長崎県庁跡地「徹底調査を」 「考える会」共同代表招致 県議会総務委

県庁跡地を巡り参考人が意見を述べた総務委の集中審査=県議会

 約450年前の長崎開港以来、重要施設が置かれた県庁跡地(長崎市江戸町)を巡り、県議会総務委員会は5日、同跡地の今後の遺跡調査に関する集中審査を行った。県内外の学識者らでつくる「長崎県庁跡地遺構を考える会」の片峰茂長崎大前学長ら共同代表4人が参考人として意見を述べ、徹底した調査の必要性を訴えた。
 同跡地には、江戸初期の禁教令以前のキリスト教の拠点だった「岬の教会」や江戸幕府の長崎奉行所西役所があり、明治以降は4代にわたり県庁が置かれた。県は旧県庁舎解体後の10月ごろ、遺跡の確認調査に着手する予定。集中審査は同会側や委員の要望を受け、県側をただそうと開いた。
 審査では片峰氏、高見三明カトリック長崎大司教、稲富裕和県考古学会長、国立歴史民俗博物館(千葉県)の久留島浩館長の4人がそれぞれ発言。久留島氏は「長崎の歴史と文化の発祥地。岬の教会の痕跡を探し出せれば、世界遺産の発祥の地点を見つけたことになる」と強調。「広い範囲で深く精緻な調査を」と要望した。片峰氏は「調査プロセスを市民が共有することが重要だ」と述べ、調査の方法や過程についての情報公開を求めた。
 県は2010年に可能な範囲で実施した確認調査などを基に、旧庁舎本館部分の地下は遺跡が残る可能性が低いとみてホールの建設場所に想定している。県教委学芸文化課の草野悦郎課長は「本館部分は(遺跡まで)掘り下げられている可能性が高いと当時判断したが、今回の調査でしっかりと予断を入れずに確認したい」と述べた。

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