背番号25は、“攻守のリンクマン”として潤滑油的な働きでチームに貢献できるからだ。

そしてもちろん、柿谷にも期待したい。本来なら主力としてエース級の働きをすべきタレントで、なによりチームの看板選手でもある。卓越したテクニックとアイデアは国内屈指なだけに、継続的にピッチへ立ち、チャンスに絡む姿をやはり見たいところだ。

2019/5/26 written by ロッシ

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