“なき時代”見据えて活動 末永さん、26日で講話1500回

「あの日」の体験を描いた紙芝居を前に語る末永さん=長崎市立山2丁目

 長崎の被爆者、末永浩さん(83)が1974年から始めた被爆体験講話が26日、1500回を迎える。平和教育に打ち込み、近年は故山口仙二さんら他の被爆者の体験を基にした紙芝居制作を企画。「被爆体験は昔話でなく、未来の人類の生存に関わる問題」。“被爆者なき時代”を見据えた活動を続けている。

 中学卒業後、当時の郵政省で働きながら、夜学で高校、短大、大学を卒業。29歳の時、公立中教諭に転職し、自身や家族の被爆体験を教材に語り始めた。体験を描いた紙芝居や戦跡などの写真を交え、聞いてもらう工夫を重ねてきた。

 被爆体験講話は被爆者団体など複数の窓口から依頼されるため、正確な回数を記録している人は多くない。末永さんは依頼を書き込んだ手帳を保管し、年ごとに集計。教職時代から関わる「長崎の証言の会」の遺跡巡りは758回を数える。“先輩”の語り部たちが世を去り、講話も遺跡巡りも可能な被爆者は回数に関係なく、存在感を増している。

 1500回目の講話は長崎市立横尾中。「放射能障害は未来にも関係する。原爆投下を肯定する米国人や日本に複雑な思いを抱くアジアの人たちと手をつなぎ、平和のために行動してほしい」。いつも通り、こう語り掛けるつもりだ。

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