4勝目のロッテ種市、100球超で続投した意味 吉井コーチも称賛「すごく良かった」

ロッテ・種市篤暉【写真:佐藤直子】

7回123球1失点の好投、バッテリーで切り替えスライダーで活路

■ロッテ 3-1 DeNA(交流戦・13日・ZOZOマリン)

 ロッテ・種市篤暉投手が13日、本拠地でのDeNA戦で交流戦2度目の先発登板し、チームトップタイとなる4勝目をマークした。

 前回登板となった6日の阪神戦では「立ち上がりはふわふわした感じだった」という種市。これまでの登板では、序盤は緊張から制球を乱すことがあったが、この日は「今日は落ち着いて投げることができました」と初回無失点と上々の滑り出しを見せた。

 力強い真っ直ぐと、落差の大きいフォークのイメージが強い種市だが、この日の投球を支えたのはスライダーだった。「相手のバッターはフォークとまっすぐが頭に入っていたと思うので、そこにないボールを選択して投げることができたと思います」と、スライダーを積極的に投じた。フォークが序盤は「見切られている」とも感じ「そこでスライダーと多めにして、という感じで投げられた。スライダーが良かったので(投球の)比率を多くしました」。7回1失点でチームの連敗をストップさせた。

 この試合、最大のピンチは6回。2死満塁で7番ソトを迎える場面。1ボール2ストライクからの4球目。「三振を狙いに行きました」。狙い通りに空振り三振に仕留めたのも、この日手応えを感じていたスライダーだった。

将来を見据えたベンチの思惑と本人の意思が合致「自信になります」

 6回を投げ終えた時点で種市の球数は106球。今季ここまでは100球過ぎたところで継投に入っていたロッテベンチだったが、この日は続投を選択。種市はその起用に応え、7回を3者凡退に切って取り、自己最多となる123球を投げて、リリーフ陣に後を託した。

「今回は(100球超えても)行かせるつもりだった」とは吉井理人投手コーチ。「ただ、選手の体が大事なので、故障しそうなくらい疲れていたらやめようと思っていたんですけど、全然そんな様子はなかったですし『全然大丈夫です!』と、言葉で言っていた。監督もそこで『もう1回行かせよう』と言ってくれたので、すごくありがたかった」。将来を見据えたベンチの思惑と本人の意思が合致し、100球を超えての7回続投となった。

 昨年10月2日のソフトバンク戦で投げた8回118球が自己最多だった種市。「先発は120球は投げないといけない」と考えており、この日の123球に「『今後、投げていける!』という自信になります。今回(7回を)抑えることができなかったら、次も球数が100ちょっとで代えられてしまうので、球数は行きましたが(7回を)抑えられて良かったです」と納得の表情を浮かべた。

 さらに吉井コーチは「ここまでは80球超えたあたりで球速が落ちていたが、今日は100球を超えてもしっかり投げられていた。そのへんの体力もついてきたと思いますし、6回のピンチでギアを上げて、ギリギリで抑えた直後の7回も、普通に集中力を切らすことなく投げ切れたのはすごく良かったと思います」と称賛。ベンチの思惑に見事応えて結果を出し、実戦での課題をクリアした“教え子”を「120球を超えて、力一杯投げた後の中6日でどれだけ回復しているのか。そこをクリアしていくといい先発ピッチャーになっていくのかなと思います。今は順調に、ちょっとずつ成長をしていると思います。また大失敗はすると思いますけども、ここまでは順調にきていると思います」と評価した。

「種市、岩下とこれからエースになっていく存在。1試合投げきれる投手になってほしい」と井口監督の期待も大きい3年目・種市篤暉。1試合ごとに成長を続ける20歳右腕は次回登板でどんな投球を見せてくれるのだろうか。(岩国誠 / Makoto Iwakuni)

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