不安続く週末 24日学校再開「苦渋の決断」愛川・男逃走

逃走事件の影響で利用のキャンセルが相次いだ「県立愛川ふれあいの村」=愛川町半原

 窃盗などの罪で実刑判決が確定した男が収容に応じず、愛川町の自宅から逃走した事件は、男の行方が分からないまま2日が経過した。20日に続き21日も公立小中学校全校を休校とした同町と厚木市の教育委員会は「休校が長引けば授業時間の確保が難しくなる」として、週明け24日からの学校再開を決定。「苦渋の決断」だった。予定されていた小学生の体験学習は延期となり、子ども向けイベントが中止となるなど影響が拡大。自治体や教育関係者は不安を抱えたまま週末を迎える。

 週明けからの町立小中学校の再開を決めた愛川町教委。担当者は「事件が未解決なので苦渋の決断」とため息をつく。

 「子どもたちが事件に巻き込まれないか」と懸念は残る。だが、休校が長引けば国が定める必要な授業時間を満たせなくなる恐れがある。保護者からは「子どもの勉強が遅れる」という声も寄せられる中で迫られた判断だった。「警察、地域住民、保護者と連携し、全力を挙げて学校内と通学路の安全を確保したい」と力を込める。

 厚木市教委も同様の対応を取る予定だ。子どもたちが週末に出歩いて事件に巻き込まれることがないよう「不要不急の外出は控えてほしい」というメールを学校を通じて保護者に送り、改めて注意を促した。

 事件は地域のイベントにも影を落とす。22日に同市林の小鮎川河川敷で予定されていた「子ども魚つかみ取り大会」が中止となった。河川敷に用意したいけすに約700匹のマスやアユを泳がせて、子どもたちが手づかみできるイベントで、地域住民が周辺の草刈りを済ませるなど準備を進めていた。

 また、子どもたちが宿泊学習を行う県立施設「愛川ふれあいの村」(同町半原)では20、21日に宿泊を予定していた、いずれも町外の全小学校6校が利用を延期。同町内の小中学校が休校となっていることを考慮した判断だった。普段は子どもたちの声が響く施設内は静まり返り、加藤文昭所長は「早く事件を解決してほしい」と語った。

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