「自分の思う最高のエンターテインメントを作っていく」元Chelsy・AMI、東名ワンマンで新曲披露! 今夏に「一人芝居」出演も決定。

人気絶頂の中解散したガールズバンドChelsyのAMIによるソロプロジェクト・TENDERLAMP(テンダーランプ)の東名ワンマンツアー『YUME UTSUTSU』東京公演が2019年6月1日(土)に東京・渋谷WWWにて行われた。

ちょうど一年前、2018年6月1日に始動したTENDERLAMP。弱さに寄り添い、暗闇を優しく照らすことを音楽活動の主軸に据え、ライブに音源制作に配信番組出演にと精力的に活動を続け、2019年5月には1stミニアルバム『YUME UTSUTSU』をリリースした。

デビューから一周年の記念日に行われる節目のワンマンが行われる会場は、「挑戦」という言葉が使われるほどの規模の渋谷WWW。扉を開けフロアに入ると、大きなTENDERLAMPの看板が一際存在感を放つ。クラウドファンディングで支援を募り制作された看板は、サーカスのテントのような、富士山のような、みんなの期待と高揚感が山型で表現された希望のシンボルだ。

会場後、徐々にフロアが埋まっていく。穏やかなSEが集まったファンを癒す。興奮を煽るようなBPMの高い曲ではなく、優しく包み込む選曲だ。そして午後6時、ステージ中央のカンテラに灯りがともされると、バンドメンバーが入場。主役のAMIが不在だが、ナレーションで「名古屋ワンマンの後、(いちごアンバサダーを務める)多度グリーンファームで寄り道している」と告知され、場内に笑いが起きる。”アミポンプライム”で大至急発送せよ…ということで、ステージに大きな段ボールが運ばれ…中からAMIが登場。

ミニアルバム1曲目に収録の「BURE-NIGHT-MAGIC」からライブはスタート。「オンドラムス、わたし!」ドラムスティックを手にするAMI、間奏で高速ドラムソロを披露し、早くも会場の熱気は最高潮。続く「YUME UTSUTSU」でも軽快なドラムに2本のサックス、流麗なピアノが心を躍らす。観客も難度の高いリズムの手拍子にコール&レスポンスに、とバンドメンバーの一員として演奏に参加。見事な一体感を見せる。

サックスが快活な「脳内パラレルワールド」、AMIのドラムソロから入る「jealousy」と、序盤は観客と一体となった喜怒哀楽の共同作業が続く。間奏で観客をジャンプさせると、AMIは「もっとみんなと一緒に飛びたい」と無邪気に煽り、新曲を披露。力強い応援歌に、サビでは拳を高く上げジャンプする人があちこちに出現!

「あちぃ~お洋服に汗…いいや、びしょびしょにしてしまえ!」集まった皆の気持ちを代弁するように、率直に楽しさを表現するAMI。「わちゃわちゃしたのも好きだけど、一人の時間も好き。一人の時間に考えていることを具現化しようと思って…寂しかったり弱かったり、そんな人を照らす存在になりたい」とシリアスに語ったかと思うと、その次の瞬間には「私、意外と面白い人じゃない?」と不思議発言に笑いが起こる。どこまでもマイペースなAMIに翻弄されるこの感じが遊園地的で楽しい。

「もっとでっかくなって、もっと夢のある空間を作りたい。いつか大きいステージ…東京ドーム? に立って、メリーゴーランドを置いたり、観覧車を置いたり、夢の国のように」何やら壮大な夢が語られるが、どうも台本のあるような不自然な語り方…と思っていたら唐突に歌い出すAMI。ミュージカル調に「いつか、必ず、夢は叶うもの」と歌い上げる。突然の”ショートミュージカル”から、即座にまた普通のMCに戻るが、歌唱力の高さに聞き入っていた客席からは、笑いと拍手が両方沸き起こる。

