新幹線長崎ルート 西九州発展へ全線フルを 政府予算に調査費計上要請

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新幹線駅(中央手前)と在来線駅(中央奥)の建設工事が進むJR長崎駅=長崎市尾上町

 九州新幹線長崎ルートは現在、武雄温泉-長崎でフル規格での整備が進む。長崎ルートは当初、新鳥栖-武雄温泉については在来線を活用し、フリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)を導入する予定だったが、開発の難航などから断念。新幹線と在来線特急を武雄温泉で乗り継ぐ「リレー方式」で2022年度に暫定開業する運びだ。
 新鳥栖-武雄温泉の整備方式を巡っては、投資効果や時間短縮効果が大きいとして、長崎県やJR九州はフル規格を求めている。国土交通省が3月にまとめた試算では、長崎ルートでの全線フル規格整備による投資効果は、費用対効果が投資に見合う「1」を大きく上回る「3.1」。収支改善効果は年間約86億円としている。全線フル規格になった場合の所要時間は長崎-博多が最速51分、佐賀-博多は同20分。「リレー方式」と比べ、それぞれ29分、15分短縮される。既存の在来線の線路幅をフル規格の幅に広げて新幹線を直通できるようにする「ミニ新幹線」と比較しても、時短効果、収支改善効果は全線フル規格が上回る。
 長崎県によると、全線フル規格に加え、リニア中央新幹線が整備されれば、長崎-東京は約4時間27分、佐賀-東京は約3時間56分で結ばれる計算。航空機を利用した場合の所要時間約4時間半(長崎駅-長崎空港、佐賀駅-佐賀空港、羽田空港-東京駅はそれぞれ公共交通機関を利用する想定)と比べ、同等か速くなるとしている。
 一方、11年に全線開通した鹿児島ルートを見ると、途中駅の熊本駅周辺も交流人口が増えマンションの開発が進んでいる。鉄道建設・運輸施設整備支援機構によると、10年と13年を比較した流動人口(公共交通機関を利用した人の動き)は熊本-関西で1.3倍、熊本-山陽で2倍になった。新幹線途中駅でも地域間交流が活発化しているとして、長崎県は「西九州地域は深刻な人口減少に直面し、社会経済活動の縮小が危惧されている。新幹線で交流人口の拡大や経済活動を維持し、地域発展につなげたい。同様のことは佐賀県にもいえるのではないか」と強調する。
 中村法道知事は今月7日の定例会見で、長崎ルートは長崎、佐賀、福岡3県が共同して実現に取り組んできた経緯があることを指摘。佐賀県との隔たりを埋めるため、「山口祥義知事と直接会う機会を増やしていかないといけない」と決意を口にした。