被爆者手帳訴訟 長崎市側 争う姿勢 地裁初弁論

 長崎原爆が投下された翌日に入市被爆したのに、長崎市が被爆者健康手帳の交付申請を却下したのは違法として、同市の女性(85)が却下処分の取り消しや70万円の損害賠償などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が16日、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)であった。市側は請求棄却を求めて争う姿勢を示した。
 訴状によると、女性は原爆投下翌日の1945年8月10日、当時の長崎市稲佐町1丁目にあった自宅の片付けなどをするため、母と姉、兄とともに疎開先の為石村から市内に入り、爆心地から約2キロ以内の区域にも入ったとしている。
 女性は今年3月、手帳の交付と健康管理手当の認定を求めて申請したが、市は「入市したことを確認できる資料がない」などとしていずれも却下した。女性は申請時に十分な証拠を提示したのに、市が十分精査せず申請を却下したとして、国家賠償法上の違法行為があったと主張している。

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