続く6曲目も新曲。伸びやかに、 優雅な大人のシティポップナンバーだ。曲が終わり暗転すると、静かにピアノがつなぐ。「綺麗で繊細なまあるいガラスを持った少年」「そのガラスは紛れもなく彼の宝物で、彼そのもの」…AMIの語りから始まった7曲目「まあるいガラス」。序盤は優しく繊細に歌うが、終盤にかけてその歌声は力強さを増していく。さらに8曲目「MoonLight」もスローバラード。AMIはステージ中央に泰然と構え、真っ直ぐ歌い上げる。

バラード曲を続け、観客に想いが届いていることを確認し、改めて笑顔を見せるAMI。「一緒に歩いて踊れますか?」と呼びかけると、バンドメンバーも全員ステージ最前列に横並びし、午後7時の「まよなかさんぽ」スタート!明るく軽く、ふわっとふんわり、サビでは観客も振り付けを一緒に行う。続く「スノードーム」では切なくも優しい歌声に合わせてサビの手をキラキラさせる振り付けを全員で行う。2番からはドラムも加わるのだが、2番のサビでAMIはドラムスティックを両手に持ちながら手をキラキラさせるので、いっそうきらめきが増していく。

「一年前にこの活動を始めて、わからないことだらけだったけど、やってみてわからなければ勉強すればいいし、できなければもっとやればいいと思ったのです。」そう語るAMI。「不器用かもしれないし、下手くそかもしれないけど、でも前を向いて私は自分の思う最高のエンターテインメントを作っていく」と決意表明すると、「私、きょうの景色本当に忘れません。本当にありがとう」と、集まった観客に謝意を伝える。いつも100点満点の笑顔を見せるAMIだが、この時ばかりは少しシリアスな表情になっていた。

最後はポップでキャッチーな「あなたいろ」でハッピーに締めくくり。ステージを縦横に駆け回り、全身全霊で「しあわせ」を振りまく。そんな陽のエネルギーで充満した会場、当然のようにアンコールが起こる。すると、ステージ手前にもう一台キーボードがセッティングされる。

AMIが一人、再登場。1年前の様々な変化を受けて「自分のけじめみたいな気持ちで作りました」という新曲「南風」をピアノ弾き語り。なんとステージでピアノ弾き語りを披露するのはこれが初めてだという。切ない旋律に乗せて、「届けたいけど届かない思い」を情感たっぷり歌い上げる。

ひときわ大きな拍手が起こる。バンドメンバーを呼び込むと、ステージ中央にスクリーンが降りてくる。そこに映し出されたのはAMI演じる8歳の「あず姫」。何やら一生懸命告知するのだが、その内容はなんと、8月にAMI演じるあず姫による演奏あり演技ありのひとり芝居公演を行うというもの。思わぬサプライズだが、あず姫の強烈なキャラクターに、笑いとも驚きとも似つかぬざわつきが起こる。

「アンコールありがとうの気持ちは最後の曲に込める」と宣言し、最後はTENDERLAMPで初めてリリースした曲「ベテルギウスのなみだ」を演奏。AMIは問いかけるように、話しかけるように、観客一人ひとりに丁寧に歌いかける。最後はドラムを華麗に叩いてこのステージの幕を下ろした。

2年目を迎えるTENDERLAMPの明るい兆しが見える、WWWの規模に相応のスケール感大きいライブ。満杯の観客からは一様に満足げな表情が垣間見えた。

TEXT:鈴木亮介

TENDERLAMP 東名ワンマンツアー YUME UTSUTSU 東京公演
2019.06.01 @渋谷WWW
セットリスト
M01. BURE-NIGHT-MAGIC
M02. YUME UTSUTSU
M03. 脳内パラレルワールド
M04. jealousy
M05. JUMP!
M06. 夢はひそかに (Cover)
M07. つかのまのholiday
M08. まあるいガラス
M09. MoonLight
M10. まよなかさんぽ
M11. SNOWDOME
M12. あなたいろ
-encore-
E01. みなみかぜ
E02. ベテルギウスのなみだ

◆バンドメンバー:
くわっち(桑原康輔) Keyboard & Program
萩原みのり Bass
上野 悠 Sax
高橋 遊 Sax & Chorus

© 有限会社ルーフトップ